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第四章 転調
静かな校舎
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学校に到着したものの、校内は異様なほど静かだった。
休日とはいえいつもは部活動が盛んで、騒がしいはずなのだが……。
運動場には人っ子一人いない。
「あれか。あの騒ぎで部活動中止にしているのか」
「そうなのかな?」
カジに訊いてもわかるわけではないか。
それともそれ以外の何かを言いたいのか。
「あのー。すみません」
ふと問いかけられた俺は後ろに振り返った。
そこに立っていたのは、手提げ袋を腕にかけた、背の低い茶色い髪のご婦人が立っていた。
「はい。どうしました?」
カジがすかさず対応する。
「体育館ってどこになりますか?」
「あ、ここから真っ直ぐ進んで、向こうの分かれ道を右に曲がったところにありますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえいえこちらこそ」
ご婦人はペコリと会釈する。
俺らも会釈をした。
そして少し覚束ない足取りで歩いていった。
姿が見えなくなるまで、見送っていた。
「あの人誰だろう?」
「さあな」
知らないし、知っても特に関係ありそうな人にも思えない。
「でも今日って体育館で何かあるの?」
「さあ?」
カジの質問に答えられるはずもない。
そんなことに興味もない。今はとりあえず佐嶋を探すのを優先したい。
ふとカジを一瞥すると、まあなんとも興味津々そうな瞳をしている。
「体育館を覗きに行きたいって顔してんな」
「わかった?」
むしろ当てられたことにより、テンション爆上がりし、めっちゃ迫ってきた。
確実から確定になった。
「めんどくせえ」
「ええ。そんなこと言わないで。あっ!?」
カジがごねている隙に、先に歩いていく。
だがすぐにダッシュで追ってきた。
やはりこの作戦はダメか。仕方ない。
「心配するな。どのみち体育館を覗きに行く」
「えー。絶対一瞬逃げようとした」
何度目かわからないこのやりとり。
一度もこいつの目から逃げられたことがない。
そろそろ違和感を持っても良いかもしれん。
本当に察しが良いだけなのか……。
「ん?」
なんだろう。妙な気配を感じたような。感じなかったような。
さっと後ろを振り返った。
当然誰もいない。
「どうしたの?」
「いや。何もない」
すっきりしない。最近ちょっと多いな。
呪いのせいで霊感にも目覚めたか。
ああ。もう目覚めていたか。黒髪の女性とか。
あれこれ考えても仕方ないか。
どうせまた現れるだろう。
いよいよ感覚が麻痺してきた俺だった。
体育館。
異様にも窓が全開になっていた。
俺らは姿がバレないように、窓を避けるようにこっそりと足を忍ばせた。
空いている窓のなかで、一番後方の窓に身を寄せた。
そっと中を覗く。
中にはパイプ椅子が多く並び、大人が何人も座っていた。
そしてステージ上には校長の野郎か。
ああ。そういうことか。
これはかなり厄介な問題になっている。
今回は規模が大きかったからか。
頭を下げる校長。
下から飛んでくるヤジ。
「嫌な空気。みんな文句ばっかり」
カジが苦い顔をしている。
でもこれが普通か。事件があったらこうなるのって、俺もこんな大がかりではないが、呼び出してしまったことがある。
「……」
そうか。個人の問題ではないのか。
「今後。事件を起こさないように、しっかりと対応していくつもりです」
また校長がペコリと頭を下げた。
そういう言葉しか言えないだろう。
いやそれ以外の言葉ってあるのだろうか。
「もう行こう」
「そうだな」
この雰囲気は嫌い。パッと見ても佐嶋もいない。
これ以上は得られるものはない。
俺らはさっきと同じくこっそりと足を忍ばせながら、体育館を後にした。
「で、どこにいるの? その実行委員長」
「全く分からん」
「当てもなく来たの?」
「そうだな」
「響ちゃんって行き当たりばったり!」
「お前に言われたくねえ」
校舎内を歩くが、全く人の姿は見えない。職員室も人の姿は無い。
