嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第三章 二人の距離

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「廉ちゃん!!おはよ~!」
「・・・・」
あれ?今日って平日じゃ・・・。でも、百々がいる・・・。
「廉ちゃんもう夕方4時だよ?」
「・・・・」
病室の時計を見ると確かに4時・・・。そんなに寝てしまったのか・・・。
「廉ちゃん、勉強進んでる?来年には大学再開できるといいね!」
「・・・・」
「廉ちゃん百々にだけでも口きいてくれない?」
枕に完全に体重をかけて窓の外を見ている俺の頬を百々がツンツンする。
百々は確かに俺を裏切らないかもしれない。
でも、百々を信じてもし裏切られたら・・・?
「廉ちゃん、10歳の日に戻っちゃった?パパはいないよ。今のパパは直人さんだし。直人さんは廉ちゃんにひどいことしないでしょ?わかってるから直人さんの診察とか受けれてるじゃん・・・。ママも廉ちゃんの声聞きたいってこないだ泣きそうになってたよ・・・。百々も廉ちゃんの声聞きたいし、普通にしゃべりたい・・・。」
「・・・・」
「廉ちゃん早く戻ってきてね・・・」
そう言って百々は病室を出て行った。


戻ってきてね。か・・・。
ごめん。それはもう無理かもしれない。
臆病な俺は一歩が踏み出せない。

コンコンコンー
「廉くん、こんばんは。」
「こんばんはっす!」
「今日は早く仕事が終わったから、廉くんに会いたくなっちゃって。」
文さんと風太さんはニコニコ笑う。
「廉くん、そのぬいぐるみもいいけど、じゃーん!!新しい子っす!」
ラッコのぬいぐるみを出してきた風太さん。
「ラッコは寝てるとき手をつないで寝るんすよ。流されてバラバラになるからっすかね?」
正直どこでこのぬいぐるみを仕入れたのかの方が気になる。
「あともう一人、トイレの前に幽霊連れてきたっす。」
「・・・・」
「意気地なしの翔君。俺達がずっと間にいるからね。」
そこで下を向いていた翔さんと目が合ってしまった。
「・・・」
「文さん廉くんの震えが・・・」
「廉くん、僕を見て?」
そう言って目線を文さんが自分の方へ向けさせる。
「怖くないよね?」
そう言ってニコニコする。
風太さんは僕の手を握ってスリスリ撫でてくれている。
「廉くーんほらラッコぎゅーって握っていいからね」
言われた通り片手でラッコをギューッと握りこむ。
「ほら廉くんのこと翔は攻撃しないよ~」
「そうだ、このカラーボールえいって投げてみてっす!こうっす!」
風太さんが翔さんにカバンから出した緑のボールを投げる。
軽くキャッチして固まる翔さん。
「絶対怒らないから大丈夫だよ。廉くんもポイってしてごらん?」
文さんが支えながら翔さんにボールを投げた。
もちろん風太さんみたいに勢いはなくコロコロと途中で転がっていった。
「ほら怒らなかったでしょ?」
怒らなかったけど・・・・怖いものは怖いのだ。
下を向いて俯くと文さんに頭を撫でられた。
「風太が特別なココア作ってきたから飲んでやって?」


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