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最後の学園生活
おや?
しおりを挟むあれからパッセル達は、また3つほどのフロアを攻略した。
「……これはもう、水路とは呼べないな」
「ええ、いいとこ沢といった感じですね」
「それでも魔物が湧く穴はあるんだよなぁ~」
1つ手前の広間から、湧いて出る魔物の種類が明らかに変わった。
水路が狭くなっていた事もあるだろうが、出てくる魔物が陸のものに変わって来たのだ。
「出口が近い……の、かもな」
「だと良いんですがね」
ボスがリポップする可能性を考えると、戻りも相当のリスクだ。できればこのまま……
と、その時。
「しっ……何か、聞こえる」
パッセルが全員に止まる様指示した。
そして全員で耳を澄ませると、それは……
「人間の、声……?」
「魔物の雄叫びでは?」
「確かに、おー…とか、わー…とか」
「あっち……とか、上……とか」
「ということは、指示を出している?」
ここまで来て、人型の魔物だろうか。
しかも、指示をしているとするなら、組織的に動ける知性と社会性を持った……
……ひひーん!
「ん?」
***
「パッセル!?」
「兄上!?」
向こう側からやってきたのは、クレイドとフェリス、それから近衛特務隊の面々だった。
「どうしてここへ」
「ああ、メジロが連れてきてくれたんだ」
「ぶるるふ!」
メジロは得意げに鳴くと、パッセルに駆け寄って頭を摺り寄せた。
「……メジロ、シルウェストリス領へ戻れと言ったのに」
「うるうる」
「そうか、仕方ないな」
「ふし!」
「じゃあ、シルウェストリス領へ行く代わりに……
デック殿!メジロと共に、南方騎士団へ連絡しにいって貰えませんか」
「あ、はい!」
パッセルは同行していたスピードタイプの騎士に伝言を頼む事にした。
ギル王子は残った2人の騎士に聞いた。
「君達は、海のダンジョンから来たのか?」
「はっ!そうであります」
「どのような場所だ?」
「海に突然現れた小島で、魔物が湧く穴がいくつもありました」
「ボスは?」
「出ました、魔物が湧く穴を塞ぐと、突然そこから噴き出るように」
「ほう……」
一方、パッセルはクレイドとフェリスにここまでの話を聞いた。
「ここに着くまで、森の中を随分歩かされてな。
まあ、ちゃんと馬も並走して通れるぐらいの道にはなってるんだが、分かれ道が多くて……。
メジロが案内してくれたから良い様なもんだけど、いなかったらこんな早くここまで着いてないと思うぜ」
クレイドがメジロの手柄をパッセルに伝えると、フェリスも続けて言った。
「そうそう、メジロ、頑張ったんだよ!
魔物の攻撃から僕を守ってくれたり、ラディアを元気づけたりしてさ」
「……魔物が出たんですか?」
「うん、結構ね。ウサギも出たし」
パッセルは渋い顔をした。
この辺りでも、魔ウサギの危険性を布教する必要がありそうだ……と。
「……という事は、通路もダンジョン?」
「うん、そうだと思う。
魔力で薬の錬成が出来るから」
フェリスはそう言うと、草むらに生えている草をむしって手の中へくしゅくしゅと包み込み、薬を作ってみせた。
「ほらね」
「本当だ……ところで、これは?」
「毒消しの薬」
「では、毒を持った魔物が?」
「うん、さっき倒したボスが毒の息吐いてた」
「は?さっき、だと!?」
リュノは驚いて声を上げた。
つまりあの時聞いたのは、彼らがここでボスと闘っていた音。
という事は、自分たちがここに来る前に討伐され、ドロップ品の回収も行われ、治癒及び回復も済んだという事だ。
リュノは呻いた。
「……やはり強いな、特務隊は」
「ええ、別格です」
フェリスははっきりと言った。
「アルバトルス最強、確実にそう言える部隊です」
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