当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

文字の大きさ
96 / 586
学園2年目

テスト期間の三学期

しおりを挟む
砦であれこれ研究やら何やらしていたら、いつの間にか三学期。
おじいちゃん先生に魔法系の授業を目一杯詰め込まれたせいで、テスト範囲が異様に広くて大変だ。

分からないところは教科書を読んでノートを見て…ってすればいいんだろうけど、いかんせん暫く休んでた間のノートを貸してもらえるあてはなく、分からないことは聞きに行くしかない。

魔法系はおじいちゃんの研究室にいるメンバーやソラン先輩に聞けば大体分かるからいいんだけど…

問題は「外国語」。
「魔法学会で各国の研究機関と話が出来た方が良かろ?」と言って、おじいちゃんが3の日の午後2コマにむりやり詰め込んだのだ。
おかげで初級じゃなくていきなり中級を受けるはめになってしまった。

この世界、ローズ王国の隣までは同じ言葉なんだけど、隣の隣は別の言語。
海を渡るともう一つ別の言語…で、大きく4つの言語が使われている。
ローズ王国周辺で話されているのがローザンヌ語。
隣の隣で話されているのがクナウティア語。
海を挟んでお隣で話されているのがシャラパール語。
その向こうはアルテミシア語。

その昔、この世界が4つの大国に分かれてたころの名残らしい。

学園ではどの外国語も学べるようになっていて、俺は最初の頃隣の隣の国で冒険者しようと思ってたから、1年生の時にクナウティア語の入門を取ったんだけど…
詰め込まれたのは「シャラパール語」と「アルテミシア語」。

「クナウティア語は人気があるじゃろ?だから席が開いてなかったんじゃ」

って、そんなご都合知りませんよ!!
とはいえ、文句ばかり言ってても仕方がない。
やらねば。

「それでも、アルテミシア語は文法が変わらないだけましなんだけどね…」
「師匠も大変だなー」

クナウティア語とシャラパール語は文法が英語っぽいんだよな。
前世では英語はそこそこ出来た方だから、頑張れば何とかなる…はずだ。
第二外国語で選択したフランス語は散々な結果だったけどな!

そんなわけで今日は魔石工学の研究室へやってきた。
おじいちゃんから「絶対に魔石工学にルースを渡すな」と厳命されたアレクさんも一緒である。
本当に大げさなんだから…ガーベラ先輩になら分かるけど。
真剣な顔で出されたお茶を毒見するアレクさん…いや、そういうことじゃないと思うよ?

「今日はシャラパール語をやるんですよね?」
「そうそう、ここにノース・コリアスさんっていうシャラパール王国から来た留学生の人がいてね、その人が時間取ってくれるって話で」

ちなみにシャラパール語でノースは美しいという意味だ。

「俺の4番目の兄貴もノースって名前で、おまけに嫁いだのがシャラパールでさ。
 一応縁がなくもないから、引き受けてくれたんだと思うんだけど…初めましてなんだよね」
「え、そうなの?俺は見たことあるぞ!
 サラサラの銀髪で、日焼けしてるやつ」
「日焼けって…」

もうちょっと言い方ないのかね。
そうこう言っていると、ノックの音が聞こえて、ノース・コリアスさんとおぼしき人が入ってきた。
褐色の肌のイケメンである。
白い歯がキラキラしい。

「あなたルースさん、僕ノース。よろしく」
「はい、こちら、おねがいます」

向こうはローザンヌ語。
こっちはシャラパール語。
お互いカタコトだ…俺の方が数倍ひどいけど。

「わたし、シャラパール語、べんきょ、なので、ノースさん、シャラパール語、はなす、ゆっくり」
「分かった。ゆっくり話すね。発音はまだまだだけど、意味は通じるよ。頑張ったね」
「ありがとう、でも、もじむり。かけない」
「ああ、そういうときは発音に合わせて文字を覚えたらいいよ。この文字は「あ」。これは「い」…」
「ならってのとじゅん、ちがうのね」
「習ってるのと順番が違うのはね…」

はあなるほど。「あいうえお」順じゃなくて「あかさたな」順…的なことかな。

「あの、こうかく、こうよむ、あうますか?」
「そうそう、あ、でもここはこうかな…
 あとここも逆かな」

ほうほう。
まあ、まずは教科書の文章を読めねば始まるまい。

「ほん、よむ、きくください」
「いいよ」
「しゃらぱーるのせいかつ。しゃらぱーる語をはなす国は、どこも、かんそうちたいが国土のはんぶん、おしめています…」
「半分を占めています、ね」
「半分を占めています」


ーーーーーーーーーーー

「だいぶ良くなったね!」
「まだまだです…テストむり」
「じゃあ、テストまでここで勉強を見てあげるよ」
「ありがとう、でも、まいにち来るむり、もじ書く練習するしたい、てがみのやりとりだめ?」
「分かった、でも来れるだけ来てね?」
「はい、てがみまいにち、くる、おねがいます」
「ところでルース君、言葉を覚えるのに一番有効な手段って、何だと思う?」
「えっ…?」

これまさか、恋人を作るとかいう…?

「僕と一緒に魔石工学の研究をすることさ」

ですよね~!
こんなイケメンが俺にそんなこと言うワケ無い。
一瞬でもそう思った自分の自意識がコワイ。
改めよう…

「師匠、どうしたの?」
「今まさにこの研究室に勧誘されてるとこ」
「むっ!ダメだぞ!ルース師匠は校長の研究室に入るんだからな!」

うん、それ既定事項になりつつあるんだけど、あんまり他所よそで言っちゃいけないぞ。
ノースさんは息巻くアレクさんにニッコリと白い歯を見せて、カタコトで言う。

「かけもちする、でも、いいだったら?」
「…えー、それはぁ…どうなるの?師匠」
「……」

ほら!断りづらくなったでしょ!

んもー…
護衛が相手の作戦に引っかかってどうするのよ!
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う

ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。 次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた オチ決定しました〜☺️ ※印はR18です(際どいやつもつけてます) 毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目 凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日) 訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎ 11/24 大変際どかったためR18に移行しました 12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...