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しおりを挟む──長い年月を経た結果、転生者は神族と同等の地位に昇った。
更には神に協力を依頼して、より人気と名声を得るようになっていった。今では作者に指名されない神のほうが地位が低く、暮らしぶりが逆転してしまうほどエスカレートしていたのだ。
最初は読み物でしかなかった物が、神たちの力で具現化したのだな。
それが神界に合体しているのだと言うのだ。
神達にとってこの上なく楽しく充実した世界。もう転生者(作者)の創作なしでは生きて行けない神様たちになってしまったのだった。
「……て、ことは。転生した人間の創作物の虜にされているのか。中二の神様の世界では彼らに描かれた物語が具現化され現実になる……すごいですね」
『もはや一介の人間が創造主に成り替わりつつある……』
凄すぎる。そんな場所なら俺が行っても通用するかもしれない。いや、むしろ楽しいのではないかと思えて来た。神様たちが夢中になるのも分かる気がする。
「その世界には神様も一緒に戻ってくれるんでしょ?」
『すまぬがその願いの期待はするな。私はもう……戻ることはできない』
「どうして……どこか寄り道でもあるの?」
『……私はお前に対し罪を犯した。そして過去にも犯し、神界を追放されてきた』
「ぐっ……!」
犠牲者は俺一人ではなかった。
ゾクっと背筋に冷たいものが走る。
思わず息を飲む。
聞けば聞くほど近寄りがたい存在なのがどこか残念だ。
俺一人分の痛みなら俺が飲み込めば許せると、さきほど整理したばかりの気持ちが大きく揺らいでくる。
追放処分の神様は悲壮感が漂っており、辛そうに見えた。罪悪感を感じているということなのか。
夕暮れの帰り道にふと出会ってただ微笑まれたら、ドキッとときめいてこの胸の天使として残るような好みの美人なのに。全くもってもったいない出会い方で悲しくなってきた。
『よく聞け。私はもう間もなく命が尽きる。神は人を手助けする存在だ。人に手をかけ作者を生産するなど万死に値する。どうせ果てる運命ならお前のギフトとなって、お前とともに故郷へ帰ろうと思ったのだ』
そう言って神様は自分の足元へ視線を落とした。
まさかその薄っすらとした身体って!?
実体が消えかかっていたのか。
雲の上で強風が吹きすさんでいる。
白い雲が綿あめみたいに軽々しくちぎれて瞬く間に街並みの上空に広がっていく。あり得ない景色を横目に俺は、話に夢中でそこに浮いているという異変などどこ吹く風だった。
「どうして……」
そうまでして創作者を生み出しても何も残らないじゃないか。中二の神様の夢も野望もあなたがそこにいなければ意味がない。
『ここに着いたばかりなら戻れそうだった。お前にギフトを授けて、すぐお前の体内に潜れば一緒に神界へ立ち戻ることが叶うはずだったが、お前に説明を迫られてその機会を逃した』
「は!?」
もしかして、仏頂面を見せたあの時の理由がそれなのか。
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