話が違う2人

紫蘇

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合わさる世界

新キャラ調査

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ギル王子から懺悔にも似た発言があった翌日。

「ほほう、ここが中等部ですか」
「そう、ここには中央で働く貴族の子どもや、王領で働く貴族の子どもが通ってるんだ」
「二人とも早く!3年生の教室はこっちだよ」

ギル王子が「自分を支えてくれる人物になり得る」と言った人物を探るため、すでに授業の無いクレイドと、退学させられようが大して困らないパッセル、常に成績上位なので多少サボってもお咎めなしのフェリスの3人は学園の中等部に潜入していた。

「……兄上は、ここへ?」
「いや、俺は地方の中等校。
 学園の中等部は高等部と違って、寮が無いんだ」
「では王領から来ている生徒は?」
「うん、王宮に住込みで働きながら通う」
「……そうやって王家への忠誠を育てる、と」
「正解」

潜入にしては喋り過ぎな気もするが、3人は一応コソコソと物影を進んでいく。

「実はカレン様に、その子の話っぽいのを聞いてて」
「えっ、いつの間に」
「カレン様にも独自の情報網が……
 さすがモンタルヌス」

知れば知るほど、モンタルヌス家は異常だ。
異様に強い前当主、キレると人が変わる当主、謎に情報通な当主の妻に、有能な長男、モテすぎる次男、

「……地味すぎる三男、ってな」
「とはいえ地味なのは見た目だけですがね」

確かに実績を見れば、一番派手なのは三男の……いや。

「養子もまあまあ派手だもんね?」
「心外な、至って大人しくしておりますのに」
「まだ暴れる余地があるのかよ」

三年生の教室に外側から近づく。
フェリスの認識阻害魔法があれば廊下からでも見つかる事は無いだろうが、念の為……

「どっちの教室でしょうな」
「どっちも見てみたら良いんじゃない」
「つか、外見の情報無くね?」
「大丈夫、王妃様に聞いて来たから」

王都に戻って来た後の報告会でこっそり聞いたんだ、とフェリス。
さらりと情報の裏を取っているあたり、やはり彼も普通ではない。

「それで、どんな外見なんだ?」
「うん、桜を思わせる色の髪に透き通るような緑の瞳だって」
「桜……ピンクの髪?」
「うん、言いたい事は分かる」

ここに来てピンク髪。
それは恋愛ゲームの主人公にありがちな設定。

「でも、RPGだと」
「BL要素込みのRPGなのかも」
「まって、びーえるって何」
「男同士の恋愛です」

もしそんな要素があったとして、このゲームについては完全に未知のものだ。
つまり……

「攻略対象者が分からない」
「面倒ですな……」
「それは僕も思った」

攻略対象に、クレイドが入っていたら?
彼が急にクレイドを狙ってきたら?
本当はオメガかもしれない彼が、クレイドの運命の相手だったら……

「なあ、こうりゃくたいしょうって?」
「恋愛対象者ですね。
 基本的に見た目に華が……」
「えっ……じゃあフェリスも?」
「!?」
「可能性はあります」
「まじか……」

落ち込むクレイドを見て、フェリスは思った。
この事態に不安を抱えているのは、自分だけでは無いのだ……と。

「兎に角、ピンク髪を探しましょう。
 正確にはピンクっぽい髪を」
「……うん」

こっちの世界に寄っているとするなら、いきなりピンク髪は無いはずだ。
今まで突飛な髪色の人間はいなかったのだか、ら……

「あ、あれ、見てみ!」
「……お、おお?」
「確かにピンク、っぽ、い……?」

クレイドの指差す先。
ピンクゴールド、といった感じの髪色に緑色の目。
そして、少々小柄で可愛らしいタイプの生徒が、見えた。

***

昼休みの時間まで監視を続けた結果、彼の名前が判明した。

・リドティ。
夢で聞いたのと同じファーストネーム…

「間違いなく彼でしょうね」
「小柄で華奢なのも、本当はオメガなんだって話に繋がりそうだしね」
「肝心なのは、ギル殿下の事をどう思っているかって事だな」
「後、パッセルに悪感情があるかだよね……」

バース性を偽る事は法律で禁じられている。
それほど厳しい罰則があるわけではないが、法を犯した事がバレるのは不味かろう。
それなのに王子に近づくというのは、どういう意図があるのか……。

「お互い利用し合う仲……なら、パッセルとの恋愛も大目にみてくれそうだな」
「恋愛感情が一切なければね!
 けど、どう考えてもギル王子は攻略対象者でしょ」

確かにフェリスの言う通りだ。
剣の腕は立つし、美形だし、何より王子様である事を考えれば当然だろう。

「だから、一切ないって事は無いと思うんだ。
 ってことは、パッセルが作った勉強会を一緒に引き継ぐって、多分無理だよね」

フェリスの放った一言は、パッセルの胸に突き刺さり……

新しい体制は彼抜きで考えなければな、と考えた。

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