当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園3年目

怒涛の学外研修(大神殿~古龍の墓)

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大神殿についたその日に

・オレンジピール
・洋酒を利かせたパウンドケーキ

の2つのレシピを寄進することになり、書記官様たちはじめ神職の方々は大満足。
特にオレンジピールは、今まで捨てていた柑橘系の果物の皮を利用できるとあり「神の教えを体現している!」と大好評だ。

ちなみにセント神官長はあのまま気を失ってしまったので、そっとお部屋に戻してあげた。
そして「あれはもう無かったことにしよう」と殿下と話し合って決めた。
殿下の手も真っ赤になっていたのでヒールしといた。
機嫌までは治らなかったけど。

そんなわけで、大神殿での用事は全て終了。
長距離乗合馬車が出る時間まで軽く観光しようということになり、俺と殿下はまたモロー君と一緒に街を歩く。

「そうそう、途中の休憩所を充実させる話ですが…」
「えっ、あ、うん」
「途中にあった野営地に、試しに作ってみようかってことになりまして」
「えええ!?そうなの!?」
「それと、高級路線の導入の話」
「ああ、おじいちゃん先生の腰痛の時に言った…」

俺もすっかり忘れてた…そんな話もしたっけかなぁ。

「試しに一台導入してみようかと。あと、馬に疲労回復の魔法をかけるのは今ちょっと使い手が少ないので、まずは馬の扱い方についてアナガリス兄弟に気づいた部分を教えて頂いたのでそれをやってみようかと」
「は!?は、早くない?」
「うちは流通専門ですから、フットワークの軽さが売りなんで!」

えー!待って待って。
まずは利益が出るかどうか何度も会議して決めるもんじゃないの!?

「ゆくゆくは、風魔法の専門家を雇って、ホバー車でぶっ飛ばして半日で古龍の墓と大神殿を結べたらいいなって」
「壮大な計画だね!ホバーなら水の上も走れるしね」
「えっ」
「『えっ』て…あれ、もともと浮き輪の上に板が乗ってるでしょ?水に浮くのは当然で…」
「そ、そんな…そんなの実現したら水運の未来が変わっちゃいますよ!?
 すぐ、すぐやらないと。
 ホバー台車をでかくすればいいんだから、風魔法の専門家と魔道具の専門家を呼んで…こうしちゃいられない、すぐ早馬を出さないと…」

慌てて駆け出そうとするモロー君を殿下が呼び止める。

「まあ待て。風魔法の専門家も魔道具の専門家もここに揃っているぞ」
「あ、そうか!エルさまとガーベラ先輩…
 だから魔法総合うちだね」
「ええー!そうなんですか!?そんな丁度いい研究室があったんですね!」
「うむ、校長がやっている研究室だ。2学期になったら武術棟まで訪ねて来ると良い」
おや、殿下からそんなふうに誘うだなんて…
珍しい。
「はい!あ、でも、この話はすぐ…」
「帰りの馬車の中で話を聞いてみたら?」
「良いのですか!?その、高貴な方にそんな気軽に話しかけても…」
「うん、エルさまもそういうの気にする人じゃないし、学園では身分に関わらず平等ってことになってるしね。
 それに大体、研究や開発でそんなこと気にしてたら話が進まないでしょ?」
「は、はい!有難う御座います!」

しかし、アイリス商会にコリアス商会にセリンセ商会か…。
こんなに商会の関係者が集まって大丈夫なのかな。
そっちのほうが心配だ。

殿下が俺に囁く。
「国内の2大商会を派閥に取り入れるとは、さすがだなルース」
俺も囁き返す。
「は、ええ?ああ、殿下の派閥にってことですか…そうなってくれるといいですね」

小売りと流通の2つを抑えたら、5公爵の派閥にも勝てそうだ。
儲かる何かか…また考えてみようかな。
ま、そう簡単にいくもんじゃないけどね!
思いつきも役に立つのは5%くらいだもん。

「それにしてもお土産かあ…『〇〇行ってきました』みたいなのがあればいいのにな」
「何ですかそれ?」
「お菓子に焼き印で『〇〇行ってきました』って入れたやつ…かな。安くて個数があってみんなに配れるような…職場とか教室とかで配れるようなやつ」

まあ、無いものは無いからな…。
魔石工学教室のみんなには神殿製オレンジピールでも配ろう。
ほぼ俺が作ったやつだけどね!
一応聖別してもらったから、セーフっしょ!!
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