当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園4年目

増える仕事

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「……はっ!?」
「あ、起きた起きた」
「殿下~、ルースサマが起きたっすよ」

訓練場で倒れこむように寝てしまった俺達はどうやら第2砦へ運び込まれていたらしい。
俺は殿下が、あとの2人はジョンさんとカレンデュラ先生が何とか運んで洗ってくれた、と…
お世話掛けました。

「簡易シャワーの魔道具が役に立ちましたね」
「ああ、これ結構使えるよな…水も出るし」

夏休みに俺が作った簡易シャワーはネリネ教授の手によってジョウロスタイルへと改良され、いつの間にか商品化を果たしていた。
夏休みの自由研究レベルのアレを…さすがだな。

「何というところで寝るんだお前は」
「いやはや申し訳ない…ところでカイト君とデューイ君は?」
「ああ、第一砦によ!」

あれっ、ディー兄にもバレてるじゃん。
駄目だなぁ…。

***

「というわけで、一度説明したとは思うんだけど、今日の実験でこの説が正しいことが証明されたんだ」
「ああ…同属性の魔法ならってやつな」
「うむ、実際にやってみると面白いものだ」

みんなで第一砦に移動し、カイト君とデューイ君と合流。
何故か当然の顔で魔法馬鹿4人組もやってきたところで、「魔法を巻き取る」技についてもう少し考察と実験を進めていくことにする。

カイト君が当然の疑問を発する。

「それで、どうして俺は風以外も巻き取ることが出来るんだ?」
「うん、それは風属性ならではの特性じゃないかと思う」
「は?」

カイト君はよく分からないという顔。
風属性と言えばのエルさまも不思議顔で俺に尋ねる。

「どういうことです、ルース先生?」
「俺の仮説なんですけど…。
 まず、攻撃魔法である火・水・土・雷の各属性魔法は、この「空気に含まれている成分」を元に魔法を使っているわけですよね」
「魔法理論の基礎じゃな」

おじいちゃん先生が補足する。
武術棟3人衆が目を泳がせる…学園1年目の必修の内容ですぞ?

「でも風魔法の基礎って「空気を動かす」ことじゃないですか」
「確かに、風魔法は「空気に働きかけて動かす」ことから始めますね…だから、他の属性より簡単に発現すると」
「カメリアでは「あらゆるものは風が運ぶ」んですもんね、それだけ風が生活や文化の中に入り込んでるから特にイメージが付きやすいんでしょう」
「ああ、お国柄ってのは確かにあるかも…」
「ローズ国内でも地域差があると聞くしな」

「まあそれはさておき、風は「空気を動かす」、だから「空気に含まれている成分」も動かせる、だから他人の魔法が「動かす成分ごと操れる」ってこと」
「んん?どういうことだ?」

技を使える本人はピンときていない模様。
なんでや。

「…カイトさんは意識してないんですか?」
「ああ、うん…」
「出来るって刷り込まれてるから出来ちゃってるのかな…。カート君の火魔法を巻き取れた成功体験がイメージに影響してるんじゃない」
「じゃあ、なんで最初の…カートの魔法を巻き取る事が出来たんですかね?」
「だよね、確か最初に巻き取ったのは火魔法…
 そうか!!」

どうやら魔法馬鹿4人組は気付いたらしい。

「そうです、火魔法中位以上なら「風」が混ざっている可能性がある」
「だから!その「風」を吸収すると同時に火を巻き取ったんだ!」
「それが本人のイメージに刷り込まれて、無意識に出来るようになったということじゃな…?」
「それに、カイト君がそれなりに魔法が使えた事もあるかと…。
 ゴード先輩とケンタウレア先生との実験によると、使える魔法の1つ上の段階までは吸収して自分のものとして操れるっぽいです」
「そうだな…俺は氷結程度しか使えんから、洪水フラッシュフラッドは手に余る感じがした」
「俺はブレイズまで使えるから、業火インフェルノまではイメージが出来てた、だから操れた?」
「ここは被験者を増やしてはっきりさせたいとこですけど…どうですかね」
「うむ、何人か声を掛けてみよう」

魔法拳研究室に数名、将来有望なのがいるから…ということで、協力をお願いすることに。
するとカレンデュラ先生が聞いてきた。

「なあ、魔法剣では出来ないのか?」
「どうでしょう?やってみたら案外できたりして」
「なら早速やろうぜ!」
「ああ、ランディに遅れを取るわけにはいかん」
「僕らも協力しますよ!」
「ジョンの相手は私がするからね!」
「ハイハイ分かってますよ」

二つ名持ちの剣士たちはどうやら魔法拳ばかり注目されているのが面白くなかったご様子で、どやどやと魔法馬鹿4人と外へ出て行った…んだけど…

「…もしかして、このぶんの論文も俺が書くの?」
「…そうだろうな」

うっそお!!
3本は書けんって!!
無理やって!!

みんなちょっと待って~!!

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