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学園4年目
ごり押せ!合同研究
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「ん…」「…ふ」
ちゅ、ちゅっ…と何度も唇が重なる音がする。
2人の息遣いが生々しく踊り場に響いている。
「好きだ、デューイ」
「僕も…」
か、カイト君とデューイ君が…!
え~もう絶対公演会きっかけじゃ~ん。
そりゃあれだけずっと一緒に練習だなんだしてたら盛り上がっちゃうか~。
ぐふふ。
2人は俺の存在に気づかず、話をする。
動けない俺は不可抗力でそれを聞く。
「デューイ…俺達は、一緒でなら、生きていける。
ルースが、言ってたんだ。昔、吟遊詩人と踊り子って職業があったって話…」
「うん」
「もし、デューイがあのフルートのせいで狙われることになっても、俺が戦う。
デューイは演奏で俺に力を貸してくれ。
…吟遊詩人と踊り子は、いつも一緒に旅をするんだって、だから…何処へだって、行ける」
「…うんっ」
は?俺?
何で急に俺のした話?
あっ、もしかして。
当て馬…的な何か、なのか…?
何か知らんけど俺またひと仕事してたんだな。
えらいもんだ…。
「…当て馬君として、2人が不幸にならないように頑張らないとな…」
俺は静か~に階段を引き返し、音楽室で2人を待つことにした。
***
「そういうわけで、共同研究させて貰えないかと思って」
「ああ~なるほど…」
「お願い!論文は俺が書くし、名前もカイト君のほうを先にするから!」
俺は音楽室に戻ってきたカイト君に必死で頼み込んだ。
考えこむカイト君。
もう一押し、何か無いか…
「…あのっ、ルースさん!
僕…どうなっちゃうんでしょうか」
「デューイ君?」
「僕、僕…こんな力を持ってしまって、しかもあんなに大々的に発表して、大丈夫なんでしょうか…」
あ~、さっきのやつだな。
「ああ、関係者全員に、あの笛の事聞かれたら俺の名前出すようにってお願いしてるから大丈夫なはず…」
実は殿下に頼んで、闇魔法で関係者全体にそう刷り込んでもらったんだ。
だからそうボロが出る事は無いと思うんだけど…
「あっ、そうか」
「…何かいい案でもあるのか?」
「フルートの事も、論文にしよう!」
「は?」
よっっしゃ!
これで論文のネタ、2本分確保!!
「2人とも、協力してくれる?」
「あ、あの、えっと…」
「待ってくれルース、どういう事だ」
カイト君が口を挟む。
どういうも何も…めっちゃ分かりやすい作戦だよ?
「だってそうすれば、あのフルートの事聞きたい人は俺のとこに話を聞きにくるようになるでしょ?」
「あっ、そうか!!」
「だから、設定を詳細まで詰めて、矛盾や齟齬が出ないように完璧なフェイク論文を…」
「で、でも、そうなったら今度はルースさんが」
「ああ、別に過去の論文が間違ってました~なんてこといくらでもあるし気にしないで」
「そうじゃなくて!」
デューイ君、俺の心配もしてくれるの?
優しいなあ…逆に心配になっちゃう。
「俺は影さんたちが守ってくれるから大丈夫!
殿下から聞いたんだけど、俺、今まで散々色んなとこから身柄を狙われてたんだって。
でも全然平和に生きてるでしょ?
その人たちがずっと守ってくれてるから…
今までも、これからも」
「へ…平和?」
カイト君がツッコむけど気にしない。
「何せ一流の人ばっかりだからね!平気平気」
「そ…そうなんですか?」
「うん、それに表立って『雷撃の申し子』も『辺境の双璧』も『剣聖王子』もついてるからね」
「はは、何だそりゃ…」
そう、俺の周りは二つ名持ちがいっぱいなのだ。
早急に俺にもつけて貰いたい…「駄犬」以外で。
「それにさ、デューイ君にもついてるでしょ」
「えっ、何がですか?」
「カイト・マンドレイク…通称『魔法殺し』が」
「は?」
そう。
実は公演の後、カイト君にも二つ名がついたのだ。
発信者はもちろんダンピエラ男爵で、次の公演を成功させるべく噂を盛り上げる作戦だそうだ…
だから次をやるとは言ってないってのに!
やり手ってこういう事か…恐ろしい。
ちなみにアレクさんの『雷撃の申し子」はいつの間にかついてた。
出所不明…と言いたいとこだけど、カレンデュラ先生がギルド近辺の酒場で吹聴したものと思われる…
どういう惚気なのか小一時間問い詰めたい。
…と、まあ、そんなことはさておき。
「そういうわけだから、安心して論文を…」
と俺が言ったところで、2人が慌て始めた。
「ルース、お前、知ってたのか!?」
「何で!?僕らが、その、あのっ…」
「えっ、知ってちゃ駄目だった!?」
だったらあんなとこでチューすなよ!