それもそれで異様だな。
でも先公が土日の活動を全面的に禁止とかしていたらあり得るのか。
でも何故俺たちには伝わっていない。
久江が忘れたとか。
あー。それはあり得るか。あいつのことだし。
「家にいるんじゃない?」
「かもな」
佐嶋は家に引きこもる性格だろうか。
いや。そもそもあいつの性格も行動も理解できるはずないか。会って二日も経っていないのだから。
「どうするの?」
「帰るか?」
「ええー?」
その嫌そうな顔は何だ。
遊び足りないとか言ったりしないよな。
「このまま帰るのはつまらない」
意味合いは似ているな。大体予想通りか。
「じゃあどうする?」
「折角ピアノあるし練習する。ソラちゃんが復活するまでには完璧にしないと」
ふんと腕を見せつける。
自らやる気を出していることは素直に褒めたいが。
先公に見つかるリスクがある。
「響ちゃんでもあろう人が先生を気にするとか、そんなことあるの?」
見透かされている。念能力者か。
俺は別にいいのだが。
お前がな……。
じっとカジを見てみるが、渾身のドヤ顔をしていたことにイラッとする。
言葉にするのは負けな気がする。
「それに本番はグランドピアノでしょ。重い鍵盤に慣れておかないといけないし」
カジにしては考えてはいるみたいだな。
いや。今思い付いたのか。
どっちでもいいか。
「へいへい。わかったわかった」
苦し紛れの抵抗として、シッシッと犬を追っ払うように手を振った。
ちょっとムスッとするカジ。
その隙に、先に階段を駆け上がる。
「あ、こら待て」
両手を必死に動かして、怒濤の勢いで上ってくるカジである。
やっぱり一般の女子高生の身体能力ではない。運動部経験でもあるのだろうか。
実際俺のスピードについてきている。何かしらやっていることは間違いない。カジはまだ謎が多いしな。と考えている間に音楽室に到着した。
ガラッと扉を開けると、いつもと変わらない音楽室の姿だ。
「響ちゃん酷い」
プクッと頬を膨らますカジ。
「音楽室に来たぞ」
「そういうことじゃなくて」
「わーってるって」
カジが詰め寄るのをすっと横に躱す。
言いたいことはわかる。なにせ態とやったのだから。
「それはともかく。カジは過去に運動部でも入っていたのか?」
強引に話を変えてみる。気になる点でもあるからな。
「運動部? 私が?」
「違うのか?」
「私団体行動嫌いだからね。特に運動部の上下関係超いやだ。だから入ってない」
苦そうな顔になる。
理由がいかにもカジらしい。
何かトラウマでもあるのだろうか。
「じゃあ。何故そんな足速い?」
「ん? 特に考えたことないけど、私って足速いの?」
「……」
はて。と首を傾げるカジ。
天然タイプか。
一瞬目を見張ったが、こいつの常識外れを考えると、ありえそうな話なので素に戻る俺。
「まあ。いいわ。練習しろ」
「えっ。さっきの答えに対する反応なし?」
「いや。まあ。女性にしては足速いから心配するな」
「えっ。そう?」
「いいから。はよ練習しろ!」
「ええ!?」
腑に落ちない表情のカジを無理やりせかして、ピアノに向かわせる。
ムスッとしながらも、ピアノの蓋を開けて準備をするカジ。
俺は適当に椅子を見つけて座り込む。
それと同時にカジもピアノの前の椅子に座り構えた。
「ほう」
カジの構えた姿。もう最初の頃のような慌てた感じはなくなっている。
あれから成長しているようだ。
さてどうしようか。
俺はラとシの音が聴こえない。また音に酔うかもしれない。
だが一応教える人間なら、根性で聴いてあげるのが筋か。
俺は膝に肘を立て、拳に顎をのせて少し前屈みで聴くことにした。
カジはすっとピアノに手を置き、そして弾き始めた。
案の定、ピアノの音は途切れ途切れにしか聞き取れない。
だが残ってる音だけでも、成長しているのはわかる。
前回程気持ち悪くはない。
悪くはないが……。
「……」
気のせいか、さっきより音が途切れる感覚が早くなっている。
いや。ファとソの音も聴こえなくなっていた。
ドレミの音が流れては消えて、また流れては消えていく。
徐々に進行している呪い。
そして背中を這い上がってくるような寒さ。
