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学園6年目
学内探索 1
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「ん~、これ、あれだ。
電撃で気絶させる魔道具」
魔石工学研究室にいた全員にピカーーー!をした後、ネリネ教授にカレンデュラ先生が持っていた魔道具を見せて分解してもらったところ、その正体はすぐに判明した。
バラした物を見ながら教授は続けた。
「だけど護身用で売ってるやつより小さいし…出力がでかいっぽい」
「へえ、どこでそんな分かる?」
「ここの魔石の色だよ、一般的なのは20程度だけど、これは40…純粋に倍だね」
ガーベラ先輩が補足してくれた通り、どうやらこれを喰らうと一発で気絶できるらしい。
こわい。
「ってことは、やっぱりルース君を殺すんじゃなくて攫う計画なんですね」
「出来ること生かして手に入れたい、分かる」
「殺したら国中敵に回すのと一緒だからな」
さすがにそれは大げさでしょ、とは思うけど…
そうだったら困るから黙っとこう。
「でも、魔石工学には闇魔法かけられてる人いませんでしたね」
「そうね、でもブローチ1つだめになったよ」
「あ…僕のも」
「ええっ、もう!?」
新しいの作って持ってるよ、とガーベラ先輩は笑うけど、笑い事じゃない。
こうなると誰が<洗脳>されてて誰がされてないのかもはや分からないな…
「うーん…どうしたもんか」
俺が悩んでいると、ネリネ教授が言った。
「それこそさっきの…「秘儀・闇飛ばし」だっけ?
あれを再現できる魔道具を考えてみたらどうだ」
「あ!なるほど、それいいですね」
「今からまだ使っていくんだよな?
観察させて貰えるか?」
「ええ、もちろん!」
こっちからお願いしたいくらいですよ…
ということで、ネリネ教授とガーベラ先輩とノースさんが仲間に加わる。
魔石工学の隣は魔生物学。
研究室にはビスカリア教授と属性付与の授業で見た顔が3人。
ビスカリア教授は嬉しそうに俺に言った。
「うちにも新人が来たんだ!
冒険者ギルドと繋がりが持てるならってことで…
ただ全員が武術棟と掛け持ちなんだけどさ」
「良かったじゃないですか!
魔生物学のブカツやってた甲斐がありましたね!
ところで教授、ちょっと失礼」
「ん?」
「秘儀・闇飛ばし!」ピカーーー!!
「んぎゃああ!」
「教授!?」
ソラン先輩が叫ぶ。
ビスカリア教授は頭を押さえて尻もちをつく…
どうやら大分抜けかけていたとはいえ、ビスカリア教授にも闇魔法の手が伸びていたらしい。
「あたた…何、今の」
「闇魔法の影響を吹き飛ばす魔法です」
「え、俺、闇魔法かけられてたの?」
「もう抜けかけてたみたいですけどね」
もしかして、古き森の遺跡での一件だったりするのかなぁ。
公爵派は魔力溜まりの情報とか魔石から魔物が再生する事とか、ビスカリア教授から情報抜いてたんだろうな…
それにしても去年の夏からか。
結構な時間影響が残ってるもんだな。
何か恐ろしいな、と言いながら新人の3人にも闇飛ばしをしてみると…
「ぎゃあああ!!」
「うわああぁぁ!!」
「うわー……あれ、なんともない…?」
3人中2人にソコソコの深度で闇魔法がかかってた。
困ったもんだな…
ため息をつく俺に、ビスカリア教授がそっと尋ねる。
「…この2人から闇魔法が抜けたら、うちの研究室に興味が無くなるなんてことは」
「それは何とも」
「まじかよ…ショックだわあ」
なんて言いつつ、その直後にビスカリア教授は
「だがまあいい、書類はもう書かせた後だしな…」
と悪い顔で言った。
倒れている2人に関しては
「どうせなら闇魔法喰らってた奴は固めといたほうがいいだろ」
ということになり、みんなで力を合わせて2人を抱えうちの研究室へ戻る。
そこにはちょうど魔法馬鹿+1がやってきていて、目が覚めたらしいカレンデュラ先生を囲んでいた。
「情けないぞトルセン」
「面目ない…」
