369 / 586
学園5年目
レッツ・パーリィ! 5 ~ルース視点~
しおりを挟む
「ならばあなたは子を成せなくなるとしたら、少なくとも6人は用無しですね?」
予想通りに<呪いの言葉>を吐くコーラス様。
「まあ正室も用無しですから、それも合わせれば7人ですね」
不審に思われないように軽口で返す俺。
コーラス様は、殿下とその先にいる陛下に言い放つ。
「王家の血を守る事にユーフォルビアだけを頼った事、後悔する日が来るかもしれませんよ?
まあ、その時が来たら『我々が正しい王室の在り方を教えて差し上げます』がね。
『この国に貢献し続けてきた我々をないがしろにした愚かな王族』にも、分かりやすく」
おお、この距離から<洗脳>を仕掛けられる自信がお有りとは…。
しかも最後のは来賓客に向けてだよな。
結構やるじゃん。
でもねえ、残念ながら…
このホールの中じゃちょっと無理かな。
「3年後が楽しみですねユーフォルビア殿。
まあ、見放されて離縁される時には、私の妾にでもして差し上げますよ」
「ふーん…なるほど?」
俺は後ろのほうでモサモサとナポリタンを喰っているロメリアのおっさんを見る。
おっさんはピースで応える…
う~んおっさんだなあ。
そろそろお開き、とばかりに殿下が言う。
「はあ…『茶番』が長すぎるぞ2人とも。
いい加減にしないと『ただの断罪ごっこ』で終わらなくなってしまうだろう?」
そして俺は言う。
「ああすみません、コーラス様の演技が素晴らしくてつい興が乗ってしまって…。これ以上はミカ様をお待たせしてしまいますものね。
…ところでコーラス様、ご存じですか?
『人を呪わば穴二つ』って言葉」
「…何だと?」
いやあ神殿と仲良くしとくもんやね。
何の魔法も呪いも効かへんで?
「こら、ルース。もう止めろと言ったぞ」
そういう殿下も半笑いじゃないですかヤダー。
まあ、おたくらがキケンな古代魔法に手を出してんのは知ってんねん。
直ちに王宮書庫へ文献を返したまえよ。
禁帯出って書いてあったでしょ?
「そうですね、すみません。
では、本日はここまでという事で…
ああコーラス様!『お体には気を付けて』」
「!?」
近衛騎士に連行されていくコーラス様。
王都のエリート神官と大神官長様による、豪華「祈りの結界」があって良かったね!
はははー!!
***
…
てな感じでコーラス様がご退場なさって、一息。
「ありがとうございます、殿下」
「やれやれ、あんなもので良かったのか?」
「まあ…断罪「劇」にはなったんじゃないかと」
俺と殿下の会話に、どうやら騒ぎは収束したらしい…と、来客はまた動き始めた。
挨拶の列は活気を取り戻し…
俺の所へはさっきの「ごっこ」の理由を聞こうと人が押し寄せる。
「実は、前々から後宮の有り方については議論がありましてね。
無駄に税金を使わなくて済むようになるならと、コーラス様が協力してくださったのですよ」
「センセーショナルな事件と共に、私の側室になる者たちは王家の為でなく国民の為に選ばれたのだということが伝われば、改革もし易くなるだろう?」
そうして改革内容について少しだけ話して差し上げると、ゲストの皆様は口々に
「なるほど、後宮の建物を遊ばせておくのではなく、有効活用する、と」
「王宮直轄の研究所にする案ですか…」
「なら、この方々が選ばれるのも納得です」
「魔法学会で良くお見掛けしますからね」
そしてコーラス様が可哀想だと言ってくる人には、
「そうですよね…。
ですがコーラス様は、自分のお父上がしでかした事を少しでも軽くするためにと、この茶番を引き受けて下さったのです」
「えっ、エルム公は一体何を…?」
「実はその…」
「ルース、他言無用だ。
証言者の減刑に響く」
「あっ、そうでした…申し訳ございません」
軽い茶番を入れつつ、思わせぶりな科白で「一体どんな罪なのか」と来賓客たちの想像力を煽る。
そういえば随分頻繁に夜会を開いていたとかいう話がもうチラホラしている。
この話が広がって証言者が出てくれば、証拠はさらに積み重なっていくだろう。
そうなれば本命の首を押さえられる!
エルム両公にはすでに監視がついている。
今頃は屋敷にも捜査が入っているはずだ。
見ててよ、ゼフ父さん、ロイ父さん。
リードさんの仇は、俺が取る!