それをカジに悟られないように、同じ姿のままで必死に奥歯を食い縛ったのだった。
休日とはいえいつもは部活動が盛んで、騒がしいはずなのだが……。
運動場には人っ子一人いない。
「あれか。あの騒ぎで部活動中止にしているのか」
「そうなのかな?」
カジに訊いてもわかるわけではないか。
それともそれ以外の何かを言いたいのか。
「あのー。すみません」
ふと問いかけられた俺は後ろに振り返った。
そこに立っていたのは、手提げ袋を腕にかけた、背の低い茶色い髪のご婦人が立っていた。
「はい。どうしました?」
カジがすかさず対応する。
「体育館ってどこになりますか?」
「あ、ここから真っ直ぐ進んで、向こうの分かれ道を右に曲がったところにありますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえいえこちらこそ」
ご婦人はペコリと会釈する。
俺らも会釈をした。
そして少し覚束ない足取りで歩いていった。
姿が見えなくなるまで、見送っていた。
「あの人誰だろう?」
「さあな」
知らないし、知っても特に関係ありそうな人にも思えない。
「でも今日って体育館で何かあるの?」
「さあ?」
カジの質問に答えられるはずもない。
そんなことに興味もない。今はとりあえず佐嶋を探すのを優先したい。
ふとカジを一瞥すると、まあなんとも興味津々そうな瞳をしている。
「体育館を覗きに行きたいって顔してんな」
「わかった?」
むしろ当てられたことにより、テンション爆上がりし、めっちゃ迫ってきた。
確実から確定になった。
「めんどくせえ」
「ええ。そんなこと言わないで。あっ!?」
カジがごねている隙に、先に歩いていく。
だがすぐにダッシュで追ってきた。
やはりこの作戦はダメか。仕方ない。
「心配するな。どのみち体育館を覗きに行く」
「えー。絶対一瞬逃げようとした」
何度目かわからないこのやりとり。
一度もこいつの目から逃げられたことがない。
そろそろ違和感を持っても良いかもしれん。
本当に察しが良いだけなのか……。
「ん?」
なんだろう。妙な気配を感じたような。感じなかったような。
さっと後ろを振り返った。
当然誰もいない。
「どうしたの?」
「いや。何もない」
すっきりしない。最近ちょっと多いな。
呪いのせいで霊感にも目覚めたか。
ああ。もう目覚めていたか。黒髪の女性とか。
あれこれ考えても仕方ないか。
どうせまた現れるだろう。
いよいよ感覚が麻痺してきた俺だった。
体育館。
異様にも窓が全開になっていた。
俺らは姿がバレないように、窓を避けるようにこっそりと足を忍ばせた。
空いている窓のなかで、一番後方の窓に身を寄せた。
そっと中を覗く。
中にはパイプ椅子が多く並び、大人が何人も座っていた。
そしてステージ上には校長の野郎か。
ああ。そういうことか。
これはかなり厄介な問題になっている。
今回は規模が大きかったからか。
頭を下げる校長。
下から飛んでくるヤジ。
「嫌な空気。みんな文句ばっかり」
カジが苦い顔をしている。
でもこれが普通か。事件があったらこうなるのって、俺もこんな大がかりではないが、呼び出してしまったことがある。
「……」
そうか。個人の問題ではないのか。
「今後。事件を起こさないように、しっかりと対応していくつもりです」
また校長がペコリと頭を下げた。
そういう言葉しか言えないだろう。
いやそれ以外の言葉ってあるのだろうか。
「もう行こう」
「そうだな」
この雰囲気は嫌い。パッと見ても佐嶋もいない。
これ以上は得られるものはない。
俺らはさっきと同じくこっそりと足を忍ばせながら、体育館を後にした。
「で、どこにいるの? その実行委員長」
「全く分からん」
「当てもなく来たの?」
「そうだな」
「響ちゃんって行き当たりばったり!」
「お前に言われたくねえ」
校舎内を歩くが、全く人の姿は見えない。職員室も人の姿は無い。
それもそれで異様だな。
でも先公が土日の活動を全面的に禁止とかしていたらあり得るのか。
でも何故俺たちには伝わっていない。
久江が忘れたとか。
あー。それはあり得るか。あいつのことだし。
