嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第二章 翔の仕事

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あれから5日さらに過ぎた。
翔さんはお見舞いに来ることはもちろんない。
蹴られたことも言葉もすべて思いだすだけで痛くて・・・。
初めて家出して福岡に行ったとき、手紙で翔さんの気持ちやトラウマを知った。
でも、あの手紙すら今は信じられることができないくらい俺は翔さんに対しても恐怖心を持ってしまった。
母さんの話では、百々が完全に翔さんを拒否しているようだ。
俺を蹴ったことが最大の原因らしい。
百々は百々で俺が暴力を受けるところを見てしまった過去があるから、そりゃそうなるだろう・・・。
俺はずっと誰とも言葉を交わしていない。
大学の勉強は百々が道具を持ってきてくれて、暇な時に予習をしている。といっても母親が2か月体調不良で休学をすると提出してくれたので今はまだしなくてもいいのだろうが。
トントン・・・・
ノックする音が聞こえて、扉が開く。
文さんと風太さんがいた。
「廉くん、どう?体調。」
「大丈夫っすか?顔色まだ悪いっすね・・・。」
下を向き俯く俺。
「大丈夫だよ。俺たちが勝手に話すから。」
そう言って笑いかけてくれる文さんはどこか切なそう。
どうしてそんな顔をするのだろう。

「廉くん、すりリンゴ作ってきたっす。冷やしとくから後でゆっくり食べてくれたらうれしいっす!」
沈黙を破り風太さんがプラスチック容器に入ったすりリンゴを俯く俺の視界にいれた。
食事はずっと食べれていない。
口に無理に含んでも戻すからだ。
「翔にね、全部聞いたよ。僕は廉くんを弱いとか思わないよ。強いよ。廉くんは。弱いのは翔だよ。いつまでたっても空くんと廉くんをいつの間にか重ねてる。あいつが一番弱い。」
「俺もそう思ったっすね。廉くんは前のお父さんのトラウマを超えて羽間を守ろうとしたっす。いつまでもちょっとしたきっかけで過去に戻って暴力まで振るった翔さんは弱いっす。」
わからない。もうが強い人間で何が弱い人間か・・・。
わかるのは、俺が何かすれば誰かを怒らせてしまうことだけ。
じゃぁ何もしゃべらない、何もしない。それでいいんだと思う。
今の俺には二人の言葉すら頭に入らなかった。
何を信じたらいいのか、誰を信じたらいいのかもわからない。
俺は迷路に入って出られない迷子のようだ。
一人でもがき苦しむ。
でも、ゴールにたどり着くまで誰も俺を助けることなどできない。
「廉くん、早くお仕事に戻ってきてくださいっす。」
「また一緒にメロンソーダ飲んだりしながらお仕事しよう?」
二人はそう言って病室を出ていった。
30分後またノックの音がした。


そこにいたのは羽間さんだった。
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