「でもカレンデュラ先生がやられてるくらいですから、近衛騎士団はほぼ全滅なのでは?」
エルさまがぞっとするようなことを言う。
その言葉にカレンデュラ先生は返す。
「…団自体は、そこまで汚染されていないはずだ…
やられたのはうちの班の連中だけだ、と、思う…
今のところは」
カレンデュラ先生は床に座り込んで悔しそうに言う。
おじいちゃん先生が聞く。
「…心当たりがあるんじゃな?」
「はい、近衛騎士団はエルム公を捕縛するために2つの班を編成したんです。
エルム領に先に乗り込んで屋敷の調査をする班と、実際にエルム公を追いかける班で、俺は追いかける方の班に入ってました。
少し泳がせてから、協力者も一網打尽にする計画だったから、付かず離れず後を付けて…
そうしたら、団員の一人が、急に暴れ出して。
取り押さえなきゃと思ってそいつを引き倒した、とこまでは覚えてるんですが…」
他の団員がどうなったのかは分からないそうだ。
もしかしたらまだエルム公の元にいるのかも…。
「…相当な闇魔法使いですね、エルム公」
「あやつの伴侶も闇魔法使いじゃからの…
申告が正しければ、じゃが」
「闇属性持ちは申告義務があるんでしたっけ」
「そうじゃ」
てことは掛け合わせなんかしたらどうなることか。
おまけに古代魔法・闇も手に入れてるとすれば…
「どのくらいの範囲で<洗脳>や<潜在的命令>を掛けられるのかは術者の練度によるんですよね?」
「そうじゃな」
「この学園まるまる<洗脳>を掛けるとして、どのくらいの魔力が…あっ」
「…どうした?」
そういえば思い出した。
「…王宮から古代魔法の文献が盗まれています。
それに闇魔法の魔法陣があったら……?
魔法陣に何かの魔石を置くだけで魔道具になるんですし、魔石をケチらなければいくらでも…」
「!!!」
元々お金持ちのエルム公なら、「勿体ないから魔石をケチる」という思考は無いだろう…
多分。
「今すぐ学内で魔法陣を探しましょう」
「分かった」
「先に神官長のとこで「御身を守る」やつを掛けてもらいましょう、念のため」
「だな」
倒れた2人と、ついでにカレンデュラ先生の事もジョンさんとエルさまにお願いして、俺たちは学園の神殿でもある講堂へ向かった…。
電撃で気絶させる魔道具」
魔石工学研究室にいた全員にピカーーー!をした後、ネリネ教授にカレンデュラ先生が持っていた魔道具を見せて分解してもらったところ、その正体はすぐに判明した。
バラした物を見ながら教授は続けた。
「だけど護身用で売ってるやつより小さいし…出力がでかいっぽい」
「へえ、どこでそんな分かる?」
「ここの魔石の色だよ、一般的なのは20程度だけど、これは40…純粋に倍だね」
ガーベラ先輩が補足してくれた通り、どうやらこれを喰らうと一発で気絶できるらしい。
こわい。
「ってことは、やっぱりルース君を殺すんじゃなくて攫う計画なんですね」
「出来ること生かして手に入れたい、分かる」
「殺したら国中敵に回すのと一緒だからな」
さすがにそれは大げさでしょ、とは思うけど…
そうだったら困るから黙っとこう。
「でも、魔石工学には闇魔法かけられてる人いませんでしたね」
「そうね、でもブローチ1つだめになったよ」
「あ…僕のも」
「ええっ、もう!?」
新しいの作って持ってるよ、とガーベラ先輩は笑うけど、笑い事じゃない。
こうなると誰が<洗脳>されてて誰がされてないのかもはや分からないな…
「うーん…どうしたもんか」
俺が悩んでいると、ネリネ教授が言った。
「それこそさっきの…「秘儀・闇飛ばし」だっけ?
あれを再現できる魔道具を考えてみたらどうだ」
「あ!なるほど、それいいですね」
「今からまだ使っていくんだよな?
観察させて貰えるか?」
「ええ、もちろん!」
こっちからお願いしたいくらいですよ…
ということで、ネリネ教授とガーベラ先輩とノースさんが仲間に加わる。
魔石工学の隣は魔生物学。
研究室にはビスカリア教授と属性付与の授業で見た顔が3人。
ビスカリア教授は嬉しそうに俺に言った。
「うちにも新人が来たんだ!
