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揺らぎの時
ダブルデートの効果
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ダブルデート作戦からおよそ2ヶ月。
もうすぐ冬期休暇に入ろうかという時期になり、学園では色々な噂が飛び交うようになった。
昼食時に4人の隣の席で食事をした事のある学生たちからは、
「フォエバストリア殿下とオヴィス殿の切なそうなお顔…
それを見つめるフェリス様とクレイド様も、何だか申し訳なさそうなお顔で」
…という証言が出て、放課後に偶然その4人を見た学生からは
「私…この前見てしまったんです。
殿下とオヴィス殿が逢引しているのを…
そしてフェリス様とクレイド様が、それを見られない様にと周りを警戒していらっしゃるのを」
…という証言が出て、第一寮裏庭の勉強会に出ている学生からは
「では、フェリス殿が殿下の恋を応援しているというのは本当なんだな」
「ああ、殿下もフェリス殿とクレイド殿が伴侶になれるように応援しているらしい」
「アルファである殿下とオメガであるフェリス殿が、お互いの恋を応援する…
バース性を越えた友情で、お二人は結ばれているということか」
…という分析が出てきた。
となれば、当然学生たちの声は
「だったら何も、結婚という形を取らなくても…」
「むしろ結婚したら、友情が壊れるのでは」
「そうだな、フォエバストリア殿下とオヴィス殿、フェリス殿とクレイド殿の恋が実るようにして差し上げた方が、今後の王家と公爵家の両方にとっていい結果になるはずだ」
…という話にまとまっていく。
だが一方で、フォエバストリア王子とオヴィスの結婚に難色を示す声も上がる。
「だがオヴィス殿を王子妃にするのは不安だ、という声もあるぞ。
王妃教育もこれからになるというし…」
「それこそ、我々第一王子派がお支えすれば良い」
「いやいや、そこは我々貴族派がお支えする」
「…オヴィス殿は領主派のアリエス家の養子だ、だから領主派がお支えする」
「「何だと?」」
各派閥の家の子が、それぞれの派閥からの意見を述べる。
将来の王子妃はオヴィスであるという過程の元に、自分の派閥こそが彼を支える…
彼を通じて、各派閥が中央に影響力を及ぼそうと牽制し合う中、第二王子派の出る幕はすっかり無くなってしまった。
この一連の動きがほぼパッセルの目論見通りに話が盛り上がっていく裏には、当然第一王子王子派であるアラウダの工作があるわけだが…。
「実はアラウダ様が殿下とお話されているのを偶然聞いてしまったんだが…
どういう訳だか陛下と公爵様が、殿下とフェリス殿の婚約解消をお認めにならないらしい」
「…だから今は我慢しろって話?」
「そのようだ。
ただ、陛下を説得できる材料を探そうと動いてもいるとか」
「ああ、それで最近パッセル殿と話を…」
学生たちの中には、パッセルであれば何とかしてフォエバストリア王子とオヴィスを娶せてくれるのではないか…
…という期待もある。
だが、そのパッセルにも浮いた話が一つ。
「…ところで、最近隣国から留学に来られたリュノ王子がパッセル殿に急接近しているとか」
「そういえばパッセル殿が、ついにネックガードを付けるようになったしな」
「知っているか?あのネックガード、リュノ王子の贈り物らしいぞ」
「ほほう…それは、また…何とも」
どうもリュノ王子は独占欲が強いタイプらしい…。
だから、自分の国に連れ帰って閉じ込めてしまうのではないか、と不安の声も上がる。
「彼をあの王子に渡してしまっていいのか?」
「このままでは、あの才を我が国の発展に活かすどころか、この世から消えてしまうぞ」
ヒソヒソと言い合う学生たち。
だが、なぜか一人だけ訳知り顔の者が…。
「ふ~ん…だから最近、クレイド殿を辺境伯にしようという話があるのか」
「何だそれは?一体どういう事だ」
「何故クレイド殿を?
辺境伯なら、もっと他にも適任が」
「いいや、クレイド殿だからこそだ。
ちょっと遠回りな話ではあるんだが…」
情報通だという顔で、その学生は語る。
パッセル殿は情に厚いお方。
その彼がフェリス殿を親友と公言し、クレイド殿に至っては兄と慕っておられる。
クレイド殿とフェリス殿が結婚して二人で辺境に居を構えれば、パッセル殿を国境手前で引き留められる。
でも、この策を実行するには、公爵様にフェリス殿をクレイド殿に嫁がせてもいいとご納得頂かなければならないだろう?
