話が違う2人

紫蘇

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学園2年目

研修24日目

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北の辺境での研修最終日。

クレイドは国境警備システムや騎士団の運用について学び、また辺境の騎士たちに「攻撃しながら魔法を発動する戦法」を伝授し、キレネア辺境伯から「見どころのある奴」という評価を頂いた。

フェリスは「公爵家のご子息が土を!芋虫を!」と周囲をびびらせつつ、薬草の採取は勿論、薬草園の運営について学び、魔力回復ポーションを作ったり新しい抑制ポーションの作り方を伝授したりもした。

パッセルは言うまでも無く、辺境領の全ての村を視察し、魔法農法を広める事に努め、避難訓練を通じて災害救助隊の芽を育てた。
実験用の冷温倉庫建設も終わり、後は雪が降るのを待つだけ…
成功かどうかは、来年・再来年になるまで分からない。

「今回の研修は『成功』…で、良いんだよな?」
「ええ、、ですが。
 兄上もフェリス殿も、キレネアから貰うばかりの存在では無い事が伝わったはずです」
「そうだね、僕らにも教えられる事があるっていうのは有難かったね。
 教えて貰うばっかりだと、やっぱ気後れしちゃうもん」

せっかくここまで来たんだし、最後ぐらい羽を伸ばそう!
…と、誰が言いだしたかは定かでないが、3人は揃って街へお出かけだ。

「久々の3人組だな!」
「ええ、ようやく気兼ねなく喋れますよ」
「パッセルはほぼ教える側だもんね」
「しかも、いちいち言動を記録されていますしね…滅多な事は言えません」
「マジか、屁もできない感じか」
「んもうクレイドったら、お下品なんだから~!」
「すまんすまん、羽目を外し過ぎないようにしないとな!」

2人の王子には、なぜか付いて来たがる辺境伯のお相手を頼んできた。
強引にパッセルを連れ回した報いだ、とクレイドとフェリスは笑って言った。

「それよりさ、ヤギミルクのチーズサンドと、羊の串焼きと、はちみつミルクと…。
 やっぱ観光といえば食でしょ?お土産も買って帰りたいし~」
「よっし、片っ端から食おう!」
「ええ、名物全制覇しましょう、折角ですし!」

小遣いは充分にある。
長い研修の最後を楽しい思い出で締めくくるべく、3人は市場へと駆け足で向かった。

***

一方その頃、北の辺境伯と2人の王子もまた街へ出てきていた。

「隣国との交流は、滞りなく?」
「ええ、産品の売り買いは勿論、最近では楽団や大道芸人を通じての交流も増えました」
「そうか、それは何よりだな」
「ところで、ユバトゥスとの交流はどの様に?」
「残念ながら、それほどには…。
 やはり魔物が出ますから、民間ではなかなか手が出ません」
「そうでしたか」
「放置されていた西の土地が整備されれば、少しずつ交流は増えるでしょうが…」
「ふむ、そういう意味でも捨てられた西端を再開拓するのは必要という事でしょうな」
「ええ、やりたがる者がいなくて数十年…ようやく希望者が出て来た今こそ、とは思っているんですがね」

ギル王子とリュノ王子の2人で、西の辺境領を再興する必要性を説く。
だがキレネア辺境伯にとっては隣領となる事もあり、他人事ではない。

「とはいえ、辺境を治めるというのは意外に金がかかるものでしてな。
 あのクレイドという若者が、学生からいきなり辺境伯になるというのは理解を得られ難いかと」
「それは重々承知している。
 だからこうして、キレネア殿にお願いしたのだ。
 彼が辺境伯に相応しい人物たるかを見極める事を」

キレネア辺境伯は領主派だが、派閥からは一歩引いた存在である。
領主派筆頭の息子だからと言って忖度するような事は無い、と誰もが納得する人物の一人だ。
そして、もう一人は当然、東の辺境伯…ステルラタ。
そのステルラタ辺境伯領は、数年前大嵐の被害に遭い、かなり早い段階でパッセルの世話になっている…

キレネア辺境伯はその事を考え、一つの提案をする。

「…パッセルに一度辺境伯を任せ、クレイドを部下につけ、育成した後に…というのは?」
「キレネア殿、パッセルも学生だし、しかもオメガだ」
「おまけに平民出身…となれば、貴族派も王家派も黙りますまい」

領主派であれば誰もが納得するであろう人事が、中央では通じないのだとギル王子。
リュノ王子もその言葉を後押しする様に、パッセルでは余計に反発されるだろうと予想する。

「ああ、それぞれの派閥の筆頭とて、彼らを説き伏せるのは容易ではなかろう。
 ならばやはり、クレイド・の方が理解は得易い」

ギル王子は、シルウェストリス公とアルベンシス候が既にこの計画に前向きである事を暗示する。
その上で、あなたはどう考えるかをキレネア辺境伯に問う。

「それで、キレネア殿の目には、クレイド・モンタルヌスがどう見えたのか…。
 総合的に見てご判断頂きたい。
 西の辺境を治めるに足る人物なのかどうか、を」

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