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新婚旅行
川沿いの領を北上
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あの日の猫耳パーカーを着せられた俺を乗せた馬車は、俺と色違いの猫耳パーカーを着せられたアレクさんとご機嫌なカレンデュラ先生によってバザールから出発した。
ついにここからは海を離れて、俺たちは北へ向かい始める。
荷馬車に様々なケモ耳パーカーを積載して…。
「…何でこんなに…?」
「貰ったのだから仕方あるまい。
王太子正室に仕える者の制服にでもしたらどうだ」
「痛すぎる思い付き!!」
もしかして補佐局のみんなにも着せる気!?
何の罰ゲームなのよ!
「…まさか、ジョンさんやベルガモット教授にもこれを…?」
「いや、さすがにジョンには…だが、ベルガモットに着せれば魔法侯爵達への褒美にはなるだろう?」
「なんという非道な考え!」
そりゃもうこれを着た教授を見たら、あのポンコツどもオティンティン・カティンコティンでしょうね!!
学園の新校長に対してなんちゅう仕打ち!
子どもがまた4人できたらどうするの!?
「まあ、少し変わった部屋着だと思えば良い。
あの下履きは買っていないしな」
「当たり前でしょ!!」
もうすっごいセクハラ。
すっごいセクハラだからね!?
なのに殿下はまだこのパーカーの有用性について力説を続ける。
「それに肌触りは良いし、手指の保湿にもなる」
「指が使えなくてページがめくれないんですが、それは」
「ということは、お前に強制的に休みを取らせるのにも使えるな?」
「うぐ」
まあいい、王宮に帰ったらお針子部隊にちょっと改造してもらおう。
これ、乳首の下あたりに妙な切り込みが入っているし…。
「…このスリット、何の為に必要なんですか」
「胸の尖りを可愛がる時に指を入れる為だ」
「やっぱ閨着じゃないですか!!」
「それがどうした」
んもう、何開き直ってるのよ!
これが元で補佐局が紛糾しても、俺は責任とりませんからね!
***
本日の目的地は、カメリアとの国境でもある大河の河口からほど近い、田園地帯が拡がる領だ。
そう、田園…つまり、ここでは珍しく米が作られている、ローズで唯一の米どころ…と言って差し支えない、のだが。
「最近、うどんの台頭によりまして米の売上がさらに下がり…。
大豆は好調なのですが、このままいくと田んぼの半分近くを大豆畑か麦畑へ変えなければなりません」
「OH…」
こんなとこでも米離れ!
そして半分はまさか俺のせい!?
「…どうするんだ、ルース?」
「うーん…どうしましょう…
とにかく、一打逆転とは言わないまでも、田んぼを畑に変えないで済むように考えないと…」
「ふむ…確かにな」
田んぼは治水や水質改善にも一役買っているので、なるべく減らしたくない。
異世界知識で言えば、こんなときは米粉。
米粉パンに米粉ピザ…。
でもなあ…小麦の代替品って感じになっちゃったら「だったら麦を作ればいいじゃない」ってなりそうだし。
「大豆は好調…なんですか?」
「ええ、豆腐の需要が伸び始めまして、先だってルース殿下が開発されたオアゲサンの原料だという事で。
おからも神殿がいくらか買ってくれますし、残りは家畜の飼料になりますし」
あー、うどんだしでおから炊くだけで総菜になるもんな。
野菜の切れ端をみじん切りにして混ぜれば食品ロスも防げるし…。
あのオッサン…上手い事やっとるやないか。
「神殿…神殿に対抗か…」
悩んでいる俺を、領主さんは期待の目で見ている。
ここで米を扱っている商人さんたちもしかり。
うーん…何とかいい知恵は無いもんか…
「…あっ」
「どうしたルース」
「お酒…
確か発酵の研究者さんが、近くの領の大学にいるんですよ。
米で酒を作れれば…酒米じゃないから味がどうなるかは分からないですけど、料理酒にするならありかも」
「酒…?」
「あとはおいなりさん…
きつねうどんのオアゲサンを開いて、中に酢飯を詰めるんです」
「ほう?」
「後は漁港の方で…
魚介類と米の相性は抜群ですからね」
「ほうほう」
「後はおにぎり…」
「おにぎり…?」
「海苔が漁港で手に入れば…うーん」
駄目だ、どれもこれも決定打に欠ける…。
神殿…神殿に対抗できる何か…
「…あっ!」
「どうしたルース」
「桜井さんだ!!」
「サクライ……?」
そう、米食と言えば日本人。
ロメリアのおっさんは俺と同じ粉もん地域出身だけど、桜井さんなら…!!
「みなさん、米食をPRするのにうってつけの人を思い出しました!」
「えっ!本当ですか!?」
「はい!「英雄」さんなら、神殿に対抗できます!」
「えっ…えいゆう…!?」
「早速冒険者ギルドへ行ってみます!