冒険者ギルドと繋がりが持てるならってことで…
ただ全員が武術棟と掛け持ちなんだけどさ」
「良かったじゃないですか!
魔生物学のブカツやってた甲斐がありましたね!
ところで教授、ちょっと失礼」
「ん?」
「秘儀・闇飛ばし!」ピカーーー!!
「んぎゃああ!」
「教授!?」
ソラン先輩が叫ぶ。
ビスカリア教授は頭を押さえて尻もちをつく…
どうやら大分抜けかけていたとはいえ、ビスカリア教授にも闇魔法の手が伸びていたらしい。
「あたた…何、今の」
「闇魔法の影響を吹き飛ばす魔法です」
「え、俺、闇魔法かけられてたの?」
「もう抜けかけてたみたいですけどね」
もしかして、古き森の遺跡での一件だったりするのかなぁ。
公爵派は魔力溜まりの情報とか魔石から魔物が再生する事とか、ビスカリア教授から情報抜いてたんだろうな…
それにしても去年の夏からか。
結構な時間影響が残ってるもんだな。
何か恐ろしいな、と言いながら新人の3人にも闇飛ばしをしてみると…
「ぎゃあああ!!」
「うわああぁぁ!!」
「うわー……あれ、なんともない…?」
3人中2人にソコソコの深度で闇魔法がかかってた。
困ったもんだな…
ため息をつく俺に、ビスカリア教授がそっと尋ねる。
「…この2人から闇魔法が抜けたら、うちの研究室に興味が無くなるなんてことは」
「それは何とも」
「まじかよ…ショックだわあ」
なんて言いつつ、その直後にビスカリア教授は
「だがまあいい、書類はもう書かせた後だしな…」
と悪い顔で言った。
倒れている2人に関しては
「どうせなら闇魔法喰らってた奴は固めといたほうがいいだろ」
ということになり、みんなで力を合わせて2人を抱えうちの研究室へ戻る。
そこにはちょうど魔法馬鹿+1がやってきていて、目が覚めたらしいカレンデュラ先生を囲んでいた。
「情けないぞトルセン」
「面目ない…」
「でもカレンデュラ先生がやられてるくらいですから、近衛騎士団はほぼ全滅なのでは?」
エルさまがぞっとするようなことを言う。
その言葉にカレンデュラ先生は返す。
「…団自体は、そこまで汚染されていないはずだ…
やられたのはうちの班の連中だけだ、と、思う…
今のところは」
カレンデュラ先生は床に座り込んで悔しそうに言う。
おじいちゃん先生が聞く。
「…心当たりがあるんじゃな?」
「はい、近衛騎士団はエルム公を捕縛するために2つの班を編成したんです。
エルム領に先に乗り込んで屋敷の調査をする班と、実際にエルム公を追いかける班で、俺は追いかける方の班に入ってました。
少し泳がせてから、協力者も一網打尽にする計画だったから、付かず離れず後を付けて…
そうしたら、団員の一人が、急に暴れ出して。
取り押さえなきゃと思ってそいつを引き倒した、とこまでは覚えてるんですが…」
他の団員がどうなったのかは分からないそうだ。
もしかしたらまだエルム公の元にいるのかも…。
「…相当な闇魔法使いですね、エルム公」
「あやつの伴侶も闇魔法使いじゃからの…
申告が正しければ、じゃが」
「闇属性持ちは申告義務があるんでしたっけ」
「そうじゃ」
てことは掛け合わせなんかしたらどうなることか。
おまけに古代魔法・闇も手に入れてるとすれば…
「どのくらいの範囲で<洗脳>や<潜在的命令>を掛けられるのかは術者の練度によるんですよね?」
「そうじゃな」
「この学園まるまる<洗脳>を掛けるとして、どのくらいの魔力が…あっ」
「…どうした?」
そういえば思い出した。
「…王宮から古代魔法の文献が盗まれています。
それに闇魔法の魔法陣があったら……?
魔法陣に何かの魔石を置くだけで魔道具になるんですし、魔石をケチらなければいくらでも…」
「!!!」
元々お金持ちのエルム公なら、「勿体ないから魔石をケチる」という思考は無いだろう…
多分。
「今すぐ学内で魔法陣を探しましょう」
「分かった」
「先に神官長のとこで「御身を守る」やつを掛けてもらいましょう、念のため」
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