話が違う2人

紫蘇

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最後の学園生活

【フェリス】初めての海

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僕は、感動していた。

「うわぁ……これが潮の匂いかぁ」
「すごいな、海……広い」

森のダンジョンを逆戻りして、途中倒していないボスが出て来たりしたのを倒して。
きっとあれは「海側」から来た時に出るボスだろう……
って事は、森側から行った時に出るボスはいないのかな?なんて、不安に思いながら港まで走って。

そしたら、魔物が来なくなりました、って南方騎士さんに嬉しそうに報告されて……。

「海の魔物が収まってて、良かった」
「うん、って事は、もしかしたら海側から来るのが正規のルートなのかもな」
「そっか、西のダンジョンでもそういう事あったね」

最初にダンジョンを発見した時、最初は見た事のある魔物ばっかりだったのに、いきなり奇妙なのが現れてびっくりしたもんな。

「それにしても、海ってほんと広いな」
「水がしょっぱいんだっけ?
 ね、ちょっとなめてみていい?」
「ああ、行ってみよう」

二人で船の桟橋まで行って、海の水に触ってみる。
ほんのり冷たい……

「わ、ほんとだ、しょっぱい!」
「想像してたよりしょっぱい!」

僕もクレイドも、海は初めてだ。
だからこんな、傍から見ればバカバカしい事だって、目新しくてすごいと思える。

「海って、すごいなぁ」

青くて広くて、波があって、不思議な匂いがして……

「あっ、魚がいる!」
「あ、本当だ!食えるのかな」
「んもうクレイドったら、お腹空いてるの?」
「うん、空いてる」

そう言えば、ダンジョンを出てからご飯食べてないんだっけ。

「……僕も、お腹空いてる気がする」
「はは、やっぱり?
 何か食べ物買えるとこ、探しに行こう」
「うん!」

こんな大変な事があったばかりだ、食べものを売ってる店もお休みかもしれない。
最悪、持って来た堅いパンを齧るしかないかもしれない。

けど……

「海を見ながら食べたら、何でも美味しいよ、きっと」

砂浜のある場所は、無いのかな。
海水浴が出来るようなとこ。
海に沿って進んで行けば、分かるかな……

「……海って、広いね」
「ああ、この海の向こうにも国があるって……全然見えないけど、どんなとこなんだろうな」
「行ってみたいね」
「そうだな、死ぬ前に一度ぐらいは」

この世界では、外国旅行は一般的じゃない。
それどころか、国内旅行だってする人は殆どいない。
けど、お父様が計画してる国道建設、あれが完成したら旅をする人も増えるかな……。

「ねえクレイド。
 西の辺境に名物料理があったら、楽しいと思わない?」


***


やっぱり食べ物を売ってるとこは無かったので、騎士団の食堂にお邪魔してベーコンとチーズとトマトのサンドイッチを頂く。

すると、相談があると言って騎士団の人がやってきて……。

「……かなり薬が足りないみたい。
 材料の薬草も少なくなってきてるって」
「そっか……じゃあ、集めにいかないとな」

もちろん薬草園はあるんだけど、かなり収穫して使ってしまったみたい。
特に魔力ポーションのオヒルマソウとヌレバソウ、それと湿布薬に使うヨアモログサも。

「あの『渦潮魔法』をずっとやってたら、そうなるよな……」
「うん、だから採取を手伝おうと思って」
「分かった、じゃあ行くか」

僕は相談に来てくれた人にそれを伝えて、クレイドと一緒に森の方へ戻ってみることにした。
残念ながら、海は一旦お預け……

「落ち着いた頃に、また来たいね」
「うん、そうしよう。国道が出来たらさ」

王都から西への道は、もうそろそろ辺境まで到達しそう。
これを見本にして、王都を中心に東や北、南にも道路を走らせて……。

「できるだけ、森は迂回して魔物の棲み処を壊さないようにするんだって」
「うん、さすがフェリスのお父様だよな」

棲み処を追われたら、普段は大人しい「土地の魔物」だって人を襲うしかなくなるもんね。

「じゃあ、行くか。
 ここへ来る途中、生えてそうなとこもいくつか見たし」
「うん、できれば薬草園に植える株も取って来たいしね」
「じゃあ、馬じゃなくて馬車が良いな。
 水や籠もいるから……」

周りの人たちも、忙しく働いてる。
僕らも何かの役に立たなくっちゃ。

「西の辺境伯は色ボケしてる、なんて言われちゃうもんね」
「はは……まだ『候補』だけどな」

とはいえ、もうクレイドの叙爵は決定事項になって、後は式典をやるだけになってる。

の人生が、もうすぐ始まるんだ……

「幸せに、なろうね」
「当然!」

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