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学園6年目
戦という名の総決算 13 ~カイト君視点~
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ベルガモット教授が飛び出していき、
それを追ってケンタウレア師が出て行き…。
だけど、俺にはここで大事な仕事がある。
デューイを守る事だ。
デューイは最後尾、救護班の所で怪我人の心を落ち着かせる曲を演奏している。
俺のおまけで参加していると思っていたらしいデューイは言った。
「フルートなんか何の役に立つんだろうって思ってたけど、こういう効果もあるんだね」
「デューイくらいの腕があるからこそだな…守りは任せろ、あと…魔力も、分けられるし」
「う…うん…」
蓋を開けてみればおまけは俺の方…
ま、この手でデューイを守る事が出来るなら、立場なんかどうだっていいんだけど。
デューイのフルートの音は優しく穏やかな気持ちになる。
魔道フルートでなくともこれだけの効果があるんだから、音楽ってのはすごい。
そうこうしているうちに、救護班で怪我人にヒールを掛ける仕事をしていた魔法総合の面々が、前線へ行くことになったらしい。
ソラン先輩も一緒だ。
敵に「闇飛ばし」をするため、だそうだ。
全員かなりの魔法使いだけど、あの人数を…となると、やはり不安はあるらしく、カートがデューイに言った。
「デューイ君、決着がついた時には、皆の心を鎮める音楽を頼むね」
フルートを吹きながら、デューイは頷く。
「じゃ、行きましょっかヘザー先輩」
「うん…怖いけど、頑張らないとね」
「ジョンがいるから大丈夫ですよ!」
「盾のソランもいるしな」
5人は口々に言って前線の方へ走って行った。
デューイの演奏は続く。
救護の天幕の中には穏やかな空気が流れる。
暴れるやつは1人もいない…
俺はデューイを見守りながら、光魔法で怪我が治った人たちに水や食料を配る。
補給物資はアイリス商会が手配したものをセリンセ商会が運んでくる。
うちの領からも物資を提供しているそうだ。
両親と兄の顔が浮かぶ…
デューイと一緒に後宮へ入るって言ったときにはびっくりしてたっけ。
怪我が治った人たちは、一休みしてまた戦線に復帰するようだ。
敵のほうはそのまま捕虜として拘束し、救護の天幕のもっと後ろへ連行する。
疲れ切っているからか、さして抵抗もしないやつが殆どだが、時に暴れるやつがいて、それを黙らせるのも俺の仕事。
こうしてみると、後方にも仕事はたくさんあるんだな…
イドラとノースさんも物資の確認に配布にと忙しくしているし、ガーベラ先輩は壊れたと言って持ち込まれる魔道具の修繕をしている。
黙らせた捕虜を運んでいくと、見張りをしていた兵士が言った。
「あっ、お疲れ様です」
「次のコンサート楽しみにしてます!」
「しかし、捕虜の数も増えたな」
「見張りの数が足りんぞ」
敵の数はおよそ3000…確かに足りないな。
そんな会話を聞きつけてか、乗合馬車の制服を着た人がやってきて俺たちに言う。
「大丈夫です!物資を持ってきた馬車で連れて行きますから!」
…何でも運ぶセリンセ商会は、捕虜も運ぶらしい。
捕虜の問題も片付きそうだし、と急いでデューイの元へ戻る。
美しい音色に心が癒される…
と、その時。
「エルム公を捕えたぞ!!」
ケンタウレア師がそう言って戻ってきた。
その背中には…
「セド!?」
ベルガモット教授が乗っていた。
天幕に残っていた水のフェンネル教授と光のヒソップ教授が駆け寄る。
ケンタウレア師が言った。
「急に倒れられたのでな…多分魔力切れだろう」
「分かった、すぐに治療する」
「エバ!抜け駆けする気!?」
「抜け駆けも何も、そう決まったはずだけど?」
「…許さない」
「それはこっちのセリフだよ?」
…よく分からないが何かの密約があるらしい。
わあわあ騒ぎながら「特製馬車」のほうへベルガモット教授を運ぶ2人…
多分、前線から風のオレガノと雷のボロニア教授も戻ってくるだろう。
あの4人とベルガモット教授が少し変わった関係であることは知っている。
理解できなくても良い、ただ寛容であるように…と殿下からも釘を刺されているしな。
「カイトさん、僕らもそろそろ行きましょう」
「そうだな」
デューイはもう一本のフルートが入った箱を大事そうに抱える。
俺はそのデューイを大事に抱えて、走る。
「無事に収束するといいな」
「頑張ります!魔力も温存してますから」
「頼むぞ、デューイ」
「はい!」
前線の状況はどうだろう。
