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攻防
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暁視点
※
「誓いの見返りとして、僕は遊星と口づけました」
「はっ!?」
「悔しかったら、あなたも四の五の喚いていないで遊星の使い魔になって下さい」
遊星を抱きしめながら、金髪の少年(名前を聞いたかもしれないが覚えていない)がそう言ってきたのに――呆然とした後、暁はハッと我に返った。
そして、深紅の瞳を据わらせると暁は大股の足取りで近づいて、二人を思い切り引き剥がした。奪われないように片手を腰に回し、もう片方の手で遊星の顎を持ち上げて視線を合わせた。
「……なる」
「暁?」
「己は汝が為の力となり、知識となり、命となる」
暁の紡いだ言葉は『魂の誓約』の為の誓句だった。創世神から得た知識で、そのことを遊星も気づいたのだろう。見上げてくる黒い瞳を驚きに見開き、次いで嬉しそうな笑みに細める。
……この眼差しを、笑顔を、手に入れたいと思った。その為なら、何だって出来ると思った。
(悔しい? それは、当然だ)
遊星のファーストキスは、あの腹の立つ金髪に奪われた。けれど、人間以外になったことで暁は魂レベルで遊星と結ばれることが出来るのだ。
……それ故、暁は遊星の唇に誓いの口づけを落とし。
咄嗟に目を閉じた遊星には気づかれないように、チラッと目の前の金髪の少年へと目を向けて――挑むように、微笑んでみせた。
※
遊星と『魂の誓約』を交わしたことで、遊星と暁が転生時に与えられていた全属性の魔力が再構築された。暁の淀んで凝っていた魔力は、減りこそしたが安定し。一方、分け与えられた遊星はと言うと。
「……う~」
属性こそ変わらないが、魔王のみが持っていた『他者の魔力と属性を読み取る力』が付与されたことで遊星はグッタリしていた。本人曰く「強すぎる度の眼鏡をかけたような」感覚だと言う。だから暁は遊星と、仕方ないのでアルバ達を連れて魔法学園の寮まで戻ってきた。
「大丈夫ですか、遊星?」
「可哀想だが、治癒魔法は控えろよ。慣れるまで、ゆっくり休ませるしかない」
「……解ってますが。何故、あなたが遊星に膝枕をしているんですか?」
「使い魔の特権」
「なっ!?」
「……冗談だよ。元が俺の魔力だから、こうやってくっついていた方が馴染むのが早い」
多分ね、と心の中だけで嘯いて、暁は青ざめた顔で目を閉じている遊星の頭を撫でた。金髪の少年も納得はしていないようだが、それよりも遊星の方が大事なのだろう。それ以上は追求せず、代わりに別なことを聞いてきた。
「あなたは、これからどうするんですか?」
「どうするも何も、俺は遊星の使い魔になった……流石に魔王は名乗らないけど、魔族レベルなら使い魔になれるだろう?」
「……人間に、擬態は出来ないんですか? 出来るなら、一緒に魔法学園に通えますよね」
「えっ?」
「元々は、僕達と同じ年の人間だったんですよね?」
「…………」
おそらく、だが。金髪の少年がこう言ってきたのは、遊星が喜ぶと思ってだろう。そして再構築されたとは言え、暁の魔力だとSクラスにも簡単に入れる。更に使い魔だと始終見守りは出来るが、堂々と遊星の隣にいることは出来ない(ガブリエルはその辺り、随分と自由なようだが)
「敵に塩を送るって?」
「……よく解りませんが、遊星とは違う意味であなたに目の届くところにいて欲しいだけです。どうせ就業後は、僕達と一緒にいますよね?」
いっそ清々しいまでに本音を口にした相手に、思わず口の端が上がる。
「俺は暁。こっちの言い方だと、暁・向坂かな? お前は?」
「アルバ・ヴェーチェルです」
「苗字だと言い難いから、名前で呼ぶ」
「お好きなように。僕も、勝手にします」
……いつしか、眠りに落ちた遊星の頭の上で。