見てもうたやんけ!!
ちゅ、ちゅっ…と何度も唇が重なる音がする。
2人の息遣いが生々しく踊り場に響いている。
「好きだ、デューイ」
「僕も…」
か、カイト君とデューイ君が…!
え~もう絶対公演会きっかけじゃ~ん。
そりゃあれだけずっと一緒に練習だなんだしてたら盛り上がっちゃうか~。
ぐふふ。
2人は俺の存在に気づかず、話をする。
動けない俺は不可抗力でそれを聞く。
「デューイ…俺達は、一緒でなら、生きていける。
ルースが、言ってたんだ。昔、吟遊詩人と踊り子って職業があったって話…」
「うん」
「もし、デューイがあのフルートのせいで狙われることになっても、俺が戦う。
デューイは演奏で俺に力を貸してくれ。
…吟遊詩人と踊り子は、いつも一緒に旅をするんだって、だから…何処へだって、行ける」
「…うんっ」
は?俺?
何で急に俺のした話?
あっ、もしかして。
当て馬…的な何か、なのか…?
何か知らんけど俺またひと仕事してたんだな。
えらいもんだ…。
「…当て馬君として、2人が不幸にならないように頑張らないとな…」
俺は静か~に階段を引き返し、音楽室で2人を待つことにした。
***
「そういうわけで、共同研究させて貰えないかと思って」
「ああ~なるほど…」
「お願い!論文は俺が書くし、名前もカイト君のほうを先にするから!」
俺は音楽室に戻ってきたカイト君に必死で頼み込んだ。
考えこむカイト君。
もう一押し、何か無いか…
「…あのっ、ルースさん!
僕…どうなっちゃうんでしょうか」
「デューイ君?」
「僕、僕…こんな力を持ってしまって、しかもあんなに大々的に発表して、大丈夫なんでしょうか…」
あ~、さっきのやつだな。
「ああ、関係者全員に、あの笛の事聞かれたら俺の名前出すようにってお願いしてるから大丈夫なはず…」
実は殿下に頼んで、闇魔法で関係者全体にそう刷り込んでもらったんだ。
だからそうボロが出る事は無いと思うんだけど…
「あっ、そうか」
「…何かいい案でもあるのか?」
「フルートの事も、論文にしよう!」
「は?」
よっっしゃ!
これで論文のネタ、2本分確保!!
「2人とも、協力してくれる?」
「あ、あの、えっと…」
「待ってくれルース、どういう事だ」
カイト君が口を挟む。
どういうも何も…めっちゃ分かりやすい作戦だよ?
「だってそうすれば、あのフルートの事聞きたい人は俺のとこに話を聞きにくるようになるでしょ?」
「あっ、そうか!!」
「だから、設定を詳細まで詰めて、矛盾や齟齬が出ないように完璧なフェイク論文を…」
「で、でも、そうなったら今度はルースさんが」
「ああ、別に過去の論文が間違ってました~なんてこといくらでもあるし気にしないで」
「そうじゃなくて!」
デューイ君、俺の心配もしてくれるの?
優しいなあ…逆に心配になっちゃう。
「俺は影さんたちが守ってくれるから大丈夫!
殿下から聞いたんだけど、俺、今まで散々色んなとこから身柄を狙われてたんだって。
でも全然平和に生きてるでしょ?
その人たちがずっと守ってくれてるから…
今までも、これからも」
「へ…平和?」
カイト君がツッコむけど気にしない。
「何せ一流の人ばっかりだからね!平気平気」
「そ…そうなんですか?」
「うん、それに表立って『雷撃の申し子』も『辺境の双璧』も『剣聖王子』もついてるからね」
「はは、何だそりゃ…」
そう、俺の周りは二つ名持ちがいっぱいなのだ。
早急に俺にもつけて貰いたい…「駄犬」以外で。
「それにさ、デューイ君にもついてるでしょ」
「えっ、何がですか?」
「カイト・マンドレイク…通称『魔法殺し』が」
「は?」
そう。
実は公演の後、カイト君にも二つ名がついたのだ。
発信者はもちろんダンピエラ男爵で、次の公演を成功させるべく噂を盛り上げる作戦だそうだ…
だから次をやるとは言ってないってのに!
やり手ってこういう事か…恐ろしい。
ちなみにアレクさんの『雷撃の申し子」はいつの間にかついてた。
出所不明…と言いたいとこだけど、カレンデュラ先生がギルド近辺の酒場で吹聴したものと思われる…
どういう惚気なのか小一時間問い詰めたい。
…と、まあ、そんなことはさておき。
「そういうわけだから、安心して論文を…」
と俺が言ったところで、2人が慌て始めた。
「ルース、お前、知ってたのか!?」
「何で!?僕らが、その、あのっ…」
「えっ、知ってちゃ駄目だった!?」
だったらあんなとこでチューすなよ!
見てもうたやんけ!!
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