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ストーカーとか恋とか愛とか
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◇
どうしてこうなったのか、俺にはさっぱり理解できない。
真辺くんを上手い具合に家へ招き入れ、晩酌にまで漕ぎ着けた。
ワインに薬を入れて、彼に飲ませて。呂律が回らなくなり、体の自由を奪ったところまでは良かった。
寝室へ寝かせ、犯すという段階までは俺の計画通りだった。
「いやです、やめてください、どうしてこんなことをするんですか」と泣きながら拒絶する真辺くんの手首を拘束し、腰を押し付ける。
そんな彼を思い描いていたのに。
「あっ、まえじまさ、っ、あぁっ」
どうして、こうなった。
俺は騎乗位で腰を振る真辺くんを見上げ、そう思った。
鼻水や涙で顔を汚しながらこちらを睨みつけ抵抗する真辺くんを想像していた俺は、拍子抜けどころではなかった。
彼はよだれを垂らし、恍惚とした眼差しで俺を見つめている。
俺の胸板に手を置いて上下運動をしている真辺くんは、とても色っぽかった。
────飲ませた薬って淫剤だったか?
俺が飲ませたのはレイプドラッグのはずだ。彼の動きを封じるだけのもののはず。
しかし、彼は乱れている。それはもう、驚くほどに。
「あっ、あ゛ッ、あ~……、すき、すきです、ま、まえじまッ、さ」
潤んだ瞳が俺を射る。その度に、心臓がバクバクと脈を打つ。無意識に腰を打ちつけていた。
「お゛ッ────」
見た目からは想像もできないほどの汚い声が、彼から漏れる。
真辺くんの萎えた性器から、ゆるく性液が漏れる。彼の体が痙攣した。
「……また、イっちゃったの? 真辺くん」
「あっ、ご、ごめんなさ……」
言葉で攻めてやると、真辺くんが恥ずかしそうに目を伏せた。その仕草が春をひさぐ者のようで興奮を煽られた。
「き、きらいに、ならないで、ください」
真辺くんが俺に覆い被さった。唇を合わせ、何度も唾液を交換する。
彼がごくりと俺の唾液を嚥下した。じゅるりと音を立てる彼は、淫猥さを漂わせている。
合間に何度も「まえじまさん」と舌足らずな音で名を呼ばれ、我慢できなくなった。
腰を動かし、下から突き上げる。衝撃に耐えきれなくなったのか、真辺くんは体を寄せ、首に抱きついた。
耳に彼の熱い息がかかる。「まえじまさ、まえじまっ、さ、あっ、すき」と甘い声で喘がれ、頭に血が上った。全身に汗が滲み、目の前が霞む。
腰を打ちつけるたびに、限界が近づいてきた。
真辺くんの中が痙攣する。どうやらまた、中イキをするらしい。
どれだけ淫乱なんだ、と内心嫉妬する。こうやって男に媚を売っていたのかと思うと胸がゾワゾワとした。
限界が近づき、俺も彼の中で何度目かわからない射精をした。真辺くんの奥深くに吐き出したという高揚感に包まれ、意図せず息が漏れる。
「あっ、……ッ、まえじまさんの精液、全部、ぼくのなかに……」
うっとりとした声音でそう言われ、俺は耳の先まで赤くなった。汗ばんだ彼の体を抱き締める。
「……すき」
茹だるような真辺くんの愛の囁きが、脊髄へ染み渡る。「俺もだよ」と呟く。
そこでふと、やはりこの状況がおかしいことに気がつく。
俺は真辺くんの肩を掴み、自分から引き剥がす。真辺くんはまどろんだ瞳のまま、きょとんとしていた。
「あ、くっついちゃダメ、でした……?」
「いや、大丈夫だよ。えっと、ごめん、俺、ちょっと混乱していて……」
この状況を抵抗もせずにすんなりと受け入れている真辺くんに、違和感しかない。
「……ねぇ、真辺くん。一回、状況を整理していいかい?」
「どうぞ」
「……包み隠さず言うよ。俺は君のストーカーだ」
「はい、聞きました」
「な、なんで引いてないんだい?」
普通の人間はストーカーされていると知ったら、顔を引き攣らせ、恐怖に震えるだろう。
それも、相手は無害だと思っていた隣人だ。余計に不気味さが浮き立つ。
廊下ですれ違うたびに挨拶をするだけの隣人が、自分を性的な目で見ていたと知ってもなお、彼は平然と腰を振っていた。
それは一体、どういうことなのだろう。
「だって、僕もストーカーしてましたもん」
「……誰を」
「前島さんを」
真辺くんは居心地が悪そうに目を伏せた。まるでイタズラがバレた子供のような愛らしさが滲んでいる。
しかし、俺はそれどころではなかった。
────俺を、ストーカー? まさか、彼が?
