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無理
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話は、クロエ達が呼び出された後まで遡る。
クロエ達が食堂に行くと、先に来ていたソフィアとその友人達が温かく迎えてくれた。そこまでは想定内だったが、話したいことがあると言われて、平民であるレーヴは空気を読んでオーベル達と共にこの場を離れ。自分の分の弁当を手にクロエが席に着くと、ソフィアが思いがけないことを言い出した。
「お父様に、ハリド殿下との婚約解消を申し出ることにするわ」
「「「えっ?」」」
「王命だから、最低限の義務を果たしてくれればと思っていたけれど。友人というだけではなく、か弱い女性を数人がかりで脅す方には不安しか感じないわ」
義務と言うのは、後継ぎ問題だろう。しかし確かに(実際はか弱くないが)女性を脅す男と言うのは、普通に印象が悪い。
元々、復讐対象の力を削ぐのにソフィアとハリドとの婚約解消を狙ってはいた。それ故に、クロエと他国とのつながりをアピールしていたが──まさか、友人のクロエが脅迫されたことが理由になるとは。
「あの、先日は安易に頷いてしまいましたが……呼び出しがなくても、お断りするつもりだったんです」
「そうなの? まあ、そうだとしても父には話すわ。あ、気にしないでね? 生理的に無理になっただけだから……解消出来なくても、一人で抱え込むのはやめることにしたの」
「ソフィア様……解りました」
確かに、今更ながらに未成年の令嬢一人で抱えるには重すぎる。微笑むソフィアにクロエも頷き、他の彼女の友人二人も顔を見合わせて言った。
「……私も、父に相談してみます。確かに、解消までは難しいかもしれませんが……」
「私も……そうします」
「ええ。家族に頼れるのは、学生のうちまでだもの」
ソフィアの言葉と、素直に頷く友人達に内心、安堵する。婚約者に振り向かれず、ラウラのせいで他の学生達から侮られていた令嬢達が相談しないのは、ジャンヌの親のように冷たい親子関係なのかと思っていたが──単に、家族に心配をかけたくなかったようだ。
(あとは俺が、ユージンからの誘いを断るだけだが……身分が下の俺からは、話しかけられないからな。登校してきて、声をかけられるのを待つか)
そう思っていたクロエだったが次の日、登校してくる筈のユージンが遅刻をし。
昼休みの頃に現れた彼は、クロエだけではなくハリドも呼び出したのだった。
※
「聞きたいことがある……ローラン嬢。君はハリドに呼び出されて、脅されたのか?」
「人聞きが悪い。分を弁えろと伝えただけだ」
生徒会室でのユージンからの問いかけに、クロエが答える前にハリドが唇を尖らせて言った。子供ではないので、まるで可愛いとは思えない。とは言え、まさか正直にそうとは言えないのと、断るにはちょうど良いと思って頭を下げた。
「仰る通りです。殿下、申し訳ございませんでした」
「待ってくれ!」
「っ!?」
「ユージン!?」
だが、そんなクロエを制するようにユージンが肩を掴んでくるのに、クロエもだがハリドも驚いて声を上げた。
クロエ達が食堂に行くと、先に来ていたソフィアとその友人達が温かく迎えてくれた。そこまでは想定内だったが、話したいことがあると言われて、平民であるレーヴは空気を読んでオーベル達と共にこの場を離れ。自分の分の弁当を手にクロエが席に着くと、ソフィアが思いがけないことを言い出した。
「お父様に、ハリド殿下との婚約解消を申し出ることにするわ」
「「「えっ?」」」
「王命だから、最低限の義務を果たしてくれればと思っていたけれど。友人というだけではなく、か弱い女性を数人がかりで脅す方には不安しか感じないわ」
義務と言うのは、後継ぎ問題だろう。しかし確かに(実際はか弱くないが)女性を脅す男と言うのは、普通に印象が悪い。
元々、復讐対象の力を削ぐのにソフィアとハリドとの婚約解消を狙ってはいた。それ故に、クロエと他国とのつながりをアピールしていたが──まさか、友人のクロエが脅迫されたことが理由になるとは。
「あの、先日は安易に頷いてしまいましたが……呼び出しがなくても、お断りするつもりだったんです」
「そうなの? まあ、そうだとしても父には話すわ。あ、気にしないでね? 生理的に無理になっただけだから……解消出来なくても、一人で抱え込むのはやめることにしたの」
「ソフィア様……解りました」
確かに、今更ながらに未成年の令嬢一人で抱えるには重すぎる。微笑むソフィアにクロエも頷き、他の彼女の友人二人も顔を見合わせて言った。
「……私も、父に相談してみます。確かに、解消までは難しいかもしれませんが……」
「私も……そうします」
「ええ。家族に頼れるのは、学生のうちまでだもの」
ソフィアの言葉と、素直に頷く友人達に内心、安堵する。婚約者に振り向かれず、ラウラのせいで他の学生達から侮られていた令嬢達が相談しないのは、ジャンヌの親のように冷たい親子関係なのかと思っていたが──単に、家族に心配をかけたくなかったようだ。
(あとは俺が、ユージンからの誘いを断るだけだが……身分が下の俺からは、話しかけられないからな。登校してきて、声をかけられるのを待つか)
そう思っていたクロエだったが次の日、登校してくる筈のユージンが遅刻をし。
昼休みの頃に現れた彼は、クロエだけではなくハリドも呼び出したのだった。
※
「聞きたいことがある……ローラン嬢。君はハリドに呼び出されて、脅されたのか?」
「人聞きが悪い。分を弁えろと伝えただけだ」
生徒会室でのユージンからの問いかけに、クロエが答える前にハリドが唇を尖らせて言った。子供ではないので、まるで可愛いとは思えない。とは言え、まさか正直にそうとは言えないのと、断るにはちょうど良いと思って頭を下げた。
「仰る通りです。殿下、申し訳ございませんでした」
「待ってくれ!」
「っ!?」
「ユージン!?」
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