あなたと夢見しこの百合の花

五月雨葉月/姫宮煌輝

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03. 憧れの先輩

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 わたしが出てきたことに気がついたのか、そっと顔をあげる五行先輩。そんなひとつひとつの動作も、洗練されたように美しく、可愛らしかった。

「……あっ! お姉さま、じゃなくて五行先輩……。どうしてここに……」

 つい言葉を発してしまった。すると五行先輩はそっと眉を潜めた。そんな顔もとっても可愛らしくて……じゃなくて!!

「す、すみません、すみませんっ!」

 まともに会うのは初めてなのに、何か悪いことをしてしまったのではないか、失礼なことをしてしまったのではないかと焦って、ひたすら頭を下げる。
 と、五行先輩が、凛とした澄んだ綺麗な声で聞いてきた。

「あなた、確か1年5組のクラス委員の……御津さん、だったかしら?」
「は、はいっ! 御津清歌です! すみません、わたしっ……!」

 名前、覚えていてくれたんだ……。あの五行先輩に……。今の自分の立場を忘れ、ぽーっとしてしまう。わたしの名前を呼んでくれただけなのに、五行先輩に呼ばれただけなのに、こんなに嬉しいだなんて。

「いいのよ。……ところで、どうして泣いていたの? 何か悲しい事でもあったのかしら?」

 五行先輩の言葉を聞いて、ドキッとする。
 ……もしかして、泣いてるところ、聞かれてた?

「い、いえっ! 先輩のお手を煩わせるわけにはいきません! わ、わたしは……大丈夫です…………」

 恥ずかしい。憧れの先輩に、泣いてるところを聞かれてしまった。
 私は耐えきれず、走り出してしまった。

「すみませんっ、すみません!」
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