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合わさる世界
ついに脱稿、そして校正
しおりを挟む「パッセル様、ここの文章なのですけれど、少々分かりづらいかと存じますので注釈をお願い致しますわ」
「ええ、かしこまりました」
「ギル殿下、ここの文章ですが、助詞が分かりにくいですわ」
「ふむ……では書き直すとするか」
3学期もいつの間にか中盤になり、魔法農法・魔法工法の出版スケジュールも大詰め。
今日はパッセル・ギル王子・リュノ王子の3人とウルサ嬢の4人で校正作業の真っ最中だ。
「挿絵の方はいかがです、リュノ殿下?」
「実によく出来ている……すごいな」
「お褒め頂き、有難う御座います。
職人たちも喜びますわ!」
「ああ、今度礼をしに行かねばな」
勉強会の方は、フェリスとエバ王子とアラウダで回している。
とはいえ、もう3学期だ。
各自やりたい事も見つかっているしグループも確立しているので、それ程相談に乗る事も無いのだが……。
「フェリス様、この薬草は……」
「うん、良くある腹痛を抑える薬草だよ。
王都の外れで採取した時には、葉の色が赤だったんだけど、ここへ植え替えたら緑になったんだ。
土が違うと、そういう事があるみたい」
「そうなんですね……薬効は?」
「変わらないけど、抽出の時間が長くなるね」
自分が作った小さな薬草園を引き継いでくれる人間を探すために、フェリスは忙しくしている。
エバ王子も今後のアルバトルス王国を共に盛り立てていける人物を探しているし、アラウダは宮廷で真面目に働いてくれそうな人材に声をかけたりしている。
「志さえ同じなら、バース性にはこだわらない」
エバ王子もアラウダもそう宣言しているから、何とか2人と話そうとする学生も多い。
「何でも真面目に取り組む姿勢と、他人の話を聞ける素直さが大事だ」
「自分がこの国の為になると思う事をぶつけ合って前に進むんだ」
「今より少し豊かな国を目指す。
現状維持だけでも大変な事は分かっているが、それでもだ」
卒業したら王になる男と、その最側近になる男。
最終学年を前にして、二人にはその自覚がしっかりと芽生え始めていた。
***
一方その頃、学園の中等部では、3年生が高等部に入る為の準備が進んでいた。
中等部と高等部の大きな違いと言えば、領主貴族の子が編入してくる事と寮住まいが可能になる事。
それから、より専門的な「科」が存在する事だ。
高等部にあるのは、
・騎士科
・薬学科
・医師科
・商業科
・魔法科
・総合科
の6科である。
今まではアルファの学生だけが専門の科を選択できたが、今年からは全生徒がその対象だ。
当然、そこそこの混乱が発生していた。
「……オメガの学生でも、騎士科を選べるんですか?」
「まあ、戦えるという事であれば……だが」
「となると、適性診断の試験が必要になりませんか」
「……確かに」
こうして、選択できる科を振り分ける為の試験が行われる事になったのは良いが、問題は人手が足りない事だ。
「高等部にも力を借りるべきだな」
「そうですね、教えるのはあっちなのですし、見込みのない人間を先に振り落としておけるのであればあちらとしても悪い話ではないでしょう」
こうして、高等部側に助力を頼む事になったのはいいが、問題は時期だ。
あまり後の方になると、3学期の試験とかぶる。
さすがにそれは避けるべきだろう。
しかし、急に試験内容を作るというのもそれはそれで大変……
「あっ」
「どうしました理事長」
「現任訓練ですよ!
ほら、シルウェストリス公が王宮官吏の人事に取り入れているという、あの」
「ああ……お試しで入ってみて、適性があるか確認する?」
「それそれ!試験をわざわざするよりも、取り敢えず1週間程、体験させてみれば良いんじゃないですかね」
「なるほど良い案だ」
「それで交渉してみましょう」
急がないと、最長6週間の日程が必要になる。
中等部の理事長はその日に高等部の理事会を訪ね、それを提案し、すぐに承認を貰う事に成功した。
なかなかのやり手である。
「という事で、来週から現任訓練で」
「おお、すぐに周知して希望を取りまとめましょう」
「そうですね、まずは騎士科スタートの魔法科終わりが12~15人……」
「待って下さい、全員に6つとも回らせるんですか?」
「科ごとに希望を聞いて調整する時間なんかありません、だったら全員強制の方が早い」
「……確かに?」
……という事で、中等部の3年生が高等部へ6週間通うことが急に決定した。
その3年生の中には、もちろんあのラディアもいるわけだが……
学生たちにその事が伝わるのは、もう少し後の事であった。
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