という事は、彼にはそれなりの地位が必要だ…
「だから、辺境伯なのか…」
「そう。
それにだな、爵位こそ「辺境伯」だが領地はあの土地だぞ。
だから今まで誰も受けたがらなかった。
だから…」
「…この機に乗じてクレイド殿に押し付ける、という事でもある…と?」
「ああ、そういう事だ」
情報通の学生は尚も語る。
あの辺境はとんでもない場所だ。
強い魔物が湧くし、風雨をしのげる場所もない。
畑は雑草で濛々としており、とても作物を育てられる場所ではない。
もちろん領民はひとりもいない。
つまり、税収は無い…なのに国境の警備は自費で、だ。
だが、クレイドはもちろん、フェリスもクレイドがいるならそれでいいらしい。
「こちらも、とてつもない愛…だな」
「フェリス殿を娶る為に、その『名ばかり辺境伯』を受けるのか…」
「実際お二人とも夏に辺境の地へ赴いて、実情を見て知っているだろうに」
と、こちらの純愛もまた注目される。
王子との友情から運命の番との結婚を応援するフェリス。
そのフェリスが番にと望んだのはクレイド。
偶然にも、クレイドはフェリスを愛していた。
運命の番とはまた違う、心からの恋愛。
だが、その道は大いなる苦難が待ち受け…
「だがそんな場所だからこそ、友人を放っておけないパッセル殿は万難を排して助けに行く…だろう?」
「なるほど!
あの土地はあのパッセル殿でも、復興には相当の年月がかかる…」
「そう、下手すれば一生、な」
「そういう事か!」
誰がそんな素晴らしい案を考えたんだ…と学生たちは盛り上がり、その盛り上がりは冬期休暇を利用し、彼らの実家へと伝播していく…だろう。
「ほぼ作戦通りですね、パッセル殿?」
「…兄上を辺境伯にする理由に、私とリュノ王子の話が組み込まれているのが気になりますがね」
「そんなの些末な事さ。
だけど私は、君を閉じ込めたりはしないよ?
君がその「辺境」へ行くのなら、私も一緒にいくだけだ」
「……来て頂かなくて結構ですが」
パッセルの誤算は、恋愛の噂の伝播力の高さを見誤った事だ。
そして、
「ふふっ、今はそれでもいいよ。
だけどそのうち『一緒に来てください』と言わせてみせるからね」
「みゃっ!?」
リュノ王子はパッセルの耳元へキスをする。
奇声を上げるパッセルに、アラウダとウルサは
「それも弱点だったか…」
……と、仲良く同じ事を考えた。
もうすぐ冬期休暇に入ろうかという時期になり、学園では色々な噂が飛び交うようになった。
昼食時に4人の隣の席で食事をした事のある学生たちからは、
「フォエバストリア殿下とオヴィス殿の切なそうなお顔…
それを見つめるフェリス様とクレイド様も、何だか申し訳なさそうなお顔で」
…という証言が出て、放課後に偶然その4人を見た学生からは
「私…この前見てしまったんです。
殿下とオヴィス殿が逢引しているのを…
そしてフェリス様とクレイド様が、それを見られない様にと周りを警戒していらっしゃるのを」
…という証言が出て、第一寮裏庭の勉強会に出ている学生からは
「では、フェリス殿が殿下の恋を応援しているというのは本当なんだな」
「ああ、殿下もフェリス殿とクレイド殿が伴侶になれるように応援しているらしい」
「アルファである殿下とオメガであるフェリス殿が、お互いの恋を応援する…
バース性を越えた友情で、お二人は結ばれているということか」
…という分析が出てきた。
となれば、当然学生たちの声は
「だったら何も、結婚という形を取らなくても…」
「むしろ結婚したら、友情が壊れるのでは」
「そうだな、フォエバストリア殿下とオヴィス殿、フェリス殿とクレイド殿の恋が実るようにして差し上げた方が、今後の王家と公爵家の両方にとっていい結果になるはずだ」
…という話にまとまっていく。
だが一方で、フォエバストリア王子とオヴィスの結婚に難色を示す声も上がる。
「だがオヴィス殿を王子妃にするのは不安だ、という声もあるぞ。
王妃教育もこれからになるというし…」
「それこそ、我々第一王子派がお支えすれば良い」
「いやいや、そこは我々貴族派がお支えする」
「…オヴィス殿は領主派のアリエス家の養子だ、だから領主派がお支えする」
「「何だと?」」
各派閥の家の子が、それぞれの派閥からの意見を述べる。
将来の王子妃はオヴィスであるという過程の元に、自分の派閥こそが彼を支える…
彼を通じて、各派閥が中央に影響力を及ぼそうと牽制し合う中、第二王子派の出る幕はすっかり無くなってしまった。