挨拶するたびに見せたあの笑顔は、俺に対する好意から来るものだったのか。
だとすれば納得がいく。人懐っこい笑みも、媚びるような瞳も。
「すみません、好きです……あなたにこんなふうにされるなんて、夢にも思ってなくて、嬉しくて……」
真辺くんが体を倒す。
「ずっと、こうされたかった。あなたにメチャクチャにされたかった」
萎え始めた性器が再び力を取り戻す。それを感じてしまい、自分の滑稽さに呆れた。
「廊下ですれ違うたびに、あなたの笑顔にドキドキしていました」
どうやら、考えは同じらしい。似たもの同士、惹かれ合うものなのだろうか、とふと思った。
「ねぇ、前島さん。僕のこと、もっと好きに使ってくださいね。あなたが望むなら、痛いことも苦しいことも、なんでもします。縄で縛ったり、薬を使ったり、好きなようにしてほしいです」
男子大学生がしてはいけないほどのトロンとした瞳が、俺を射る。
抵抗できないほどの色香が俺を支配した。
「きみ……」
「はい?」
「こうやって、男を誘っているのか?」
あまりにも慣れすぎている。男に無理やり犯されたにも関わらず、彼はどこ吹く風だ。
「はじめてです」
「えっ」
「こうやって、お尻にいれたりするのは、はじめてです」
「前島さんが、はじめてです」と言われ、全身の血が沸々と熱くなる。我慢できなくなり、彼を押し倒した。
「あっ」と短い声をあげた真辺くんの首元を手で押さえる。
「初めてなのに、何回もイッて。ダメな子だな」
「躾が必要だ」。微笑みながらそう言うと、真辺くんの顔色が変わる。期待を孕んだ目をしていた。
首元を押さえていた手に力を込める。真辺くんの体がびくんと跳ね、吐息が漏れた。
────素質がありすぎるな。
口の中に唾液が滲む。音を立ててそれを飲み下し、真辺くんに抱きついた。
どうしてこうなったのか、俺にはさっぱり理解できない。
真辺くんを上手い具合に家へ招き入れ、晩酌にまで漕ぎ着けた。
ワインに薬を入れて、彼に飲ませて。呂律が回らなくなり、体の自由を奪ったところまでは良かった。
寝室へ寝かせ、犯すという段階までは俺の計画通りだった。
「いやです、やめてください、どうしてこんなことをするんですか」と泣きながら拒絶する真辺くんの手首を拘束し、腰を押し付ける。
そんな彼を思い描いていたのに。
「あっ、まえじまさ、っ、あぁっ」
どうして、こうなった。
俺は騎乗位で腰を振る真辺くんを見上げ、そう思った。
鼻水や涙で顔を汚しながらこちらを睨みつけ抵抗する真辺くんを想像していた俺は、拍子抜けどころではなかった。
彼はよだれを垂らし、恍惚とした眼差しで俺を見つめている。
俺の胸板に手を置いて上下運動をしている真辺くんは、とても色っぽかった。
────飲ませた薬って淫剤だったか?
