話が違う2人

紫蘇

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最後の学園生活

最後の冬休み

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2学期のテストが終われば、当然冬休みがやってくる。

試験の結果が想像よりもましだったパッセルは、この冬こそは西の辺境で過ごそうと計画を立てていた……


「はずなんですがね」
「すまん、だが大事になる前に頼む」
「物騒な婚前旅行になりそうだな」

南の海が騒がしい、と連絡が入ったのは1時間前。
すでに近衛特務隊は出発した。
パッセルとリュノも準備を整え、後を追うべく各自馬に跨った。

「今度は船に乗せてもらうか、メジロ」
「ひひん!」

西の辺境へ帰るはずだったクレイドと、一緒に行くはずだったフェリスも招集された。

「初めて行く海が魔物だらけだなんて……」
「そう言えば俺も海は初めてだ」

学園の正門にはいつものお見送りメンバーが勢揃いし、簡単な出発式が行われた。

「リュノ殿下、フェリス、クレイド、そしてパッセル。
 必ず生きて戻れ、これはだ」
「補給物資は任せてください!」
「王宮では何も起こさせませんから、ご心配なく」
「はは、言う様になりましたな、アラウダ殿!」
「誰かさんのおかげでね!お気をつけて!」
「ええ、それでは!」

王都騎士団はもう、南門前で待機している。
この4人が来るのを待っているのだ。
長々と喋っている場合ではない。

「では行って参ります、我が国の太陽、そして運命の月!」

フェリスがいつもの台詞を言う。
それに合わせて、他の3人が礼をする。

「出発!」
「ひひーん!」

メジロに乗ったパッセルを先頭に、2頭の馬と1台の馬車が走り出す。

「南のダンジョンが見つかったという話は?」
「聞いていません」
「という事は、本当にこいつを船に乗せなきゃならんのか」
「ええ、船酔いしなければ良いのですが……」
「シシ!」

心配するパッセルに、リュノは「確か馬って泳げたような?」と思いながらも取り敢えず同意した。

「そうだな」


***


学園を出発して3日、クレイド率いる一行はシルウェストリス領に入った。

「フェリス様~ぁ!」
「あ!みんな!久しぶり~!」

シルウェストリス領は広い。
王都から南の王領まで、どのルートを行くとしても、途中で必ずどこかを経由する。
例え最短ルートでも。

「ここからは我々も同行致します」
「治癒師の先生も一緒です、ご安心を!」
「それは助かります」

その最短ルート上にある村で、一行はシルウェストリスの騎士たちと合流した。

「ねえ、もしかして治癒師の先生って」
「ええ、フリカ先生です」
「やっぱり!
 ねえパッセル、フリカ先生、知ってる?」
「ええ、存じ上げています。
 番契約解消法を最初にご説明した方の一人ですから」

フリカはラディアを引き継ぐ師匠にと名前が挙がっている人物だ。
ラディアと本人にはもう話は通してある。
後はパッセルだけだ。

「ね、パッセル。
 ラディア君を西の辺境へは連れていけないでしょ」
「まあ、そうですね」
「だから、ラディア君の師匠も誰かに引き継がなきゃいけないでしょ?」
「……そうなんですか?」
「だって、卒業まで後ろ盾が必要でしょ」
「……それを、フリカ殿に?」
「うん……パッセルが良いなら、この遠征をきっかけに……どうかな」

南の海が騒がしい…と聞いた瞬間に、この作戦を思いついたのはフェリスだ。
だからすぐに実家へ早馬を出して、フリカを連れてきて欲しいと頼んだ。
つまり、さっきのあれは演技だ。

「色々考えてくださって……ありがとうございます」

パッセルにそれが通用したのか定かではないけれど、パッセルはフェリスに45度の礼をした。
謝罪を表す礼だ。
そのお辞儀の深さに、フェリスは慌てて言った。

「ううん、僕らもパッセルに何でも頼み過ぎてたんだ。
 いざという時だけ頼りにするようにって、思ってはいるんだけど」
「はは……まあ、仕方ありません。
 自分がチートな存在なのは分かりますから」
「異世界転生だもんね」
「ええ、フェリス殿も」

お互い、突出した存在だと分かっている。
それが異世界の知識を持っている事に由来している事も……

そこでフェリスはふと思い出した。
パッセルの前世について、聞きたかった事があったのを。

「ねえ、パッセル。
 前世で何かペットを飼ったりーーー」

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