予想通りに<呪いの言葉>を吐くコーラス様。
「まあ正室も用無しですから、それも合わせれば7人ですね」
不審に思われないように軽口で返す俺。
コーラス様は、殿下とその先にいる陛下に言い放つ。
「王家の血を守る事にユーフォルビアだけを頼った事、後悔する日が来るかもしれませんよ?
まあ、その時が来たら『我々が正しい王室の在り方を教えて差し上げます』がね。
『この国に貢献し続けてきた我々をないがしろにした愚かな王族』にも、分かりやすく」
おお、この距離から<洗脳>を仕掛けられる自信がお有りとは…。
しかも最後のは来賓客に向けてだよな。
結構やるじゃん。
でもねえ、残念ながら…
このホールの中じゃちょっと無理かな。
「3年後が楽しみですねユーフォルビア殿。
まあ、見放されて離縁される時には、私の妾にでもして差し上げますよ」
「ふーん…なるほど?」
俺は後ろのほうでモサモサとナポリタンを喰っているロメリアのおっさんを見る。
おっさんはピースで応える…
う~んおっさんだなあ。
そろそろお開き、とばかりに殿下が言う。
「はあ…『茶番』が長すぎるぞ2人とも。
いい加減にしないと『ただの断罪ごっこ』で終わらなくなってしまうだろう?」
そして俺は言う。
「ああすみません、コーラス様の演技が素晴らしくてつい興が乗ってしまって…。これ以上はミカ様をお待たせしてしまいますものね。
…ところでコーラス様、ご存じですか?
『人を呪わば穴二つ』って言葉」
「…何だと?」
いやあ神殿と仲良くしとくもんやね。
何の魔法も呪いも効かへんで?
「こら、ルース。もう止めろと言ったぞ」
そういう殿下も半笑いじゃないですかヤダー。
まあ、おたくらがキケンな古代魔法に手を出してんのは知ってんねん。
直ちに王宮書庫へ文献を返したまえよ。
禁帯出って書いてあったでしょ?
「そうですね、すみません。
では、本日はここまでという事で…
ああコーラス様!『お体には気を付けて』」
「!?」
近衛騎士に連行されていくコーラス様。
王都のエリート神官と大神官長様による、豪華「祈りの結界」があって良かったね!
はははー!!
***
…
てな感じでコーラス様がご退場なさって、一息。
「ありがとうございます、殿下」
「やれやれ、あんなもので良かったのか?」
「まあ…断罪「劇」にはなったんじゃないかと」
俺と殿下の会話に、どうやら騒ぎは収束したらしい…と、来客はまた動き始めた。
挨拶の列は活気を取り戻し…
俺の所へはさっきの「ごっこ」の理由を聞こうと人が押し寄せる。
「実は、前々から後宮の有り方については議論がありましてね。
無駄に税金を使わなくて済むようになるならと、コーラス様が協力してくださったのですよ」
「センセーショナルな事件と共に、私の側室になる者たちは王家の為でなく国民の為に選ばれたのだということが伝われば、改革もし易くなるだろう?」
そうして改革内容について少しだけ話して差し上げると、ゲストの皆様は口々に
「なるほど、後宮の建物を遊ばせておくのではなく、有効活用する、と」
「王宮直轄の研究所にする案ですか…」
「なら、この方々が選ばれるのも納得です」
「魔法学会で良くお見掛けしますからね」
そしてコーラス様が可哀想だと言ってくる人には、
「そうですよね…。
ですがコーラス様は、自分のお父上がしでかした事を少しでも軽くするためにと、この茶番を引き受けて下さったのです」
「えっ、エルム公は一体何を…?」
「実はその…」
「ルース、他言無用だ。
証言者の減刑に響く」
「あっ、そうでした…申し訳ございません」
軽い茶番を入れつつ、思わせぶりな科白で「一体どんな罪なのか」と来賓客たちの想像力を煽る。
そういえば随分頻繁に夜会を開いていたとかいう話がもうチラホラしている。
この話が広がって証言者が出てくれば、証拠はさらに積み重なっていくだろう。
そうなれば本命の首を押さえられる!
エルム両公にはすでに監視がついている。
今頃は屋敷にも捜査が入っているはずだ。
見ててよ、ゼフ父さん、ロイ父さん。
リードさんの仇は、俺が取る!
56
あなたにおすすめの小説
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う
ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。
次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた
オチ決定しました〜☺️
※印はR18です(際どいやつもつけてます)
毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します
メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目
凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日)
訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎
11/24 大変際どかったためR18に移行しました
12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる