81 / 214
恋人同士になる試練
外周の祠、第一 3
しおりを挟む「なあシゲ、あの壁の話、神様から聞いてた?」
「いや…聞いてないな」
「封印の間と外じゃ時間の流れが違うんだろ?
だったらあの謎壁のほうがそれっぽいけどな…」
トモアキと俺はヒソヒソと言い合う。
それを聞いたミシェルが指示を出す。
「では、あの扉を先に開けてみよう…セレス」
「はい、すぐに確認します」
今度はセレスさんが扉をチェックし始めた。
扉は引いてもびくともしない。
ということは、あれはダミー…?
「……どういうことだ?」
神様は「罠がどこにあるかは秘密よ」って言ってたし、罠の内容も教えて貰えなかった。分かってたら罠にならないから、そういうもんなんだろうけど…
と、その時。
「きゃあっ!?」
「セレス!!」
急に扉が向こう側に開いて、セレスさんの上半身が…!!
「セレス!」
「セレス!!」
マルコさんが慌ててセレスさんの腰に抱きつく。
そのマルコさんの足をハイドさんが抱える。
「あっちの壁と同じ仕組みか…!?」
「くそ、引っぱれ、ハイド!!」
セレスさんは扉の向こう側、真っ暗な空間へ引きずり込まれようとしている。
腰に抱きついたマルコさんごと引き摺られていくのをハイドさんが渾身の力で引っ張る。
ハイドさんに手を貸そうとミシェルとリラさんが駆け寄り、俺も慌てて駆け寄ろうと、
「駄目だシゲ!行くな!トラさんも戻れ!」
「何でだよ!!」
「お前らが飲み込まれたら誰が封印の儀式やるんだ!いいから戻れ!!」
トモアキの言葉に慌ててこちらへミシェルが駆け寄る。
「シゲを任せた!」
「分かった、頼む!!」
ミシェルにガッチリとホールドされて、俺は…
と、その時。
「うぉりゃぁああ!」
ハイドさんの叫び声。
それと共にマルコさんに掴まれたセレスさんが、
「マルコ、ハイド!」
「うわあぁあ!?」
ずるりとこっちへ戻ってきた…のは、良いんだけど。
「……くそっ、何が起きて…!
なっ!!貴様ら、何者だ!?」
フッサフサの耳とフッサフサの尻尾を付けた美青年が…
「いや、そっちこそ、誰……?」
くっついてきた。
***
この世界には獣人がいる。
この国から遠く離れ、大海原の向こう側にある大陸に彼らは独自の文化を築いている…
「…って、お城のカテキョの先生が言ってた」
「言ってたな…フカシじゃなかったのか」
「おとぎ話か何かだと思ってたな」
「ふむ、私もだ」
トラ耳トラ尻尾の彼は、セレスさんの腰に抱き着いていたマルコさんに襲い掛かろうとしたところをハイドさんに一撃で沈められた。
伸びている彼を床へ転がしたまま、ミシェルはセレスさんに聞いた。
「セレス、壁の向こう側で何を見た?」
「はい、美しい庭園と、そこにある四阿、そこでうたた寝している彼です」
「美しい庭園…?」
「はい、私の声に驚いて目を覚ました彼は、私を見るなり急に抱き着いてきたのです」
「ええっ!?」
彼がどういう人間なのか知らないが、普通はまず上半身が宙に浮いてる人間に驚くだろう。
それを急に抱き着くとは、何か訓練を受けている人だったりするのかも。
「それから彼が、私の下半身を宙から引っ張り出そうとしたのです」
「だから強い力で引き込まれそうになったのか」
「はい、すんでのところで助かりました…
マルコ、ハイド、有難う御座います」
「はは…間に合って良かった」
彼が何者かは分からない。
それでも、この扉は罠だったという事は分かった。
ということは、あっちの壁のほうから封印の間へ行くって事…
「あっ」
「どうしたシ…あっ!」
さっきまでリラさんが調べていた壁。
そこがぽっかりと消え去って、その向こう側に…
「…封印の間、だな」
「そうだな…」
シンプルなダブルベッドがひとつ、見えた。
1
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
腐男子♥異世界転生
よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
病み墜ちした騎士を救う方法
無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。
死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。
死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。
どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……?
※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる