263 / 292
最後の学園生活
魔物の穴
しおりを挟む「まさか、こういう事になっているとは!」
「ボスの方がまだましでしたね!!」
セーフルームから出た後、広い空間へと辿り着いた一行が見たのはボスではなく魔物が湧きだす穴だった。
その穴から出てきた魔物が、水路を通ってどんどんと洞窟の外へ出ていくのだ。
「くそ、ここに来て謎解き系とは……!」
パッセルは毒づきながらも得意の風魔法で対抗する。
魔物が穴から湧き出した瞬間を狙い、水の中へ潜り込む前に吹きとばし、陸へと叩きつける……!
「パッセル殿は魔物を水から出す事に専念してください、我々で息の根を止めます!」
「頼みます!」
パッセルは淡々と魔物に魔法をブチ当て続ける。
その魔物に、騎士が剣を叩きつけて息の根を止める。
水の魔物は陸に上がれば攻撃力は半減、機動力は8~9割減だ。
どうやら、釣り上げられた魚がビチビチと跳ねるだけになるのと同じ理論が働くらしい。
「おりゃ!」
「くらえ!!」
いわゆるリスポーンキルだ。
とはいえ穴からは無尽蔵に魔物がポップする。
かなりの耐久戦になりそうだ。
「倒しても倒しても出てきます、どうしますか!?」
「あの穴をどうにかして塞がないと、どうしようもありません!
リュノ、デック殿、どこかにそういう装置が無いか、探してください!」
「ですが魔物は、」
「魔物はこっちで引きうけます!
ウーフ殿、キケル殿、参りますよ!!」
「はっ!」
パッセルは頭の良いリュノとスピードタイプの騎士を組ませ、自分はパワータイプの騎士2人と魔物殺しに勤しむ事にした。
「今です、行ってください!」
「はい!!」
リュノとデックが引き、3人が前に出る。
「お前らの相手は、こっちだ!」
「行きますよ、」
2人が走るのを見ながら、3人は出て来る魔物をとにかく討つ。
海岸に点々とある、小さな漁村を守るために……。
***
「……お疲れ、パッセル」
「ええ、リュノも」
穴を塞ぐ装置は2つあった。
一つは穴の水を抜く装置。
一つは水路の水を遮る装置だ。
どちらも溝が直線になるよう9枚の石板を並び替え、レバーを引くと作動するタイプで、両方を作動させる事で穴の水が空になり魔物が出て来なくなる……というシステムだった。
「あれで終わりだと思ったのに……」
「完全に死んだと思いました」
そうして、水が無くなったところで、巨大イソギンチャクがその穴からズボーン!と生えてきて、奇天烈な雄叫びを上げながら長い触手を何本も鞭のように振り回しながら攻撃してきた。
「まさか、ボスまで出るとはな」
「魔力が間に合って良かったですよ」
だがボスが出たから、マンガ肉もドロップした。
これが無いと先々きついな、と思っていたパッセルとリュノにしてみれば、有難い事でもあったのだ。
ダンジョンが初めての南方騎士3人には、とんでもない危機だったけれど。
「さて、魔物が残したお宝と石を拾って、次へ行く通路を探すとするか」
「え、もうですか?」
「ええ、私がその間にこの肉を焼きますから」
「……それ、食べられるんですか?」
「ああ、いつも食べているから大丈夫だ」
「いつも……?」
・・・・・・
とまあ、そうやって次のフロア、次のフロアとやっていくうちに、少しずつ風の匂いが変わってきた。
ふとパッセルが言った。
「今回のダンジョン、平面的ですね」
「ああ、確かに」
西のは、フロア間に階段がある。
東のは、ボス部屋が地下にある。
北のは、そもそも建物だ。
だがこのダンジョンは、セーフルーム以外に階段が無い。
魔物が湧く穴を塞ぐ装置が高い位置にある事はあったが、それも謎解きをすれば下へ降りて来た。
「でも平面だとすると、島の大きさに見合ってない気が……」
記録した地図が合っているとするなら、島の内部をぐるぐると回る構造でもなさそうだ。
「まあ、それがダンジョンの特徴ですからね」
「しかし出口が見えませんな」
「海にいる魔物の全部がここで生まれているんなら、相当広いかもしれませんよ」
この世界の海にいる全部、となったら、1年かかっても出られないかもしれない。
ダンジョンの1日=外の1時間、としても、365時間=15日とちょっとだ。
「……迎えが来るまでに出られますかね?」
「そうですね……では、あと5日歩いて出口が見つからなければ、引き返しましょう」
そもそも「1年間補給無しで戦い続ける」事は現実的ではない。
日本には「29年間ジャングルに潜伏していた」という人もいたけれど、それは本当に特別な事だろう。
「とはいえ、少しずつ別の場所へ向かっている事は確かです。
あと少し、粘ってみましょう」
少しずつだが、陸の魔物も出始めた。
パッセルの中には一つの予感がよぎったが……
今は推測を避けるべきだと、口を閉ざした。
===========
ミリタリーに興味無い方は知らないと思うので……。
29年間、フィリピンに潜伏していた小野田さんのWikipedia記事↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E9%87%8E%E7%94%B0%E5%AF%9B%E9%83%8E
ちなみに、28年間グアムに潜伏していた横井庄一さんという人もいるよ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E4%BA%95%E5%BA%84%E4%B8%80
あと、大分前に出てきたシモ・ヘイヘってこんな人↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%98
34
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
【完結】ただの狼です?神の使いです??
野々宮なつの
BL
気が付いたら高い山の上にいた白狼のディン。気ままに狼暮らしを満喫かと思いきや、どうやら白い生き物は神の使いらしい?
司祭×白狼(人間の姿になります)
神の使いなんて壮大な話と思いきや、好きな人を救いに来ただけのお話です。
全15話+おまけ+番外編
!地震と津波表現がさらっとですがあります。ご注意ください!
番外編更新中です。土日に更新します。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる