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06. 大きなお屋敷
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わたしは地図を頼りに、かかれた場所まできたのだけれど……。な、なんて大きなお屋敷!!
わたしは、教室の横幅くらいあるんじゃないかという大きさと高さをもつ、大きな大きな門の前に立ち尽くしていた。
「こ、ここでいいんですよね?」
独り言を呟く。……もちろん返事は返ってこない。
何度地図を見ても、通りかかる地域の人に聞いても、周辺を歩いてみても、明らかにこの場所で間違いはなかった。
わたしはたっぷり5分間くらい扉の前を行ったり来たりして、深呼吸をして勇気を固め、ついにその扉の呼び鈴に指を触れようと――したところで、大きな門が、大きさの割に静かな音でいきなり開き始めた。
「お待ちしておりました。御津清歌さまですね?」
はわっ!? メイドさんだ……。はじめてみた……。じゃなくて!
「は、はいっ! そうですっ!」
中から出てきたメイドさんの問いに答える。
……メイドさんもいるだなんて。一体誰がわたしを呼んだのだろう?
「こちらへどうぞ。お嬢様がお待ちです」
「わ、わかりました」
お嬢様、ということは、女の子みたい。……それはそっか、星花は女子校だし。女の子以外から手紙を貰うなんてあり得ないよね。
メイドさんに付いて、広くて綺麗なお庭を通り、玄関へと向かう。これまた大きな玄関扉を通り、更に長いながい廊下をひたすら歩く。
お屋敷は、由緒ある洋館で、中は木と白い壁を中心とした構造になっていた。大きな窓ガラスに、古い立派な木でできた家具は、ひとつひとつがとても美しくて見ていて飽きることがなかった。
あと驚いたことに、私が好きな生け花も所々に飾ってあった。幼い頃から長く続けてきたわたしよりもとっても上手で、洋館に和の文化、違ったもののはずなのに、どちらもあまり威張ることなくバランスをとって引き立てあっている素晴らしいものだった。
玄関までと廊下の窓から見えるお庭は、庭、というよりも庭園といった方が合いそうな、様々な花が咲き誇る綺麗で豪華な造りをしていた。
チラッと見えた水しぶきから、噴水もあるんだと分かった。
と、先導してくれているメイドさんが、バルコニーのようなところから外へ出て、庭園へと入って行く。花の隙間を縫うようにして、どうやら先ほど見えた噴水の方へと向かっているみたい。よくよく目を凝らすと、噴水のとなりにガゼボがあり、可愛らしいフリルのついた、薔薇柄の清楚なディアンドルを着た黒髪の長い女の子が、私を案内してくれているメイドさんと同じ服を着た人――同じくメイドさんだろう――を控えさせながら、ゆったりとチェアに座り足を組んで、テーブルに置かれたカップに手を伸ばし優雅に本を読んでいた。
「ほえっ? 五行先輩!? わたしを呼んだのって、五行先輩なんですかっ!?」
誰だか分かった瞬間に思わず叫んでしまう。わたしは驚きを隠せず、口許に手を当てて固まっていた。
わたしは、教室の横幅くらいあるんじゃないかという大きさと高さをもつ、大きな大きな門の前に立ち尽くしていた。
「こ、ここでいいんですよね?」
独り言を呟く。……もちろん返事は返ってこない。
何度地図を見ても、通りかかる地域の人に聞いても、周辺を歩いてみても、明らかにこの場所で間違いはなかった。
わたしはたっぷり5分間くらい扉の前を行ったり来たりして、深呼吸をして勇気を固め、ついにその扉の呼び鈴に指を触れようと――したところで、大きな門が、大きさの割に静かな音でいきなり開き始めた。
「お待ちしておりました。御津清歌さまですね?」
はわっ!? メイドさんだ……。はじめてみた……。じゃなくて!
「は、はいっ! そうですっ!」
中から出てきたメイドさんの問いに答える。
……メイドさんもいるだなんて。一体誰がわたしを呼んだのだろう?
「こちらへどうぞ。お嬢様がお待ちです」
「わ、わかりました」
お嬢様、ということは、女の子みたい。……それはそっか、星花は女子校だし。女の子以外から手紙を貰うなんてあり得ないよね。
メイドさんに付いて、広くて綺麗なお庭を通り、玄関へと向かう。これまた大きな玄関扉を通り、更に長いながい廊下をひたすら歩く。
お屋敷は、由緒ある洋館で、中は木と白い壁を中心とした構造になっていた。大きな窓ガラスに、古い立派な木でできた家具は、ひとつひとつがとても美しくて見ていて飽きることがなかった。
あと驚いたことに、私が好きな生け花も所々に飾ってあった。幼い頃から長く続けてきたわたしよりもとっても上手で、洋館に和の文化、違ったもののはずなのに、どちらもあまり威張ることなくバランスをとって引き立てあっている素晴らしいものだった。
玄関までと廊下の窓から見えるお庭は、庭、というよりも庭園といった方が合いそうな、様々な花が咲き誇る綺麗で豪華な造りをしていた。
チラッと見えた水しぶきから、噴水もあるんだと分かった。
と、先導してくれているメイドさんが、バルコニーのようなところから外へ出て、庭園へと入って行く。花の隙間を縫うようにして、どうやら先ほど見えた噴水の方へと向かっているみたい。よくよく目を凝らすと、噴水のとなりにガゼボがあり、可愛らしいフリルのついた、薔薇柄の清楚なディアンドルを着た黒髪の長い女の子が、私を案内してくれているメイドさんと同じ服を着た人――同じくメイドさんだろう――を控えさせながら、ゆったりとチェアに座り足を組んで、テーブルに置かれたカップに手を伸ばし優雅に本を読んでいた。
「ほえっ? 五行先輩!? わたしを呼んだのって、五行先輩なんですかっ!?」
誰だか分かった瞬間に思わず叫んでしまう。わたしは驚きを隠せず、口許に手を当てて固まっていた。
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