俺が飲ませたのはレイプドラッグのはずだ。彼の動きを封じるだけのもののはず。
しかし、彼は乱れている。それはもう、驚くほどに。
「あっ、あ゛ッ、あ~……、すき、すきです、ま、まえじまッ、さ」
潤んだ瞳が俺を射る。その度に、心臓がバクバクと脈を打つ。無意識に腰を打ちつけていた。
「お゛ッ────」
見た目からは想像もできないほどの汚い声が、彼から漏れる。
真辺くんの萎えた性器から、ゆるく性液が漏れる。彼の体が痙攣した。
「……また、イっちゃったの? 真辺くん」
「あっ、ご、ごめんなさ……」
言葉で攻めてやると、真辺くんが恥ずかしそうに目を伏せた。その仕草が春をひさぐ者のようで興奮を煽られた。
「き、きらいに、ならないで、ください」
真辺くんが俺に覆い被さった。唇を合わせ、何度も唾液を交換する。
彼がごくりと俺の唾液を嚥下した。じゅるりと音を立てる彼は、淫猥さを漂わせている。
合間に何度も「まえじまさん」と舌足らずな音で名を呼ばれ、我慢できなくなった。
腰を動かし、下から突き上げる。衝撃に耐えきれなくなったのか、真辺くんは体を寄せ、首に抱きついた。
耳に彼の熱い息がかかる。「まえじまさ、まえじまっ、さ、あっ、すき」と甘い声で喘がれ、頭に血が上った。全身に汗が滲み、目の前が霞む。
腰を打ちつけるたびに、限界が近づいてきた。
真辺くんの中が痙攣する。どうやらまた、中イキをするらしい。
どれだけ淫乱なんだ、と内心嫉妬する。こうやって男に媚を売っていたのかと思うと胸がゾワゾワとした。
限界が近づき、俺も彼の中で何度目かわからない射精をした。真辺くんの奥深くに吐き出したという高揚感に包まれ、意図せず息が漏れる。
「あっ、……ッ、まえじまさんの精液、全部、ぼくのなかに……」
うっとりとした声音でそう言われ、俺は耳の先まで赤くなった。汗ばんだ彼の体を抱き締める。
「……すき」
茹だるような真辺くんの愛の囁きが、脊髄へ染み渡る。「俺もだよ」と呟く。
そこでふと、やはりこの状況がおかしいことに気がつく。
俺は真辺くんの肩を掴み、自分から引き剥がす。真辺くんはまどろんだ瞳のまま、きょとんとしていた。
「あ、くっついちゃダメ、でした……?」
「いや、大丈夫だよ。えっと、ごめん、俺、ちょっと混乱していて……」
この状況を抵抗もせずにすんなりと受け入れている真辺くんに、違和感しかない。
「……ねぇ、真辺くん。一回、状況を整理していいかい?」
「どうぞ」
「……包み隠さず言うよ。俺は君のストーカーだ」
「はい、聞きました」
「な、なんで引いてないんだい?」
普通の人間はストーカーされていると知ったら、顔を引き攣らせ、恐怖に震えるだろう。
それも、相手は無害だと思っていた隣人だ。余計に不気味さが浮き立つ。
廊下ですれ違うたびに挨拶をするだけの隣人が、自分を性的な目で見ていたと知ってもなお、彼は平然と腰を振っていた。
それは一体、どういうことなのだろう。
「だって、僕もストーカーしてましたもん」
「……誰を」
「前島さんを」
真辺くんは居心地が悪そうに目を伏せた。まるでイタズラがバレた子供のような愛らしさが滲んでいる。
しかし、俺はそれどころではなかった。
────俺を、ストーカー? まさか、彼が?
挨拶するたびに見せたあの笑顔は、俺に対する好意から来るものだったのか。
だとすれば納得がいく。人懐っこい笑みも、媚びるような瞳も。
「すみません、好きです……あなたにこんなふうにされるなんて、夢にも思ってなくて、嬉しくて……」
真辺くんが体を倒す。
「ずっと、こうされたかった。あなたにメチャクチャにされたかった」
萎え始めた性器が再び力を取り戻す。それを感じてしまい、自分の滑稽さに呆れた。
「廊下ですれ違うたびに、あなたの笑顔にドキドキしていました」
どうやら、考えは同じらしい。似たもの同士、惹かれ合うものなのだろうか、とふと思った。
「ねぇ、前島さん。僕のこと、もっと好きに使ってくださいね。あなたが望むなら、痛いことも苦しいことも、なんでもします。縄で縛ったり、薬を使ったり、好きなようにしてほしいです」
男子大学生がしてはいけないほどのトロンとした瞳が、俺を射る。
抵抗できないほどの色香が俺を支配した。
「きみ……」
「はい?」
「こうやって、男を誘っているのか?」
あまりにも慣れすぎている。男に無理やり犯されたにも関わらず、彼はどこ吹く風だ。
「はじめてです」
「えっ」
「こうやって、お尻にいれたりするのは、はじめてです」
「前島さんが、はじめてです」と言われ、全身の血が沸々と熱くなる。我慢できなくなり、彼を押し倒した。
「あっ」と短い声をあげた真辺くんの首元を手で押さえる。
「初めてなのに、何回もイッて。ダメな子だな」
「躾が必要だ」。微笑みながらそう言うと、真辺くんの顔色が変わる。期待を孕んだ目をしていた。
首元を押さえていた手に力を込める。真辺くんの体がびくんと跳ね、吐息が漏れた。
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