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僕とアンドロイド
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◇
「そろそろ寝ようかな」
ここへ到着して早々、僕はメインコンピューターの前で作業を続けていた。
この施設に関する情報や、前任者であるキェン博士のこと、地下に埋まっている研究対象の詳細が載った資料を読み続け、約三時間が経過していた。
手元に置いていたマグカップへ手を伸ばし、コーヒーを啜った。
「エント博士」
「ぎゃっ」
肩に手を置かれ、声をかけられた。瞬発的に叫んでしまい、声が研究室内に響く。
振り返ると、そこにはアンドロイド────胸元に貼られたビニールテープにはスエイと記されていた────が立っていた。
僕は胸を撫で下ろし、頬を緩めた。
「ご、ごめん。集中していたから、ビックリしちゃった」
申し訳ありません、と彼が頭を下げる。「いいって」と笑い、その肩を叩いた。
「あ、僕はもう寝るね。君たちは────」
「私たちに休息は不要です」
キッパリと告げられ、思わず強張る。
確かに彼らはアンドロイドだ。故に疲れなどを一切感じない。
だからと言って、無休で働かせるのはなんだかとても残酷に思えた。
しかし、それも仕方がないことなのだと割り切り、咳払いをする。
「そうなんだね。じゃあ僕はお先に」
失礼するよ。そう放った言葉が途切れる。スエイと向き合っていたはずの体が、いつの間にかメインコンピューターの方へ向いている。
そのままデスクに押し倒され、愕然とした。背中に回された両腕を、硬い何かが掴んでいる。
それがスエイの手だと気づき、目を見張った。
うつ伏せの上半身を起こし、振り返る。スエイが見下ろしていた。
「へ? え? な、なに? どうしたの? え?」
困惑した僕に何も答えない彼が、臀部に硬いものを押し当てた。
息が一瞬止まり、心臓が冷えた。ぐりぐりと摺り寄せられ、喉の奥が震える。
「なに、なんなの? どうしたの? スエイ? これは一体、どういう────!?」
やっと絞り出せた言葉は、情けないほど怯えていた。
なんせ、彼に拘束された腕は解けない(考えられないほどの力で固定されている。勉強ばかりしてきた僕には叶わない)し、拘束している本人は何も言葉を発さない。
それに、先ほどから摺り寄せられている何かを察してしまい、僕は混乱していた。
────何故、アンドロイドに不必要なものが? どうして勃起している?
そう。彼は勃起した性器(と思われるパーツ)を僕の臀部に押し付けている。いや、正確には後孔に押し入ろうとしているのだ。
何度も布越しに挿入しようとしている動きに、つま先が浮き上がり背中が反った。
「ひっ、ひっ……ひっ、な、なに、なんで、どうして」
「エント博士、失礼します」
抑揚のない言葉が放たれると同時に、履いていたスラックスがずり下ろされる。
器用に片手だけでベルトを外し、チャックを下ろし、下着まで脱がせるスエイ。
その体を、足で蹴った。
「いった、あ……!」
じん、と痛みが全身に広がる。
それもそうだ。相手は鉄の塊である。非力な僕が無理な体制から蹴飛ばしたところで、ダメージがいくはずもない。
後孔に何かが触れる。全身に汗が滲み、額から頬へ滑り落ちた。
「やめて、やめてっ、お願い、スエイ、やだっ……んぁ゛!」
ゆっくりと侵入してきた先端が、ヌプヌプと何度も出入りを繰り返す。
妙な感覚に脳の裏がチリチリと痛み、目の前が霞んだ。
「き、もち、悪いっ、ねぇっ、やだ、やだよ、助けて! 助けてっ……」
僕は必死になって、研究所で作業をしている他のアンドロイドたちへ声をかける。
しかし、彼らはこちらを一瞥した後、すぐに作業へ戻った。
まるでこの光景は当たり前と言わんばかりな態度に、絶望する。
────何故、助けてくれないんだ? ここの管理者は僕のはず……。
⬜︎⬜︎⬜︎
加筆+既存の作品が修正されたバージョンがKindleにて電子書籍で出ています。
