話が違う2人

紫蘇

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合わさる世界

勝負の3学期

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開眼した外国語教師をモンタルヌス領に置き去りにして、学園に戻って来た一行は速やかに学生生活へと戻った。

「お疲れ様でしたリュノ殿下!フェリス様!クレイド様!パッセルさんも!」
「お帰り、ギル。
 ところでは在ったのか」
「ええ、ありました。
 諸々の事、後で共有しましょう」
「ああ、俺も実際を見に行きたいが……今はそれで我慢しよう」

すっかり仲良しのエバ王子とギル王子は、二人並んで仲良く会話をしつつ歩く。
その間、オヴィスはエバ王子の隣で二人の会話を聞く事に集中している。
話の腰を折ってはいけない場面だとしっかり理解しているようだ。

エバ王子はそんなオヴィスに微笑みながら、さらに弟に報告を求める。

「……あの教師は?」
「ええ、3学期が終わったら辞表を提出し、モンタルヌス領に行くと。
 教育の大切さを証明する為に、平民の子どもたちのための初等学校を作るのだそうで……」

外国語教師は、あの家でどのように矯正されたのか分からないが、いつの間にか『全ての国民に初等教育を』という思想だけを残したまま「バース性による偏見」を取っ払われていた。
こわい。

「それは素晴らしい挑戦ですね!
 少し様子を見て、形が見えたら我々も」
「そうですね、オヴィス殿」

ニコニコと最後に会話に加わるオヴィス。
フェリスはそれを見て満足気に頷き、

「オヴィスも立派な王妃様になれそうだ」

と呟いた、が……
その一方で、クレイドとの結婚は不安定だ。

「……クレイドは卒業したらどうするの?」
「ああ、ダンジョンで武者修行したいって奴らと一緒に、一足先に西の辺境へ行く事になって」
「えっ、そんな仕事あるの!?」
「いや……出来た、つか、作った、つうか。
 試験先の騎士団で、ダンジョンの話ばっかりされるからさ……。
 いっそ専属班を作ってやってみたらどうでしょう、って話をしたんだよね」

そのクレイドの発言がコロコロと転がって、いつの間にかクレイドを団長とする西方ダンジョン騎士団が出来上がってしまったのだ。
誰かの思惑が関わっているとしか思えない。

「だからさ、春休みに拠点を作りに行こうと思って……」
「じゃあ僕も行く!」

フェリスは前のめりに主張した。
薬草園の準備もしたいし、畑も、果樹園も作りたいし、牧場も出来たら作りたい。
それに、何より……新居の事も決めたい。

「夏休みにも、冬休みにも遊びにいく!
 それで、春休みには……お嫁に行く」
「お、おう……、待ってる」

すると今度はそれを聞いていたパッセルが言った。

「私もフェリス殿に同行しても?」

2人の邪魔はしたくない。
それでも一貫して、辺境の地を開拓する事を目指してきたパッセルは、最初にあの地に鍬を入れるのは自分だと決めている。
その仕事だけはフェリスにもクレイドにも取られたくない……

そんな決意を、クレイドは受け止めて、言った。

「当然だろ、俺たちは3人で辺境に旗を立てるんだからな!」


***


そうして始まった3学期は、問題は起きなくとも慌ただしい。

学園内の様々な活動も卒業していく3年生に代わり、次にリーダーとなる2年生への引き継ぎを始めた。

生徒会、各種委員会、部活動……。

第一寮裏の勉強会も、。
現リーダーのパッセルは2年生だから、来年までにこの「勉強会」を引き継ぐ人間を決めればいい……
とはいえ。

「長く続く組織にする為にも、新しい体制の事は今から考えねばなりませんね」
「そうだね、来年にはエバ殿下も僕もパッセルもいなくなるんだもん」

とは言え、リーダーはもう決まっている。
ギル王子だ。
身分もバース性も無く学び合うのがルールの勉強会ではあるが、王子を差し置いてリーダーに名乗りを上げる人間はいないのが現状……。

「……ギルには誰か当てがないのか?
 今から鍛えれば、ギルの右腕になってくれそうな人間は」
「はあ、そうですね……」

ギル王子には1人、当てがあった。
パッセルに恋をした余波で距離は開いてしまったものの、今でも婚約者候補である人物だ。

「来年、入学してくる学生の中に、1人」
「そうなんですね!
 どんな方なんですか?」
「……思えば、酷い扱いをしてきた」
「えっ」
「彼が許してくれるかは分からないが……
 もう一度、関係を築き直せたらな、と、思ったりもする」

そう言って、ギル王子は遠い目をした。

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