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学園2年目
対決!シルウェストリス公 1
庭園の四阿には、すでに難しい顔をしたシルウェストリス公爵が執事一人を伴って待っていた。
執事は3人の姿を見ると、すぐに紅茶の用意を始めた。
年長者の務めとして、クレイドが3人を代表し公爵に挨拶をした。
「シルウェストリス公爵様、本日はお忙しい中お時間を頂き、誠に有難う御座います」
「分かっているなら長々しい挨拶は抜きで本題に入れ」
シルウェストリス公は視線を一切動かす事無くそう言い放った。
ぴりついた空気の中、パッセルは動じる事無く45度頭を下げ、言った。
「はい、では失礼して。
最近、私の『仲間たち』に報奨金が配られたと聞きました。
組織を代表し、厚く御礼申し上げます」
そうして頭を上げたパッセルに、シルウェストリス公が問うた。
「…礼を言いに来ただけか?」
「ええ、一番はそれです。
二番目に…私の『仲間たち』を今後どうしようとお考えなのか聞きに参りました」
迅速に議題へと話を進めるパッセル。
シルウェストリス公は即答した。
「彼らをどうこうするつもりはない。
ただ今の状態では、貴族からの横やりに耐えられない事は分かるだろう」
組織とは言うが、要は平民が集まって出来たボランティア団体だ。
権力も無ければ金も無いでは、貴族に対抗できない。
「現に中央では、君のお仲間たちを危険視する声が上がっている。
王権を揺るがしかねんと言ってな」
ちょっと報奨金を配っただけなのに、王家派が煩いったら無いのだ。
そして、貴族派たちは「ボランティア団体に負ける程度の支持率なら辞めればぁ?(鼻ホジ)」という言葉を奴らに叩きつけたくて仕方が無い。
つまり、ちょっとした派閥争いの種なのだ。
その事ぐらい、パッセルにも分かっている。
だから言う。
「ええ、ですから第一王子殿下に後ろ盾となって頂いております」
「ああ、知っている。
だがたったそれだけではな」
シルウェストリス公は不敬をものともせず言う。
「彼が愚昧な王になるとは思わんが、そのうちまた阿呆が王になった時、どうなるか分からんだろう」
「ですから私の目が黒いうちに、この組織を全国へ拡げ、かつ国民からの寄付で運営できる基盤を整えたい。
本部は王都ではなく、この国の地理的中心になる場所に。
支部は連絡機能だけを領役場へ置きたいと」
パッセルもまた即答する。
この組織をどうしていくべきか、考えない日は無い。
「…私が死んでもこの国は続いていく。
ならば、災害支援の輪は残していかなければ」
災害に強い国にする事。
魔物に負けない国、飢えない国の、その次。
防災大国、災害支援先進国になる事。
そして、近隣の国で起きた災害に対し、支援団いち早くを派遣し、恩を売れる国になる事。
国の好感度を上げて、戦争を仕掛け難くする事が出来れば…。
パッセルは膨らんだ思いを語る。
だが、シルウェストリス公は非情な言葉を浴びせかける。
「だが彼らも代を重ねるにつれ中身が変質して、ならず者に成り下がらない保障はあるまい」
パッセルは一瞬頭に血が上りかけるが、次の瞬間にはもうそれを納めて公爵の考えを問う。
「…と、申しますと?」
「彼らを地方官吏の非常勤として雇う。
そうして採用に外部の目を入れ、ただの慣れ合い所帯になる事を防ぐ」
「ほう…?」
成程、公爵はそのような構想を持っていたのか…
ならば話は早い、とパッセルは思った。
自分も「地方行政と組織の連携は必要」と考えていたのだ。
ここからが本番だ、とパッセルは改めて気合いを入れ、そして言う。
「いくつか質問させて頂いても?」
***
フェリスとクレイドが成り行きを見守る中、二人は大筋で合意をした。
何より、2人とも災害対策に前向きだ。
飢えないだけでは豊かとは言えない。
安全な国にしなければ…。
内容は騎士団の編成や国家予算にまで及んだ。
「細部に関しては、後日また話し合おう。
人事は宰相にも相談せねばならんからな」
「…アルベンシス候は王家派の筆頭とお聞きしましたが?」
すると、シルウェストリス公はニヤリと笑って言った。
「有能なら誰でも使う、それが組織と言うものだ。
君のように爵位を持たぬ者でも、何でもな」
「…ふ、ふ…確かに、そうですな」
パッセルは苦笑気味にそう言った。
シルウェストリス公の目が、光った。
「君の考え方は、この国にとって革新的だ。
一体どこでそういう事を学んだのかね?」
フェリスは内心、クレイドは表情まで凍り付いた。
聞かれた本人は…
「そういうシルウェストリス公こそ、この国にあって先進的な思想をお持ちであらせられる」