ふと、通信用タイプライターの方を見る。
そこにはベルガモット教授の代わりに通信係になった魔法使いがいて、人差し指で文字をポチ、ポチ…と押しつつ、うつらうつらしていた。
それを追ってケンタウレア師が出て行き…。
だけど、俺にはここで大事な仕事がある。
デューイを守る事だ。
デューイは最後尾、救護班の所で怪我人の心を落ち着かせる曲を演奏している。
俺のおまけで参加していると思っていたらしいデューイは言った。
「フルートなんか何の役に立つんだろうって思ってたけど、こういう効果もあるんだね」
「デューイくらいの腕があるからこそだな…守りは任せろ、あと…魔力も、分けられるし」
「う…うん…」
蓋を開けてみればおまけは俺の方…
ま、この手でデューイを守る事が出来るなら、立場なんかどうだっていいんだけど。
デューイのフルートの音は優しく穏やかな気持ちになる。
魔道フルートでなくともこれだけの効果があるんだから、音楽ってのはすごい。
そうこうしているうちに、救護班で怪我人にヒールを掛ける仕事をしていた魔法総合の面々が、前線へ行くことになったらしい。
ソラン先輩も一緒だ。
敵に「闇飛ばし」をするため、だそうだ。
全員かなりの魔法使いだけど、あの人数を…となると、やはり不安はあるらしく、カートがデューイに言った。
「デューイ君、決着がついた時には、皆の心を鎮める音楽を頼むね」
フルートを吹きながら、デューイは頷く。
「じゃ、行きましょっかヘザー先輩」
「うん…怖いけど、頑張らないとね」
「ジョンがいるから大丈夫ですよ!」
「盾のソランもいるしな」
5人は口々に言って前線の方へ走って行った。
デューイの演奏は続く。
救護の天幕の中には穏やかな空気が流れる。
暴れるやつは1人もいない…
俺はデューイを見守りながら、光魔法で怪我が治った人たちに水や食料を配る。
補給物資はアイリス商会が手配したものをセリンセ商会が運んでくる。
うちの領からも物資を提供しているそうだ。
両親と兄の顔が浮かぶ…
デューイと一緒に後宮へ入るって言ったときにはびっくりしてたっけ。
怪我が治った人たちは、一休みしてまた戦線に復帰するようだ。
敵のほうはそのまま捕虜として拘束し、救護の天幕のもっと後ろへ連行する。
疲れ切っているからか、さして抵抗もしないやつが殆どだが、時に暴れるやつがいて、それを黙らせるのも俺の仕事。
こうしてみると、後方にも仕事はたくさんあるんだな…
イドラとノースさんも物資の確認に配布にと忙しくしているし、ガーベラ先輩は壊れたと言って持ち込まれる魔道具の修繕をしている。
黙らせた捕虜を運んでいくと、見張りをしていた兵士が言った。
「あっ、お疲れ様です」
「次のコンサート楽しみにしてます!」
「しかし、捕虜の数も増えたな」
「見張りの数が足りんぞ」
敵の数はおよそ3000…確かに足りないな。
そんな会話を聞きつけてか、乗合馬車の制服を着た人がやってきて俺たちに言う。
「大丈夫です!物資を持ってきた馬車で連れて行きますから!」
…何でも運ぶセリンセ商会は、捕虜も運ぶらしい。
捕虜の問題も片付きそうだし、と急いでデューイの元へ戻る。
美しい音色に心が癒される…
と、その時。
「エルム公を捕えたぞ!!」
ケンタウレア師がそう言って戻ってきた。
その背中には…
「セド!?」
ベルガモット教授が乗っていた。
天幕に残っていた水のフェンネル教授と光のヒソップ教授が駆け寄る。
ケンタウレア師が言った。
「急に倒れられたのでな…多分魔力切れだろう」
「分かった、すぐに治療する」
「エバ!抜け駆けする気!?」
「抜け駆けも何も、そう決まったはずだけど?」
「…許さない」
「それはこっちのセリフだよ?」
…よく分からないが何かの密約があるらしい。
わあわあ騒ぎながら「特製馬車」のほうへベルガモット教授を運ぶ2人…
多分、前線から風のオレガノと雷のボロニア教授も戻ってくるだろう。
あの4人とベルガモット教授が少し変わった関係であることは知っている。
理解できなくても良い、ただ寛容であるように…と殿下からも釘を刺されているしな。
「カイトさん、僕らもそろそろ行きましょう」
「そうだな」
デューイはもう一本のフルートが入った箱を大事そうに抱える。
俺はそのデューイを大事に抱えて、走る。
「無事に収束するといいな」
「頑張ります!魔力も温存してますから」
「頼むぞ、デューイ」
「はい!」
前線の状況はどうだろう。
ふと、通信用タイプライターの方を見る。
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