愛とか恋とかストーカーとか

なかあたま

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ストーカーとか恋とか愛とか

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 真辺くんが俺の家を訪れたのは、彼に出張土産を渡した翌日だった。
 初めて見た真辺くんの友人に嫉妬したりしたが、土産を渡した時の微笑みによって帳消しになった。(実際のところ、かなり嫉妬した。彼にまとわりつく悪い虫は、俺の手で排除したかった)
 ドアスコープから覗き込むと、真辺くんが緊張した面持ちで立っていた。
 俺はドアから離れ、その表情の可愛さに耐えきれず、弧を描いた口元を手で押さえる。
 浮ついた気分は、まるでクリスマスのプレゼントを待ち侘びる子供のようだ。自分にもまだこんな感情が残っていたのか、と内心笑う。
 深呼吸を繰り返し、ドアノブを捻った。
 ドアを開ける。真辺くんは少し驚いたように目を見開き、口元をきゅっと締めた。

「おや、こんばんは」

 なるべく平常心で声を漏らす。

「真辺くん。どうしたんですか?」
「あ、あの、あの。き、昨日は、その……お土産ありがとうございました。すごく美味しかったです」

 言い終えると、真辺くんは深々と頭を下げた。艶やかな髪が揺れる。
 俺は彼の肩に手を伸ばした。
 どうやら、土産の礼を言いに来たらしい。律儀な性格なのだな、と胸の奥が疼く。

「気を遣わせてしまったみたいで、申し訳ないな……でも、お口に合ったようで何よりです」

 俺の選んだものが彼の胃に収まった。その事実だけで、下半身が重くなる。

「そ、それで、その。お返しの品を渡したかったんですが……何が良いか分からず……」
「いいの、いいの。喜んでもらえただけで、十分だよ」

 目を泳がせながら言葉を選んでいる真辺くんは、とても可愛い。このまま家に引きずり込んでしまおうか、とさえ思う。
 あんな土産程度でこれほど喜んでくれるのなら、いくらでも持っていくのにな、と微笑んだ。

「すみません、いただいたのにお礼だけで済ませてしまって」

 しゅんとしている彼を見て、ある一筋の光を見つけた。
 彼を気絶させたり、無理やり家に引きずり込まなくても良いかもしれない。

「気にしないで────あ、そういえば」

 俺はわざとらしく声を上げる。真辺くんは俺の違和感に気がついていないようだ。

「……お礼の代わりと言ってはなんだけど、ちょっと手伝ってもらえないかな?」
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