続・異世界温泉であったかどんぶりごはん

渡里あずま

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料理チート、と簡単に言うけれど

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 一方、その頃のグルナはニゲルの王宮で料理を作らされていた。
 ロッコの店から誘拐されてきたので普段、使っている食材や調味料がない。代わりにタイ米ではなくジャポニカ米、あと念願の大豆醤油やしいたけ、そしてキクラゲもあったのでちょっと洋風な料理を作っている。ちなみに今日は、鳥ガラスープを使った和風ピラフだ。

「飯出来たぞー」
「おぉっ! いただきますっ……美味いっ!」
「……どうも」

 木の皿に載せて運ぶと、歓声を上げてハオが美味しそうに頬張る。
 誘拐犯なので複雑なのだが、料理人としては自分の料理が褒められると当然、嬉しい。だから短くお礼を言うと、ハオは口の中のピラフをキチンと呑み込んでから口を開いた。行儀が良い。

「あるものでこれだけ作れるなら、香辛料や食材を用意したらもっと作れるな」
「……いや、平民だけど国民誘拐されたんだから、アスファル帝国じゃ買えないだろ?」
「だったらルベル公国とか、アジュール王国から買えばいいだろう? 風魔法での転移魔法が使えるのは俺だけで、一回は実際に行かないと戻って来られないけど……美味いものが食えるなら、遠出もやぶさかじゃない」
「って、王子がそんなフットワーク軽くていいのかよ?」
「俺は! こんななんちゃって洋食にも感激するくらい、飢えてるんだよ!? あと俺、第五王子兼外務大臣だから国外に出ても問題ないしな」
「……成程?」

 ニゲルの台詞でほぼ確信していたが、この国に着いた時にハオから自分と同じ転生者だと聞かされていた。だからこうして二人きりなら、前世の言葉を使ってもスムーズにやり取り出来る。

「てか、素直に俺をロッコに帰してくれれば、食材も調味料も融通するけど?」
「それじゃあ、好きな時にお前の飯が食えなくて本末転倒だろう? お前はニゲルここで、思う存分料理チートをすればいい」
「……俺さ。恵理と出会わなかったら、そもそも前世の料理をこんなに作ろうって思わなかったんだよな」
「え? 料理チート、出来るのに?」

 グルナがそう言うと、ハオは意外そうに声を上げた。気持ちは解るが、グルナとしても言い分はある。

「多少は知識があっても、ラノベみたいに特殊能力ある訳じゃないし……でも、恵理のミートソーススパゲティ食べて。しかも飯、美味いって言って貰えて……もっと、喜んでほしくなったんだよな」
「俺も、美味いって言ってるだろう? 先に出会ったからって、お前を独占できるなんてずるいじゃないか」

 グルナの言葉に、ハオが拗ねたように唇を尖らせる。
 見た目はクールな美形なのに、言動から年下というだけじゃなく、もしかしたら前世はもう少し若かったかもしれないと思う。
 そんなハオに「困った奴」だと思いつつ、グルナは肩を竦めて続けた。

「……むしろ、俺が恵理に独占されたいんだよ」
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