嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第二章 翔の仕事

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「廉くん、ごめん。」
ぷいっとそっぽを向く。
2回目に目を開けると翔さんが隣の布団で寝ながらこっちを見ていた。
「あーあ、翔さん廉ちゃんのことまた怒らせた。」
百々が楽しそうに笑う。
部屋はまだ寝ていた俺のためにロールカーテンは下がったままでほんのり薄暗い。
「廉くん、真面目な話をしようか。」
座りなおした翔さんは少しだけ俺に近づいてそう言った。
布団をかぶって寝たまま、俺は耳だけ傾けてあげた。
「んー・・・。俺はねたった7人しか従業員がいないけど一つの会社の社長をやってるでしょ?」
少しだけ顔を出して翔さんの方に向く。
百々もベッドの上で話を聞いている。
「あのね、確かに文は副社長だけどさ文はそれじゃなくとも俺の手伝いをたくさんしてくれてるし、常に俺と業務連絡してるから風邪で休むくらい文一人でフォローできると思うけどさ、今回みたいに給料関係とかは俺がやらないと社員が家賃遅延とか支払いに困るとか、そういうことが起こるの。たった一日でも支払いって遅延したら信頼を失う場合もあるんだよ。この間起きた通り魔事件もね、俺は社員を守らなければならない。俺は働いてもらう代わりにスタッフたちの生活と命を守らないといけないし、そういうのをちゃんとすることでスタッフと俺との信頼関係が強くなるんだよ。」
「・・・・」
「廉くんももう少しして、支払いとか自分でし始めたらどういうことかわかるよ。」
「廉ちゃん、わかってるけど心配だったんだよね?」
「うん・・・。」
「そっか。ありがと。心配かけちゃったね。」
「ほんと、廉ちゃん心配性なんだから気を付けてよね!!」
「ごめんて。もう大丈夫。貧血からだからもう治ったし、ね?」
「・・・・」
「廉ちゃん、もう機嫌直して~。お腹空いたから不機嫌なの?」
「子ども扱いするな、バカ百々!!」
「あ!バカって言ったほうがバカなんだよ!!」
「こらこら小学生みたいな喧嘩しない。」
「・・・勉強しよ。」
「廉くんいつからだっけ。」
「来週から」
「そっか、じゃぁしばらくは大学メインだね。」
「お手伝いはしに行きます」
「じゃぁ、大学の授業終わったら連絡して。迎えに行く。」
「自分で・・・・お願いします。」
「うん。」
「廉ちゃん、あとでカフェでテイクアウトしない?」
「カフェ行くの?」
「二人だけで!?危ないよ」
「二人で行くよ。カフェは危なくない!」
「ダメ。二人だけで行動しない。美人兄妹最近近所で話題になってるし・・・」
「そんな噂出てるんだ。」
「うん、となりのばあちゃんからあの二人はだあれ?って聞かれたし。」
「私たち有名人だ!」
「有名になると危ないんだぞ?俺は最悪」
「ほら、俺が送り迎えするから。」
「「はーい・・・」」
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