この領にも支部があるはずですから!」
とにかく米をアピールして、売上上昇だ!
絶対的エース・塩むすびで神殿に勝つ!!
ついにここからは海を離れて、俺たちは北へ向かい始める。
荷馬車に様々なケモ耳パーカーを積載して…。
「…何でこんなに…?」
「貰ったのだから仕方あるまい。
王太子正室に仕える者の制服にでもしたらどうだ」
「痛すぎる思い付き!!」
もしかして補佐局のみんなにも着せる気!?
何の罰ゲームなのよ!
「…まさか、ジョンさんやベルガモット教授にもこれを…?」
「いや、さすがにジョンには…だが、ベルガモットに着せれば魔法侯爵達への褒美にはなるだろう?」
「なんという非道な考え!」
そりゃもうこれを着た教授を見たら、あのポンコツどもオティンティン・カティンコティンでしょうね!!
学園の新校長に対してなんちゅう仕打ち!
子どもがまた4人できたらどうするの!?
「まあ、少し変わった部屋着だと思えば良い。
あの下履きは買っていないしな」
「当たり前でしょ!!」
もうすっごいセクハラ。
すっごいセクハラだからね!?
なのに殿下はまだこのパーカーの有用性について力説を続ける。
「それに肌触りは良いし、手指の保湿にもなる」
「指が使えなくてページがめくれないんですが、それは」
「ということは、お前に強制的に休みを取らせるのにも使えるな?」
「うぐ」
まあいい、王宮に帰ったらお針子部隊にちょっと改造してもらおう。
これ、乳首の下あたりに妙な切り込みが入っているし…。
「…このスリット、何の為に必要なんですか」
「胸の尖りを可愛がる時に指を入れる為だ」
「やっぱ閨着じゃないですか!!」
「それがどうした」
んもう、何開き直ってるのよ!
これが元で補佐局が紛糾しても、俺は責任とりませんからね!
***
本日の目的地は、カメリアとの国境でもある大河の河口からほど近い、田園地帯が拡がる領だ。
そう、田園…つまり、ここでは珍しく米が作られている、ローズで唯一の米どころ…と言って差し支えない、のだが。
「最近、うどんの台頭によりまして米の売上がさらに下がり…。
大豆は好調なのですが、このままいくと田んぼの半分近くを大豆畑か麦畑へ変えなければなりません」
「OH…」
こんなとこでも米離れ!
そして半分はまさか俺のせい!?
「…どうするんだ、ルース?」
「うーん…どうしましょう…
とにかく、一打逆転とは言わないまでも、田んぼを畑に変えないで済むように考えないと…」
「ふむ…確かにな」
田んぼは治水や水質改善にも一役買っているので、なるべく減らしたくない。
異世界知識で言えば、こんなときは米粉。
米粉パンに米粉ピザ…。
でもなあ…小麦の代替品って感じになっちゃったら「だったら麦を作ればいいじゃない」ってなりそうだし。
「大豆は好調…なんですか?」
「ええ、豆腐の需要が伸び始めまして、先だってルース殿下が開発されたオアゲサンの原料だという事で。
おからも神殿がいくらか買ってくれますし、残りは家畜の飼料になりますし」
あー、うどんだしでおから炊くだけで総菜になるもんな。
野菜の切れ端をみじん切りにして混ぜれば食品ロスも防げるし…。
あのオッサン…上手い事やっとるやないか。
「神殿…神殿に対抗か…」
悩んでいる俺を、領主さんは期待の目で見ている。
ここで米を扱っている商人さんたちもしかり。
うーん…何とかいい知恵は無いもんか…
「…あっ」
「どうしたルース」
「お酒…
確か発酵の研究者さんが、近くの領の大学にいるんですよ。
米で酒を作れれば…酒米じゃないから味がどうなるかは分からないですけど、料理酒にするならありかも」
「酒…?」
「あとはおいなりさん…
きつねうどんのオアゲサンを開いて、中に酢飯を詰めるんです」
「ほう?」
「後は漁港の方で…
魚介類と米の相性は抜群ですからね」
「ほうほう」
「後はおにぎり…」
「おにぎり…?」
「海苔が漁港で手に入れば…うーん」
駄目だ、どれもこれも決定打に欠ける…。
神殿…神殿に対抗できる何か…
「…あっ!」
「どうしたルース」
「桜井さんだ!!」
「サクライ……?」
そう、米食と言えば日本人。
ロメリアのおっさんは俺と同じ粉もん地域出身だけど、桜井さんなら…!!
「みなさん、米食をPRするのにうってつけの人を思い出しました!」
「えっ!本当ですか!?」
「はい!「英雄」さんなら、神殿に対抗できます!」
「えっ…えいゆう…!?」
「早速冒険者ギルドへ行ってみます!
この領にも支部があるはずですから!」
とにかく米をアピールして、売上上昇だ!
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