この一連の動きがほぼパッセルの目論見通りに話が盛り上がっていく裏には、当然第一王子王子派であるアラウダの工作があるわけだが…。
「実はアラウダ様が殿下とお話されているのを偶然聞いてしまったんだが…
どういう訳だか陛下と公爵様が、殿下とフェリス殿の婚約解消をお認めにならないらしい」
「…だから今は我慢しろって話?」
「そのようだ。
ただ、陛下を説得できる材料を探そうと動いてもいるとか」
「ああ、それで最近パッセル殿と話を…」
学生たちの中には、パッセルであれば何とかしてフォエバストリア王子とオヴィスを娶せてくれるのではないか…
…という期待もある。
だが、そのパッセルにも浮いた話が一つ。
「…ところで、最近隣国から留学に来られたリュノ王子がパッセル殿に急接近しているとか」
「そういえばパッセル殿が、ついにネックガードを付けるようになったしな」
「知っているか?あのネックガード、リュノ王子の贈り物らしいぞ」
「ほほう…それは、また…何とも」
どうもリュノ王子は独占欲が強いタイプらしい…。
だから、自分の国に連れ帰って閉じ込めてしまうのではないか、と不安の声も上がる。
「彼をあの王子に渡してしまっていいのか?」
「このままでは、あの才を我が国の発展に活かすどころか、この世から消えてしまうぞ」
ヒソヒソと言い合う学生たち。
だが、なぜか一人だけ訳知り顔の者が…。
「ふ~ん…だから最近、クレイド殿を辺境伯にしようという話があるのか」
「何だそれは?一体どういう事だ」
「何故クレイド殿を?
辺境伯なら、もっと他にも適任が」
「いいや、クレイド殿だからこそだ。
ちょっと遠回りな話ではあるんだが…」
情報通だという顔で、その学生は語る。
パッセル殿は情に厚いお方。
その彼がフェリス殿を親友と公言し、クレイド殿に至っては兄と慕っておられる。
クレイド殿とフェリス殿が結婚して二人で辺境に居を構えれば、パッセル殿を国境手前で引き留められる。
でも、この策を実行するには、公爵様にフェリス殿をクレイド殿に嫁がせてもいいとご納得頂かなければならないだろう?
という事は、彼にはそれなりの地位が必要だ…
「だから、辺境伯なのか…」
「そう。
それにだな、爵位こそ「辺境伯」だが領地はあの土地だぞ。
だから今まで誰も受けたがらなかった。
だから…」
「…この機に乗じてクレイド殿に押し付ける、という事でもある…と?」
「ああ、そういう事だ」
情報通の学生は尚も語る。
あの辺境はとんでもない場所だ。
強い魔物が湧くし、風雨をしのげる場所もない。
畑は雑草で濛々としており、とても作物を育てられる場所ではない。
もちろん領民はひとりもいない。
つまり、税収は無い…なのに国境の警備は自費で、だ。
だが、クレイドはもちろん、フェリスもクレイドがいるならそれでいいらしい。
「こちらも、とてつもない愛…だな」
「フェリス殿を娶る為に、その『名ばかり辺境伯』を受けるのか…」
「実際お二人とも夏に辺境の地へ赴いて、実情を見て知っているだろうに」
と、こちらの純愛もまた注目される。
王子との友情から運命の番との結婚を応援するフェリス。
そのフェリスが番にと望んだのはクレイド。
偶然にも、クレイドはフェリスを愛していた。
運命の番とはまた違う、心からの恋愛。
だが、その道は大いなる苦難が待ち受け…
「だがそんな場所だからこそ、友人を放っておけないパッセル殿は万難を排して助けに行く…だろう?」
「なるほど!
あの土地はあのパッセル殿でも、復興には相当の年月がかかる…」
「そう、下手すれば一生、な」
「そういう事か!」
誰がそんな素晴らしい案を考えたんだ…と学生たちは盛り上がり、その盛り上がりは冬期休暇を利用し、彼らの実家へと伝播していく…だろう。
「ほぼ作戦通りですね、パッセル殿?」
「…兄上を辺境伯にする理由に、私とリュノ王子の話が組み込まれているのが気になりますがね」
「そんなの些末な事さ。
だけど私は、君を閉じ込めたりはしないよ?
君がその「辺境」へ行くのなら、私も一緒にいくだけだ」
「……来て頂かなくて結構ですが」
パッセルの誤算は、恋愛の噂の伝播力の高さを見誤った事だ。
そして、
「ふふっ、今はそれでもいいよ。
だけどそのうち『一緒に来てください』と言わせてみせるからね」
「みゃっ!?」
リュノ王子はパッセルの耳元へキスをする。
奇声を上げるパッセルに、アラウダとウルサは
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