紅茶を一口含んだ後、そう切り返した。
執事は3人の姿を見ると、すぐに紅茶の用意を始めた。
年長者の務めとして、クレイドが3人を代表し公爵に挨拶をした。
「シルウェストリス公爵様、本日はお忙しい中お時間を頂き、誠に有難う御座います」
「分かっているなら長々しい挨拶は抜きで本題に入れ」
シルウェストリス公は視線を一切動かす事無くそう言い放った。
ぴりついた空気の中、パッセルは動じる事無く45度頭を下げ、言った。
「はい、では失礼して。
最近、私の『仲間たち』に報奨金が配られたと聞きました。
組織を代表し、厚く御礼申し上げます」
そうして頭を上げたパッセルに、シルウェストリス公が問うた。
「…礼を言いに来ただけか?」
「ええ、一番はそれです。
二番目に…私の『仲間たち』を今後どうしようとお考えなのか聞きに参りました」
迅速に議題へと話を進めるパッセル。
シルウェストリス公は即答した。
「彼らをどうこうするつもりはない。
ただ今の状態では、貴族からの横やりに耐えられない事は分かるだろう」
組織とは言うが、要は平民が集まって出来たボランティア団体だ。
権力も無ければ金も無いでは、貴族に対抗できない。
「現に中央では、君のお仲間たちを危険視する声が上がっている。
王権を揺るがしかねんと言ってな」
ちょっと報奨金を配っただけなのに、王家派が煩いったら無いのだ。
そして、貴族派たちは「ボランティア団体に負ける程度の支持率なら辞めればぁ?(鼻ホジ)」という言葉を奴らに叩きつけたくて仕方が無い。
つまり、ちょっとした派閥争いの種なのだ。
その事ぐらい、パッセルにも分かっている。
だから言う。
「ええ、ですから第一王子殿下に後ろ盾となって頂いております」
「ああ、知っている。
だがたったそれだけではな」
シルウェストリス公は不敬をものともせず言う。
「彼が愚昧な王になるとは思わんが、そのうちまた阿呆が王になった時、どうなるか分からんだろう」
「ですから私の目が黒いうちに、この組織を全国へ拡げ、かつ国民からの寄付で運営できる基盤を整えたい。
本部は王都ではなく、この国の地理的中心になる場所に。
支部は連絡機能だけを領役場へ置きたいと」
パッセルもまた即答する。
この組織をどうしていくべきか、考えない日は無い。
「…私が死んでもこの国は続いていく。
ならば、災害支援の輪は残していかなければ」
災害に強い国にする事。
魔物に負けない国、飢えない国の、その次。
防災大国、災害支援先進国になる事。
そして、近隣の国で起きた災害に対し、支援団いち早くを派遣し、恩を売れる国になる事。
国の好感度を上げて、戦争を仕掛け難くする事が出来れば…。
パッセルは膨らんだ思いを語る。
だが、シルウェストリス公は非情な言葉を浴びせかける。
「だが彼らも代を重ねるにつれ中身が変質して、ならず者に成り下がらない保障はあるまい」
パッセルは一瞬頭に血が上りかけるが、次の瞬間にはもうそれを納めて公爵の考えを問う。
「…と、申しますと?」
「彼らを地方官吏の非常勤として雇う。
そうして採用に外部の目を入れ、ただの慣れ合い所帯になる事を防ぐ」
「ほう…?」
成程、公爵はそのような構想を持っていたのか…
ならば話は早い、とパッセルは思った。
自分も「地方行政と組織の連携は必要」と考えていたのだ。
ここからが本番だ、とパッセルは改めて気合いを入れ、そして言う。
「いくつか質問させて頂いても?」
***
フェリスとクレイドが成り行きを見守る中、二人は大筋で合意をした。
何より、2人とも災害対策に前向きだ。
飢えないだけでは豊かとは言えない。
安全な国にしなければ…。
内容は騎士団の編成や国家予算にまで及んだ。
「細部に関しては、後日また話し合おう。
人事は宰相にも相談せねばならんからな」
「…アルベンシス候は王家派の筆頭とお聞きしましたが?」
すると、シルウェストリス公はニヤリと笑って言った。
「有能なら誰でも使う、それが組織と言うものだ。
君のように爵位を持たぬ者でも、何でもな」
「…ふ、ふ…確かに、そうですな」
パッセルは苦笑気味にそう言った。
シルウェストリス公の目が、光った。
「君の考え方は、この国にとって革新的だ。
一体どこでそういう事を学んだのかね?」
フェリスは内心、クレイドは表情まで凍り付いた。
聞かれた本人は…
「そういうシルウェストリス公こそ、この国にあって先進的な思想をお持ちであらせられる」
紅茶を一口含んだ後、そう切り返した。
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