みんなのたいちょう[完]

なかあたま

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「僕、またしたい」

 セプタが俺を見上げ、ポツリと呟いた。どうやら、もうお気に召したらしい。精子を出したばかりの性器をゆるゆると動かしている。「馬鹿。お前はこれで終わり」。俺は残念そうにしているセプタを引き剥がし、パンと手を叩く。

「今回はこれだけじゃない。見ろよ」

 俺はポケットからあるものを取り出す。男たちの視線が集中した。

「なんだそれ?」
「淫剤だ。どっかの薬局で仕入れた」
「はぁ? 大丈夫なのか?」

 男たちは心配するような口調でそう言ったが、目は笑っていた。隊長の体のことより、この薬を使用した際にどんな効果が出るか、ということの方が気になっている様子である。
 同時に、ルタの顔が強張った。俺の手に持たれた箱を凝視し、唇を振るわせている。自分が今からどうなるかを想像し、怖がっているのだろう。
 俺はこれみよがしに箱を開け、中身に入っている注射器を取り出す。

「隊長。ちょっとだけ、使ってみようか」
「いや、いや、薬は、いやだ」
「大丈夫だって。副作用とかないから……多分」

 「多分でいいのかよ」。男たちに突っ込まれ、俺は肩を竦めた。

「おい、ルパート」

 不意に扉が開いた。そこにはゴドフリーとバグシが立っていた。中へ入ってくる二人を見て、注射器を掲げながら笑う。

「遅かったな。セプタの童貞卒業の儀式はもう終わったぞ」

 ゴドフリーが「そういうのは事前に伝えろ」と俺の肩を小突いた。ゴドフリーは悪趣味ゆえ、ルタが嫌がる姿を見届けたかったのだろう。「残念だったな」と目を細める。
 逆にバグシはあまり興味がなさげだ。むしろ独り占めするセプタを見て、嫉妬する側である。こんな大人に嫉妬されるセプタが哀れで、こいつには見せなくてよかったなと思った。

「で、次はこれ」
「なんだそれ、麻薬か?」
「まぁ、どうだろうな。淫剤とは書いてあるけど、内容はそんな感じかもな」

 「あぁ、確か前にいいもん見つけたって言ってたな。これのことか」とゴドフリーが顎に手を当てて、注射器を眺めている。

「なるほど、面白そうだな」
「だろ?」
「隊長をヤク漬けにするつもりか?」

 バグシが眉を顰め言葉を荒げた。「そんなに心配するなよ。そこまで乱用しないって」とおどけて見せると、余計に顔を歪める。

「大丈夫だって。今の状況もヤク漬けの状況も、あんまり変わらないだろ」

 ゴドフリーが嫌味っぽく笑った。「それにお前が一番、壊れたルタを見たがってるくせに」と吐かれ、バグシは驚いたように目を見開いた。図星だったのだなと察し、ルタの手首を掴む。

「いや、やだ……っ」
「大丈夫、副作用があったら次回からはやめるから。な?」
「やだ、ねぇ、やめて、お願い、お願いだよ、いやだっ」

 「暴れるなよ、隊長」。ルタを拘束していた男たちが力を強める。抗うルタの腕に針を刺した。「動くなよ、怪我するぞ」と優しく宥め、手首を掴む力を強める。ゆっくりと注射器に収まっている液体を彼へ投与した。額に汗を滲ませながら顔を青褪めるルタは、小刻みに震えている。
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