暁は、金髪の少年――アルバと、そんな会話を交わした。
※
「誓いの見返りとして、僕は遊星と口づけました」
「はっ!?」
「悔しかったら、あなたも四の五の喚いていないで遊星の使い魔になって下さい」
遊星を抱きしめながら、金髪の少年(名前を聞いたかもしれないが覚えていない)がそう言ってきたのに――呆然とした後、暁はハッと我に返った。
そして、深紅の瞳を据わらせると暁は大股の足取りで近づいて、二人を思い切り引き剥がした。奪われないように片手を腰に回し、もう片方の手で遊星の顎を持ち上げて視線を合わせた。
「……なる」
「暁?」
「己は汝が為の力となり、知識となり、命となる」
暁の紡いだ言葉は『魂の誓約』の為の誓句だった。創世神から得た知識で、そのことを遊星も気づいたのだろう。見上げてくる黒い瞳を驚きに見開き、次いで嬉しそうな笑みに細める。
……この眼差しを、笑顔を、手に入れたいと思った。その為なら、何だって出来ると思った。
(悔しい? それは、当然だ)
遊星のファーストキスは、あの腹の立つ金髪に奪われた。けれど、人間以外になったことで暁は魂レベルで遊星と結ばれることが出来るのだ。
……それ故、暁は遊星の唇に誓いの口づけを落とし。
咄嗟に目を閉じた遊星には気づかれないように、チラッと目の前の金髪の少年へと目を向けて――挑むように、微笑んでみせた。
※
遊星と『魂の誓約』を交わしたことで、遊星と暁が転生時に与えられていた全属性の魔力が再構築された。暁の淀んで凝っていた魔力は、減りこそしたが安定し。一方、分け与えられた遊星はと言うと。
「……う~」
属性こそ変わらないが、魔王のみが持っていた『他者の魔力と属性を読み取る力』が付与されたことで遊星はグッタリしていた。本人曰く「強すぎる度の眼鏡をかけたような」感覚だと言う。だから暁は遊星と、仕方ないのでアルバ達を連れて魔法学園の寮まで戻ってきた。
「大丈夫ですか、遊星?」
「可哀想だが、治癒魔法は控えろよ。慣れるまで、ゆっくり休ませるしかない」
「……解ってますが。何故、あなたが遊星に膝枕をしているんですか?」
「使い魔の特権」
「なっ!?」
「……冗談だよ。元が俺の魔力だから、こうやってくっついていた方が馴染むのが早い」
多分ね、と心の中だけで嘯いて、暁は青ざめた顔で目を閉じている遊星の頭を撫でた。金髪の少年も納得はしていないようだが、それよりも遊星の方が大事なのだろう。それ以上は追求せず、代わりに別なことを聞いてきた。
「あなたは、これからどうするんですか?」
「どうするも何も、俺は遊星の使い魔になった……流石に魔王は名乗らないけど、魔族レベルなら使い魔になれるだろう?」
「……人間に、擬態は出来ないんですか? 出来るなら、一緒に魔法学園に通えますよね」
「えっ?」
「元々は、僕達と同じ年の人間だったんですよね?」
「…………」
おそらく、だが。金髪の少年がこう言ってきたのは、遊星が喜ぶと思ってだろう。そして再構築されたとは言え、暁の魔力だとSクラスにも簡単に入れる。更に使い魔だと始終見守りは出来るが、堂々と遊星の隣にいることは出来ない(ガブリエルはその辺り、随分と自由なようだが)
「敵に塩を送るって?」
「……よく解りませんが、遊星とは違う意味であなたに目の届くところにいて欲しいだけです。どうせ就業後は、僕達と一緒にいますよね?」
いっそ清々しいまでに本音を口にした相手に、思わず口の端が上がる。
「俺は暁。こっちの言い方だと、暁・向坂かな? お前は?」
「アルバ・ヴェーチェルです」
「苗字だと言い難いから、名前で呼ぶ」
「お好きなように。僕も、勝手にします」
……いつしか、眠りに落ちた遊星の頭の上で。
暁は、金髪の少年――アルバと、そんな会話を交わした。
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