別にこいつとは付き合ってませんけど?

紫蘇

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恋人同士になる試練

外周の祠、第一 3

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「なあシゲ、あの壁の話、神様から聞いてた?」
「いや…聞いてないな」
「封印の間と外じゃ時間の流れが違うんだろ?
 だったらあの謎壁のほうがそれっぽいけどな…」

トモアキと俺はヒソヒソと言い合う。
それを聞いたミシェルが指示を出す。

「では、あの扉を先に開けてみよう…セレス」
「はい、すぐに確認します」

今度はセレスさんが扉をチェックし始めた。
扉は引いてもびくともしない。
ということは、あれはダミー…?

「……どういうことだ?」

神様は「罠がどこにあるかは秘密よ」って言ってたし、罠の内容も教えて貰えなかった。分かってたら罠にならないから、そういうもんなんだろうけど…

と、その時。

「きゃあっ!?」
「セレス!!」

急に扉が開いて、セレスさんの上半身が…!!

「セレス!」
「セレス!!」

マルコさんが慌ててセレスさんの腰に抱きつく。
そのマルコさんの足をハイドさんが抱える。

「あっちの壁と同じ仕組みか…!?」
「くそ、引っぱれ、ハイド!!」

セレスさんは扉の向こう側、真っ暗な空間へ引きずり込まれようとしている。
腰に抱きついたマルコさんごと引き摺られていくのをハイドさんが渾身の力で引っ張る。
ハイドさんに手を貸そうとミシェルとリラさんが駆け寄り、俺も慌てて駆け寄ろうと、

「駄目だシゲ!行くな!トラさんも戻れ!」
「何でだよ!!」
「お前らが飲み込まれたら誰が封印の儀式やるんだ!いいから戻れ!!」

トモアキの言葉に慌ててこちらへミシェルが駆け寄る。
「シゲを任せた!」
「分かった、頼む!!」

ミシェルにガッチリとホールドされて、俺は…

と、その時。

「うぉりゃぁああ!」

ハイドさんの叫び声。
それと共にマルコさんに掴まれたセレスさんが、

「マルコ、ハイド!」
「うわあぁあ!?」

ずるりとこっちへ戻ってきた…のは、良いんだけど。

「……くそっ、何が起きて…!
 なっ!!貴様ら、何者だ!?」

フッサフサの耳とフッサフサの尻尾を付けた美青年が…

「いや、そっちこそ、誰……?」

くっついてきた。

***

この世界には獣人がいる。

この国から遠く離れ、大海原の向こう側にある大陸に彼らは独自の文化を築いている…

「…って、お城のカテキョの先生が言ってた」
「言ってたな…フカシじゃなかったのか」
「おとぎ話か何かだと思ってたな」
「ふむ、私もだ」

トラ耳トラ尻尾の彼は、セレスさんの腰に抱き着いていたマルコさんに襲い掛かろうとしたところをハイドさんに一撃で沈められた。

伸びている彼を床へ転がしたまま、ミシェルはセレスさんに聞いた。

「セレス、壁の向こう側で何を見た?」
「はい、美しい庭園と、そこにある四阿、そこでうたた寝している彼です」
「美しい庭園…?」
「はい、私の声に驚いて目を覚ました彼は、私を見るなり急に抱き着いてきたのです」
「ええっ!?」

彼がどういう人間なのか知らないが、普通はまず上半身が宙に浮いてる人間に驚くだろう。
それを急に抱き着くとは、何か訓練を受けている人だったりするのかも。

「それから彼が、私の下半身を宙から引っ張り出そうとしたのです」
「だから強い力で引き込まれそうになったのか」
「はい、すんでのところで助かりました…
 マルコ、ハイド、有難う御座います」
「はは…間に合って良かった」

彼が何者かは分からない。
それでも、この扉は罠だったという事は分かった。
ということは、あっちの壁のほうから封印の間へ行くって事…

「あっ」
「どうしたシ…あっ!」

さっきまでリラさんが調べていた壁。
そこがぽっかりと消え去って、その向こう側に…

「…封印の間、だな」
「そうだな…」

シンプルなダブルベッドがひとつ、見えた。
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