話が違う2人

紫蘇

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合わさる世界

やっと恋人らしく

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ラディア含む3人が食堂から去った後、ラディアの席の真後ろに座っていたパッセルは深いため息をついた。

「……何を考えているんだ、オヴィス殿は」
「これを機に、あなたとラディア君の仲を良好にしたいという事でしょう」

アラウダの言い分を聞いて、さらに深いため息をつくパッセル。
思えば珍しい組み合わせだが、これもあのジンクスのせいである。

「何目的で?」
「今の人間関係を維持したまま、ギル殿との仲を良好に保つためでしょう。
 兄と弟の関係が良好になった事で、第一王子派も第二王子派も大人しくなりましたからね」
「つつかぬ方が良い藪もあると言うのに」

クレイドを辺境伯にしてフェリスとの結婚を成功させたら、王宮なんぞに用は無い……

というわけにはいかない。

災害救助隊の話。
騎士の魔物討伐訓練の話。
街道を整える話。
魔法農法・魔法工法テキスト出版の話。
番契約解除の魔法を広める話……

他諸々、すでに宮廷の中心人物と進めている話は沢山ある。

さらには「西の辺境から王都まで短時間で行き来できる『馬より早い』移動手段」の開発には国立研究室までが絡む事態に発展しており…まあ、主にシルウェストリス公が圧と金を…であるからには、王宮メンバーと疎遠になる事の方が有り得ない。

「…お二人が接近するのを大前提に考えれば、呑気にもしていられない、か」
「そうです。
 その為に一つ、作戦があります」
「……まさかとは思いますが」
「ギル殿下とは円満に別れた、とお聞きしましたが?」
「だからと言って、リュノ殿下と番うと決まったわけではありませんよ」
「はいはい」

珍しくアラウダがパッセルの言い分を無かった事にし、作戦内容をパッセルに伝えた……


***


「それでは行こうか、パッセル」
「……はあ」

その日の放課後から、アラウダ…ではなくオヴィスが考えた作戦が開始された。
名付けて「パッセルはリュノ王子とラブラブなので、ギル王子のものにはならないんだよ」作戦……

ながい。

「腰に手を回す必要性を感じませんが」
「何を手ぬるい事を!
 白昼堂々キスしても足りないぐらいだ」
「おことわりします」

リュノ王子にしてみれば、ようやく自分のばんになったところで様々な事件が起こり、恋人らしい事を何も出来ていなかったのを取り返すチャンスである。

「愛しているよ、パッセル」
「重々存じ上げています」
「そうだろうか?俺としてはまだ半分も愛を伝えていないんだが」

そう言ってリュノはパッセルを抱き寄せて耳元にキスをする。

「……離れて頂けますでしょうか?」
「うーん、この程度では動揺しなくなったか…
 では」

リュノ王子はパッセルの顎に指をかけ、自分の方に向かせると……

「やめなさい!人前で!!」
「では人前でなければ良いと?」
「人前以外であなたに会う事があればね」

およそ恋人同士とは思えない会話。
だが、これでも高等部の学生を焚きつけるには充分だ。
これまでどれだけ注目され、警戒されてきたか。
この2人が2人だけで歩いている時点で、追加燃料は充分……

「やはりギル殿下ではなくリュノ殿下か」
「まあ、クレイド殿とフェリス様も無事婚約なさったし」
「そのクレイド殿も、来年には西の辺境へ着任すると聞いたぞ」
「フェリス殿は長期休暇の度に通われるとか」
「ああ、それで王都と西の辺境を結ぶ街道が」

しかもその街道を整備しているのがパッセル…となれば、これはもう彼が西の辺境へ入植するのが決まっているようなものだ…。
リュノ殿下も、この国に骨を埋めるつもりでいるらしい…。

そんな周りの声を聞きながら、パッセルはまたため息をついた。

「……私ごときの事で」
「最早ごとき、と言っていい存在で無いのも、重々承知だろう?」
「承知と納得は別です」

あの時発案したダブルデート作戦をやり返されるとは……。

「因果応報、か」

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