「家にいるんじゃない?」
「かもな」
佐嶋は家に引きこもる性格だろうか。
いや。そもそもあいつの性格も行動も理解できるはずないか。会って二日も経っていないのだから。
「どうするの?」
「帰るか?」
「ええー?」
その嫌そうな顔は何だ。
遊び足りないとか言ったりしないよな。
「このまま帰るのはつまらない」
意味合いは似ているな。大体予想通りか。
「じゃあどうする?」
「折角ピアノあるし練習する。ソラちゃんが復活するまでには完璧にしないと」
ふんと腕を見せつける。
自らやる気を出していることは素直に褒めたいが。
先公に見つかるリスクがある。
「響ちゃんでもあろう人が先生を気にするとか、そんなことあるの?」
見透かされている。念能力者か。
俺は別にいいのだが。
お前がな……。
じっとカジを見てみるが、渾身のドヤ顔をしていたことにイラッとする。
言葉にするのは負けな気がする。
「それに本番はグランドピアノでしょ。重い鍵盤に慣れておかないといけないし」
カジにしては考えてはいるみたいだな。
いや。今思い付いたのか。
どっちでもいいか。
「へいへい。わかったわかった」
苦し紛れの抵抗として、シッシッと犬を追っ払うように手を振った。
ちょっとムスッとするカジ。
その隙に、先に階段を駆け上がる。
「あ、こら待て」
両手を必死に動かして、怒濤の勢いで上ってくるカジである。
やっぱり一般の女子高生の身体能力ではない。運動部経験でもあるのだろうか。
実際俺のスピードについてきている。何かしらやっていることは間違いない。カジはまだ謎が多いしな。と考えている間に音楽室に到着した。
ガラッと扉を開けると、いつもと変わらない音楽室の姿だ。
「響ちゃん酷い」
プクッと頬を膨らますカジ。
「音楽室に来たぞ」
「そういうことじゃなくて」
「わーってるって」
カジが詰め寄るのをすっと横に躱す。
言いたいことはわかる。なにせ態とやったのだから。
「それはともかく。カジは過去に運動部でも入っていたのか?」
強引に話を変えてみる。気になる点でもあるからな。
「運動部? 私が?」
「違うのか?」
「私団体行動嫌いだからね。特に運動部の上下関係超いやだ。だから入ってない」
苦そうな顔になる。
理由がいかにもカジらしい。
何かトラウマでもあるのだろうか。
「じゃあ。何故そんな足速い?」
「ん? 特に考えたことないけど、私って足速いの?」
「……」
はて。と首を傾げるカジ。
天然タイプか。
一瞬目を見張ったが、こいつの常識外れを考えると、ありえそうな話なので素に戻る俺。
「まあ。いいわ。練習しろ」
「えっ。さっきの答えに対する反応なし?」
「いや。まあ。女性にしては足速いから心配するな」
「えっ。そう?」
「いいから。はよ練習しろ!」
「ええ!?」
腑に落ちない表情のカジを無理やりせかして、ピアノに向かわせる。
ムスッとしながらも、ピアノの蓋を開けて準備をするカジ。
俺は適当に椅子を見つけて座り込む。
それと同時にカジもピアノの前の椅子に座り構えた。
「ほう」
カジの構えた姿。もう最初の頃のような慌てた感じはなくなっている。
あれから成長しているようだ。
さてどうしようか。
俺はラとシの音が聴こえない。また音に酔うかもしれない。
だが一応教える人間なら、根性で聴いてあげるのが筋か。
俺は膝に肘を立て、拳に顎をのせて少し前屈みで聴くことにした。
カジはすっとピアノに手を置き、そして弾き始めた。
案の定、ピアノの音は途切れ途切れにしか聞き取れない。
だが残ってる音だけでも、成長しているのはわかる。
前回程気持ち悪くはない。
悪くはないが……。
「……」
気のせいか、さっきより音が途切れる感覚が早くなっている。
いや。ファとソの音も聴こえなくなっていた。
ドレミの音が流れては消えて、また流れては消えていく。
徐々に進行している呪い。
そして背中を這い上がってくるような寒さ。
それをカジに悟られないように、同じ姿のままで必死に奥歯を食い縛ったのだった。
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