愛とか恋とかストーカーとか

なかあたま

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ストーカーとか恋とか愛とか

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「本当に、ごめんなさい」 

 俺のTシャツを羽織った真辺くんがソファの上でしゅんとしている。肩を落とし、縮こまった姿は叱られている子供のようだ。
 俺は淹れたてのコーヒーを彼に渡す。マグカップを受け取った真辺くんは「ありがとうございます」と頭を下げた。

「いや、謝罪するのは俺の方だよ」

 彼の前で膝をつき、見つめる。真辺くんは耳まで真っ赤にして潤んだ瞳を伏せた。

「僕、嬉しすぎてはめを外しすぎました……前島さん、引かないでください……」

 真辺くんは片手で顔を包み、俯いてしまった。手を取り、握りしめる。
 その手は熱く、汗ばんでいた。

「いや、俺が悪いんだって。真辺くんは謝らないで」
「ひ、引きませんでしたか?」

 汗を滲ませ、ひとりごちる真辺くんの前髪を掻き上げる。

「は、歯止めが効かなくなっちゃって……初めてなのに、あんなに暴走しちゃって……」

 あ、本当に初めてなんだ。そんな失礼なことを思ってしまった。
 だって彼はすごく乱れていたし、何度もイッていた。髪を振り乱し、唾液を垂らしながら善がる真辺くんは慣れているように見えた。

「前島さんに求められていると思うと、張り切ってしまって……」
「いや、その。俺は引いてないし、むしろ嬉しかったよ」
「ほ、本当ですか!?」

 彼の目が輝く。その目に圧倒された。

「あぁ。すごくエッチで可愛かったよ」

 自分の口から出た言葉がおじさんくさくて、思わず頬が引き攣った。
 しかし、俺のおじさんくさい発言など気にも留めてないのか、真辺くんは微笑む。

「よかったです。前島さんに気に入ってもらえて……」

 嬉しそうにする真辺くんが可愛くて、キスをした。触れるだけの口付けだったが、無意識に舌を入れ込む。
 「んっ」と上擦った声を漏らした真辺くんから唇を離す。彼は蕩けた目で俺を見つめた。

「真辺くん、あの……こんなことしといてなんだけど……俺と付き合わない?」
「もちろんです!」

 食い気味に答えられ、俺はビクッと体を跳ねさせた。真辺くんは目を輝かせる。こんな少年のような笑みを見せる彼に薬を盛ったのかと思うだけで罪悪感が滲んだ。

「僕、前島さんが望むこと、なんでもします。前島さんの好きなプレイはなんですか?」

 前のめりになった彼が勉強熱心な学生みたいに俺へ問うた。
 本当に俺のことが好きなのだなぁと改めて知り、彼を強く抱きしめた。
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