別にこいつとは付き合ってませんけど?

紫蘇

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恋人同士になる試練

気合!

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浄化すると決めたからには、やらなきゃ!

俺は気合い充分でミシェルと一緒に街の中を歩く。
東の街は北の街と同じくらいくすんでいて、そこら中を浄化して回りたくなるけど…。

「まず人命からだね」
「ああ、大小の病院が聖人様の到着を待っているぞ」

久々に二人で馬に乗る。
俺はマルコさん達に負けないぞ、と気合いを入れる。

「元気な街を取り戻さなくちゃね!」
「ああ、この街も大分闇の力の影響が見られる。
 シゲルの力が必要だ」
「よーし、やるぞー!」

俺は俺にしか出来ない事を頑張る。
他の人が出来る事は他の人にお願いする。
それを自分でしなきゃって思い込むのは、その人を馬鹿にする事だ。

きっとマルコさんたちなら、王様を救って帰って来る!

「頑張ろうね、ミシェル!」
「ああ…と言っても、私が出来るのはシゲルを守る事だけだがな」
「いやいや、それ以外の事も頼りにしてるよ?」

どこの偉い人にも舐められないの、一緒にいるミシェルが最強の騎士でしかも貴族生まれだからだもん。
それもミシェルにしかない力だと思うし。

「…そういえば、ミシェルって実家どこにあるの?」
「ああ、西の街に本邸がある」
「ご両親もそこに住んでるの?」
「ああ」

旅程では一番最後に行く街だ。
きっと闇の力も一番溜まってる…

「心配だね」
「大丈夫だ、最後になっても良い様に対策しているからな」
「そっか、街の人たちも守らなきゃいけないもんね」
「それが貴族の務めだからな」

貴族…貴族か。
俺みたいなのとお付き合いしているのがバレたら、やっぱ反対されたりするのかな…
どうなんだろ。

***

まずは大きな病院からスタートだ。

怪我や病気の重い人は大病院に集められる。
小さい病院では治療に限界があるのはこっちの世界も同じ。

俺は、闇の力に冒された人たちを片っ端から浄化する。

「…人が魔物になったら、大変だもんね」
「記録には残っていないが、可能性はあるからな」

リゲルさんが魔物化したのはあの一回だけで、王子は一度も魔物化していない。
もしかしたら獣の姿になった時に隙が出来やすいとかかな…

試しにやってみて、とは行かないから、確認は出来ないけどさ。


「それにしても、酷い怪我の人は少ないね」
「緑風騎士団が動いていると聞いた。
 内周の村までは安全になったからな」
「そっか!良かった」

だけど、人だけじゃなく、病院で使う井戸や食品、薬なんかも全部浄化しないとすぐにまた影響が出ちゃうから、浄化しなきゃいけないものはいっぱいある。

「浄化したい場所があったらご遠慮なく仰ってくださいね!
 浄化が必要な物品はなるべく一ヶ所にまとめて頂けると早く済みますから、できれば…」
「はい、有難う御座います!」
「我々はその間に、患者さんの浄化に向かいます」
「お願い致します!」

病院のスタッフさんの力も借りながら、どんどん浄化していく。
トイレもお風呂も…看取りの場所も、全部。

治癒がまだ必要な人には勿論治癒の力も使う。
良くなって欲しい、助かって欲しい、闇よ静まれ…と何度も必死で祈る。

「騎士団の方が、聖人様が来るまでこれで耐えてくれ、と…」
「そうでしたか…頑張ってくれたんですね」

光の力は使えなくても、治癒を施せば延命できる。
その後を俺が治して回れば、助かる確率は上がる。

でも、緑風騎士団の人たちがしてくれたのはそれだけじゃない。

「騎士団の方が、聖人様が来れば必ず助かるから、信じろ…と」
「今代の聖人様は掛け値なしの実力をお持ちだから、と」
「立場も身分も関係なく、救ってくださるからと…」

俺の信者を着々と増やしてくれたのだ。
だから、光の力が減らないで使える。
どちらかと言えば信者は減ると思っていた俺には嬉しい誤算…

いや、誤算なんて言っちゃ駄目だ。
感謝しかない。

「…明日、王都までの街道を少しでも浄化しよう。
 そうしたらみんな少しは安心だもんね」
「そうだな」

病院、衛兵さんの詰所、市場、広場、備蓄を納める倉庫から家畜小屋…
そして、高い塔からの浄化。

俺しか出来ない事だから、ここが俺の持ち場だから…
みんなが帰ってきた時に、すっかりくすみが取れた街を見て欲しいから。
少しでも元気な街を取り戻したいから…

「うーーー……いけぇ!!」

広がれ、広がれ、光の力…!
みんな元気になーれ!

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