読み放題でしたら無料となりますので、もしよろしければお暇つぶし程度に読んでいただけますと嬉しいです。
プロフィールのリンクから、もしくはAmazonで「侵食」で検索していただけますと幸いです。
「そろそろ寝ようかな」
ここへ到着して早々、僕はメインコンピューターの前で作業を続けていた。
この施設に関する情報や、前任者であるキェン博士のこと、地下に埋まっている研究対象の詳細が載った資料を読み続け、約三時間が経過していた。
手元に置いていたマグカップへ手を伸ばし、コーヒーを啜った。
「エント博士」
「ぎゃっ」
肩に手を置かれ、声をかけられた。瞬発的に叫んでしまい、声が研究室内に響く。
振り返ると、そこにはアンドロイド────胸元に貼られたビニールテープにはスエイと記されていた────が立っていた。
僕は胸を撫で下ろし、頬を緩めた。
「ご、ごめん。集中していたから、ビックリしちゃった」
申し訳ありません、と彼が頭を下げる。「いいって」と笑い、その肩を叩いた。
「あ、僕はもう寝るね。君たちは────」
「私たちに休息は不要です」
キッパリと告げられ、思わず強張る。
確かに彼らはアンドロイドだ。故に疲れなどを一切感じない。
だからと言って、無休で働かせるのはなんだかとても残酷に思えた。
しかし、それも仕方がないことなのだと割り切り、咳払いをする。
「そうなんだね。じゃあ僕はお先に」
失礼するよ。そう放った言葉が途切れる。スエイと向き合っていたはずの体が、いつの間にかメインコンピューターの方へ向いている。
そのままデスクに押し倒され、愕然とした。背中に回された両腕を、硬い何かが掴んでいる。
それがスエイの手だと気づき、目を見張った。
うつ伏せの上半身を起こし、振り返る。スエイが見下ろしていた。
「へ? え? な、なに? どうしたの? え?」
困惑した僕に何も答えない彼が、臀部に硬いものを押し当てた。
息が一瞬止まり、心臓が冷えた。ぐりぐりと摺り寄せられ、喉の奥が震える。
「なに、なんなの? どうしたの? スエイ? これは一体、どういう────!?」
やっと絞り出せた言葉は、情けないほど怯えていた。
なんせ、彼に拘束された腕は解けない(考えられないほどの力で固定されている。勉強ばかりしてきた僕には叶わない)し、拘束している本人は何も言葉を発さない。
それに、先ほどから摺り寄せられている何かを察してしまい、僕は混乱していた。
────何故、アンドロイドに不必要なものが? どうして勃起している?
そう。彼は勃起した性器(と思われるパーツ)を僕の臀部に押し付けている。いや、正確には後孔に押し入ろうとしているのだ。
何度も布越しに挿入しようとしている動きに、つま先が浮き上がり背中が反った。
「ひっ、ひっ……ひっ、な、なに、なんで、どうして」
「エント博士、失礼します」
抑揚のない言葉が放たれると同時に、履いていたスラックスがずり下ろされる。
器用に片手だけでベルトを外し、チャックを下ろし、下着まで脱がせるスエイ。
その体を、足で蹴った。
「いった、あ……!」
じん、と痛みが全身に広がる。
それもそうだ。相手は鉄の塊である。非力な僕が無理な体制から蹴飛ばしたところで、ダメージがいくはずもない。
後孔に何かが触れる。全身に汗が滲み、額から頬へ滑り落ちた。
「やめて、やめてっ、お願い、スエイ、やだっ……んぁ゛!」
ゆっくりと侵入してきた先端が、ヌプヌプと何度も出入りを繰り返す。
妙な感覚に脳の裏がチリチリと痛み、目の前が霞んだ。
「き、もち、悪いっ、ねぇっ、やだ、やだよ、助けて! 助けてっ……」
僕は必死になって、研究所で作業をしている他のアンドロイドたちへ声をかける。
しかし、彼らはこちらを一瞥した後、すぐに作業へ戻った。
まるでこの光景は当たり前と言わんばかりな態度に、絶望する。
────何故、助けてくれないんだ? ここの管理者は僕のはず……。
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