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学園6年目
最後の学園祭 3日目午後
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闘技場に入ると、3回戦が終わって準決勝が始まるところだった。
対戦は
<ウィン兄VSディー兄>
<ゴード先輩VSカート君>
というなかなかの好カード。
ウィン兄とディー兄が魔法術で残ってるのなんて珍しいよな…
いつものエルさまとヘザー先輩がスタッフとして駆り出されてるのと、魔法侯爵がまとめて不在になっているせいでケンタウレア先生が審判になったのとが効いているのかしら。
闘技場の観客席へ上がると、ジョンさんがいた。
首には冷やしレモネード袋が下がっている。
飲み物は今年もこのスタイルで行くんだな…アイリス商会が儲かっていればいいんだけど。
「お、殿下、ルース。
スプーラ殿下に会いに来られたのか?」
「まあそんなところです」
「こっちだ、案内しよう」
エルさまとスプーラ殿下の和解により、ジョンさんも大分気楽になったらしい。
去年は無の顔をしてたな…と思いながらジョンさんに付いていくと、筋肉質な集団を発見した。
「おお、アルファード殿にルース殿!
あのときぶりだな!元気だったか?」
「ああ、おかげさまでな」
挨拶しているうちにウィン兄とディー兄が入場してきた。
<さあ準決勝!
まさかのアナガリス兄弟対決がここに実現した!
兄と弟、どっちが強いのか!!
エルグラン王子、この戦いどう見ますか?>
<そうですね、魔法術に関してはどちらも積極的に魔法を使うより相手の魔法を利用する事に長けていますから…もしかしたら普通に剣での勝負になるかもしれませんね>
<そうですか!しかし二人ともまさかここで馬に乗って来るとはですね>
<そうですね、もしかしたら馬と会話しながら対戦するのかもしれませんね>
<馬と話せる?どうやって?>
<細かい事は省きますが、そういう魔法があるのです。それも見どころになるでしょうかね…>
エルさまの解説もだいぶ板に付いてるな。
<それでは対戦のお時間です!ファイッ!!>
「…風魔法剣!いくぜウィン!」
「…水魔法剣!来い、ディー!」
ガッキィイイン…!!
風と水がぶつかり合って、小さな嵐を巻き起こす。
<うわっ、すごい、魔法が…!>
<魔法剣同士の戦いというのはなかなか見ませんからね、なるほどこういうふうになるんですねー>
<えっ!これ初めての事例なんですか!?>
2人が打ち合う度に嵐が強くなり、風が水を吹き飛ばし…
渦巻く嵐の中、その嵐に乗って馬を駆る2人。
恐ろしい速度でぐるぐる回りながら打ち合う…
<こ、これ、無事に終わりますかね!!?>
<はは、まあそれは神殿の結界次第ですね~>
<まさに神のみぞ知ると言ったところかー!!>
でも、得てしてこういうのは急に決着が付くもので。
キィイイン…!ザクっ!
という音がしたと思ったら、ウィン兄の剣が弾き飛ばされていた。
「っち、やられた!!」
「はっはー、久々にウィンに勝ったぜ!!」
<こ、これはどういう…>
<水で手が滑ったんでしょうね、単純に>
<勝者!!ディー・アナガリスぅううう!>
…………わああああ!!
<しかし、場内相当地面が荒れましたね>
<そうですね、まあ魔法ですぐに治りますから次に影響は無いですよ、ね、ルース先生!>
<おーい、ルース!見とらんで手伝えー!>
「ええー!」
呼んでたってコレのことなのぉ!?
「…行ってやれルース」
「……仕方ないなぁもう」
俺はいちいち闘技場の入場口まで行くのも面倒なので観客席から飛び降りることにした。
「よっ…うんせ、ちょっと足元トルネード」
飛び降りる瞬間に足から風を出しつつ、華麗にふんわり降り……たつもりが、初心者の四股みたいになったあげくポテンと尻もちをついてしまった。
<………>
ダサい。
おじいちゃん先生が言う。
「魔法だけは相変わらず器用じゃのぉ!」
「…魔法だけ、ですがね…んじゃ均しますか。
んー…これちょっと土乾かしたほうがいいかな」
「そうじゃのう」
「んじゃ…ドライヤーのターボ強、平面円形、大」
ブゴオオオーー……
「クレイウォールやや弱、平面円形、大」
ズズ…スサァァァーー……
「……っと、こんなもんでどうですか?」
晴れた日のグラウンドを目指してみたんだけど、出来てるかな……。
気になっておじいちゃん先生を見る。
素敵な笑顔でサムズアップしている。
あ、イイネなんすね、良かった。
<…………!!?>
<あ、終わりましたね~、さっ、次、次>
<……わ、分かりました!
準決勝第2試合!因縁の対決!
ゴード・カメリア対カートランド・リリー!!>
うわぁぁああ!
<ルース先生、この試合の見どころは?>
<こちらの試合、魔法にガタイは関係ないところがはっきり分かる、魔法術ならではの一戦ですね>
俺がそう言うと、カート君が反論する。
「僕はもう小さくないですー!!」
確かに、なんだかんだでもうカート君も16歳だもんね。身長も伸びたし、なかなか男前に育ってきた。
<毎回水に流されるゴードさんですけど、今回はどうなりますかね?>
<カメリアで風魔法拳を相当やりこんでいるそうですから、もしかしたら水と雷が発現してるかも…そうなると今までのようには行かないでしょうね>
「カート!今年こそ俺が勝つぞ!」
「僕だって負けません!神童の名にかけて!」
おおー、やる気充分だな!
そして爽やか!!
これぞスポーツマンシップってやつだね!
