当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園5年目

デート作戦、その後

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デート作戦は俺の精神を削りながらも恙無つつがなく終了。
作戦はおおむね成功と言ってよさそうだ。

新聞や雑誌にも色々とその時の事が取り上げられ、本屋デートやパン屋からのピクニックデートがブームの兆しを見せ始め、俺が買った本が何だったかもいちいちタイトルが紹介されており、買った本の作者さんからお礼の手紙が届いたり各種出版会社からおすすめ本の一覧が届いたりした。

俺が買ったからってそんな売れる?
と思ったけど、売れてるんだからしょうがない。
まあ新聞に取り上げられたら注目度も上がるか…。

あっ、だったら娯楽用の本の賞を作って、新聞に取り上げて貰えるようにしたらどうだろう。
前世でも芥川賞とか直木賞とか本屋大賞とかあったし…。
ダンピエラ男爵も「さすが娯楽と言わせたい」って言ってたし、相談してみようかな。

あと研究者の方々からは「次は是非専門書を!」と要望が届いた。
なので次回の本屋デートでは専門書コーナーに行こうと思う。


殿下曰く、最近生徒会室では副会長2人がピリピリしているそうだ。
副会長と言えばあちらの派閥の2巨頭、エルム公爵家とプリムラ公爵家のご子息だからな…。
しかし、生徒会内部で派閥割れしてるのか。
何とも世知辛いというか大変というか。

だけど殿下は「この程度、御せなくてどうする」と涼しい顔だ。
「これもあるしな」…と、光の魔石ようしょくしんじゅのイヤリングを指して言ってくれるけど、そろそろ魔石の交換もしないと、照りが減ってる気がする。

今の魔力で光の魔石作ったらどうなるんだろ…
さっそくやってみようかな。


さて、今日からまたゴーレム実験の始まりだ。
ただし魔道具のほうのゴーレムだけど…。
外見はソラン先輩の意見でピンク色の熊ちゃんになった。
今のところピンク色の魔生物は確認されていないので、魔生物と見分けるのに良いだろう…とのこと。

歌わなくなって良くなったルディ君は、マグノリア教授やワルド先輩と組んでまた魔法陣の調査に戻った。
同じく歌わなくて良くなったベルガモット教授は、砂漠で見たヘヴィさんの魔法から何か着想を得たらしく、結界の理論について何故か俺に聞きに来る…光のヒソップ教授と何かあったのだろうか。

「こう…結界のように幕を張って、そこへ引っかかったのを自動的に焼く、というのはどうかと思ってな。
 光魔法の結界と火魔法の融合だ…以前の実験では光魔法と他の属性を合わせるという発想が無くてな」

なんだかんだ熱心なおじさんなので、俺もできるだけ協力したい…んだけど、最近他の4侯爵からの圧がすごい。
この前水のフェンネル教授に「僕のセドに手を出したら沈める」と脅されたし…

超怖い。

それにしてもベルガモット教授が、ねえ…。
どのへんが4人の琴線に触れるんだろう?
声のでかい熱血おじさんとしか思えないのにな。

そんな水のフェンネル教授とは「液体から水だけを取り出す」実験をしている。
魔力で水分だけを抜く…分子構造の理解が必要なので、化学の教授も巻き込んで試行錯誤だ。
あとはアクアネスという水の魔物の情報集め。
こっちは帰ってきたビスカリア教授にお任せ…したら、またフィールドワークに出てしまい、引き続き魔生物学の授業はソラン先輩がすることになった。

そのビスカリア教授に頼んだ「魔石を魔力だまりに漬けておく」実験は散々な結果だったそうだ。

「漬けた魔石を核にして、魔物が発生したんだ」
「えええ!!?」
「風・火・水・土と、まずは小ぶりのやつから一個ずつ沈めてみたんだ。
 2か月ほどは変化が無かったんだが、ある日突然魔力溜まりからカゼキリトンボとサラマンダー、ポイズントードにオオムカデが飛び出して」
「えーー!!大変じゃないですか!!」
「そうだろ?調子こいていっぱい沈めなくて良かった」

ビスカリア教授はハハハ、と笑っているが、笑い事じゃないとおもう。

「まあその魔物を狩って魔石を取り出してみたら元の色に戻ってたから、充填できたと言えなくは無いな」
「う~んハイリスク充填」
「引き揚げるタイミングがもっとシビアなのかもしれん…ただ俺1人じゃこれ以上は厳しいな」

そりゃそうだ、一歩間違ったら魔物の大発生じゃん…

「だから人手と予算をがっつり賭けて、もっと時間をかけて調べてみたらどうだろう。
 手ごたえは、ある」
「…どこらへんに?」

…まあ、1年そこらで結果がでるような研究ばっかじゃないもんな。
何年もかけて研究してたからこそ、ここ最近で実ってきたってやつもいっぱいあるもん。

「まあそういうわけだから、この件は王宮に頼んでみてくれないか…
 俺はアクアネスを倒して魔石をゲットして魔力だまりに行ってそれ漬けて発生するとこを観察してくるわ」
「はっ?な、何ですって?」
「じゃーな!!」

と怒涛のように出て行った…。

夏休みはもうすぐそこ。

今年の夏は、魔法総合のみんなと今やってる実験や研究を一旦整理してみようということになった。
ついでにまたデューイ君バンド&MDMの公演も控えている。
今年は他のアイドルグループも呼んでフェスっぽくしようとダンピエラ男爵と企んでいるところ…

グッズは、国中の孤児院の子どもたちが一生懸命作ってくれている。
型紙作りやレシピ作りが自然と算術や読み書きの勉強になる…とセント神官長も言ってくれた。
ついでに養老院のほうでも作業療法代わりに取り入れたいとのことだ。
なので、そのへんはイドラ君に話してくれと投げてきた。

何だかんだやる気に満ち溢れてるな、うちの神官長。
そう言うと、神官長は
「俺はロメリア大神官長様が言う事をお前に伝えているだけだ。
 そういえば今度お前に会いたいと仰せだったな…」
と恐ろしいフラグを立てて去って行った。


今年の夏もドタバタしそうな予感がする…。

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