当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園5年目

【閑話休題】紳士協定の崩壊

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セドリック・ベルガモット教授の朝は早い。

5時に起床して今日の授業内容を見直し、
6時に庭で護衛の騎士と剣の訓練。
7時に身だしなみを整え朝食を取り学園へ出勤。
8時に学園に着くと研究室へ行き、授業に備える。

最近、ゴーレムの合同研究にも参加している為、学生や研究生に関わるのは午前中のみだ。
それでも、十数名いる研究生の1人1人に対して手を抜かない。

ここの研究生は、ゆくゆく魔法師団の幹部候補生として王都を含む主要都市へ散っていく。
国の安全と平和の為に働く人間を育てる事に対して手を抜くのは、彼にとって国を裏切るのと同義。

「貴族は平民を正しく導くもの」
「貴族は領民を代表し国に仕えるもの」
「貴族は国民の指針たるもの」

その為に常に努力すること、これがベルガモット家の家訓である。

人が見ていない所で努力するのは当然。
人が見ている所でも努力せねばならない。

努力する姿を見せないのが「優雅」であり「上品」だという社交界において、ベルガモット家は完全に浮いた存在であるはずだが…。

「セドの陰口叩く奴って必ずダサいんだよね~」
「人の実力を妬むことしかしないからさ」
「自分磨きが足りないんじゃない?」
「はは、そりゃダサくて当然だな」

帝国時代から続く旧家であるヒソップ家のローラを筆頭に、水のエバ・ファンネル、風のキューブ・オレガノ、雷のテディ・ボロニア…
と、魔法に秀でる事で侯爵まで昇りつめた家の4人が幼い頃から彼をがっちりとガードしていた。

4人はセドリックを愛していた。
当然ながらそれは友情では無かった。
だから4人は紳士協定を結んだ。
学園に入学する直前の事だ。

セドリックを守り、愛でる会。
20年以上もの間、近づく下衆共を排除し、彼のくるくると変化する素直な表情の全てを守ってきた。
いつか彼を箱庭に閉じ込め、4人で愛を囁く為に。



だが、最近4人には面白くない事が増えた。

「セド、今日もゴーレムの実験なの?」
「ああ!もう少しで魔法陣が完成するんだ、これでようやくルースに1つ借りを返せる」
「無詠唱の次は呪文詠唱って、極端すぎるだろ…
 疲れないのか?」
「多少はな。ルースが言うには古代魔法は属性魔法より魔力を喰うんだと、だから…」

セドリックの話にやたらと「ルース」という人物が出てくるようになったことだ。 


あれはセドリックが無詠唱発動に悩んでいた2年前。
急に前国王殿下に声を掛けられて出て行った後、妙に清々しい顔で帰ってきた。
そして「ルース」という言葉が会話の中に増えた。

4人とも、ルースの名は知っていた。
次期国王でもあるアルファード殿下の婚約内定者。
そしてユーフォルビア家の次期当主。
彼の「思いつき」は研究者を虜にする。
そしてあの素朴な愛らしさは多くの男を虜にする。


雷のテディが言った。

「もう「いつか」などと言っている場合じゃない」

常にポジティブな彼が言うと切迫感が増した。
4人の紳士協定は少しずつ崩れ始めた。


そして、そこへもたらされた魔力回復法…

多少手荒なになるのも仕方がない。
つかみ合い、殴り合い、最後には決闘を行い、
勝ったのは…

「よっ…しゃぁああ!!」

水のフェンネル。
紳士のように振舞っているが、その中身は…

「ああああセドたんのごっくん♡想像だけでイきそう♡全身ペロペロしたい♡おっぱいちゅっちゅされて勃起しちゃって焦っちゃうセドたん♡可愛いおちりを僕のちんぽでじゅぷじゅぷ犯されてアンアンしちゃうセドたん♡種付けからの孕ませ♡僕パパになっちゃう♡かわいい子どもできちゃう♡でも一番かわいいのはセドたんだよっ♡からの燃え上がりえっち♡もうお尻でなきゃイケないえちえちセドたん最高♡」

完全パーフェクトド変態だ。
しかしその言葉で負けた3人も気づく。

「…そうだ、まだ魔力を貰うほうが残っている」




だから今日も魔法練習場には4人の姿がある。
魔力が空になるまで使って、セドリックに魔力を強請ねだるために。

結果的にそれが、彼らの実力を大幅に引き上げる事になるのだが…

それはまた別のお話。

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