<ファイッ!!>
どっちも頑張れー!!
対戦は
<ウィン兄VSディー兄>
<ゴード先輩VSカート君>
というなかなかの好カード。
ウィン兄とディー兄が魔法術で残ってるのなんて珍しいよな…
いつものエルさまとヘザー先輩がスタッフとして駆り出されてるのと、魔法侯爵がまとめて不在になっているせいでケンタウレア先生が審判になったのとが効いているのかしら。
闘技場の観客席へ上がると、ジョンさんがいた。
首には冷やしレモネード袋が下がっている。
飲み物は今年もこのスタイルで行くんだな…アイリス商会が儲かっていればいいんだけど。
「お、殿下、ルース。
スプーラ殿下に会いに来られたのか?」
「まあそんなところです」
「こっちだ、案内しよう」
エルさまとスプーラ殿下の和解により、ジョンさんも大分気楽になったらしい。
去年は無の顔をしてたな…と思いながらジョンさんに付いていくと、筋肉質な集団を発見した。
「おお、アルファード殿にルース殿!
あのときぶりだな!元気だったか?」
「ああ、おかげさまでな」
挨拶しているうちにウィン兄とディー兄が入場してきた。
<さあ準決勝!
まさかのアナガリス兄弟対決がここに実現した!
兄と弟、どっちが強いのか!!
エルグラン王子、この戦いどう見ますか?>
<そうですね、魔法術に関してはどちらも積極的に魔法を使うより相手の魔法を利用する事に長けていますから…もしかしたら普通に剣での勝負になるかもしれませんね>
<そうですか!しかし二人ともまさかここで馬に乗って来るとはですね>
<そうですね、もしかしたら馬と会話しながら対戦するのかもしれませんね>
<馬と話せる?どうやって?>
<細かい事は省きますが、そういう魔法があるのです。それも見どころになるでしょうかね…>
エルさまの解説もだいぶ板に付いてるな。
<それでは対戦のお時間です!ファイッ!!>
「…風魔法剣!いくぜウィン!」
「…水魔法剣!来い、ディー!」
ガッキィイイン…!!
風と水がぶつかり合って、小さな嵐を巻き起こす。
<うわっ、すごい、魔法が…!>
<魔法剣同士の戦いというのはなかなか見ませんからね、なるほどこういうふうになるんですねー>
<えっ!これ初めての事例なんですか!?>
2人が打ち合う度に嵐が強くなり、風が水を吹き飛ばし…
渦巻く嵐の中、その嵐に乗って馬を駆る2人。
恐ろしい速度でぐるぐる回りながら打ち合う…
<こ、これ、無事に終わりますかね!!?>
<はは、まあそれは神殿の結界次第ですね~>
<まさに神のみぞ知ると言ったところかー!!>
でも、得てしてこういうのは急に決着が付くもので。
キィイイン…!ザクっ!
という音がしたと思ったら、ウィン兄の剣が弾き飛ばされていた。
「っち、やられた!!」
「はっはー、久々にウィンに勝ったぜ!!」
<こ、これはどういう…>
<水で手が滑ったんでしょうね、単純に>
<勝者!!ディー・アナガリスぅううう!>
…………わああああ!!
<しかし、場内相当地面が荒れましたね>
<そうですね、まあ魔法ですぐに治りますから次に影響は無いですよ、ね、ルース先生!>
<おーい、ルース!見とらんで手伝えー!>
「ええー!」
呼んでたってコレのことなのぉ!?
「…行ってやれルース」
「……仕方ないなぁもう」
俺はいちいち闘技場の入場口まで行くのも面倒なので観客席から飛び降りることにした。
「よっ…うんせ、ちょっと足元トルネード」
飛び降りる瞬間に足から風を出しつつ、華麗にふんわり降り……たつもりが、初心者の四股みたいになったあげくポテンと尻もちをついてしまった。
<………>
ダサい。
おじいちゃん先生が言う。
「魔法だけは相変わらず器用じゃのぉ!」
「…魔法だけ、ですがね…んじゃ均しますか。
んー…これちょっと土乾かしたほうがいいかな」
「そうじゃのう」
「んじゃ…ドライヤーのターボ強、平面円形、大」
ブゴオオオーー……
「クレイウォールやや弱、平面円形、大」
ズズ…スサァァァーー……
「……っと、こんなもんでどうですか?」
晴れた日のグラウンドを目指してみたんだけど、出来てるかな……。
気になっておじいちゃん先生を見る。
素敵な笑顔でサムズアップしている。
あ、イイネなんすね、良かった。
<…………!!?>
<あ、終わりましたね~、さっ、次、次>
<……わ、分かりました!
準決勝第2試合!因縁の対決!
ゴード・カメリア対カートランド・リリー!!>
うわぁぁああ!
<ルース先生、この試合の見どころは?>
<こちらの試合、魔法にガタイは関係ないところがはっきり分かる、魔法術ならではの一戦ですね>
俺がそう言うと、カート君が反論する。
「僕はもう小さくないですー!!」
確かに、なんだかんだでもうカート君も16歳だもんね。身長も伸びたし、なかなか男前に育ってきた。
<毎回水に流されるゴードさんですけど、今回はどうなりますかね?>
<カメリアで風魔法拳を相当やりこんでいるそうですから、もしかしたら水と雷が発現してるかも…そうなると今までのようには行かないでしょうね>
「カート!今年こそ俺が勝つぞ!」
「僕だって負けません!神童の名にかけて!」
おおー、やる気充分だな!
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これぞスポーツマンシップってやつだね!
<ファイッ!!>
どっちも頑張れー!!
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