『お前を異世界に配置する』

ゼルダのりょーご

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  もしかして、仏頂面を見せたあの時の理由がそれなのか。

『こうなっては全てを語るしかない』

 もう残された時間などない、と意を決したように。

『その後、転生者たちはどんどん図に乗っていき、神界族の女神を差し出せと言ってきた。女神は低級神ゆえにさほどの能力はないと知っても要求され続けた』

「……なぜなのです?」

 女神は美しいという印象がある。先程、破廉恥が堪らなく嫌だと言っていた。
 この物言いでは、どうも悪い予感しかしないが。

『低級とはいえ、人間自体に神を超える権利は与えられておらぬ。だがこうして私は死の縁を拝まされている……』

「っ……!」

 どういうことか。それに、中二の神様は女神だったのか。

『私は奴らにハメられたのだ。力が弱いなら非力な魔物の役をせよと。そうすれば最強になれると──』

「その、非力な魔物ってなんなんですか? 魔物なら怪物でしょう」

『……スライムだよ、言わせるなよそんなこと』

「ええええええっ! スライムってあの、駄菓子屋に売っているカプセルに入った五百円のやつですか?」

『お、お前は私を馬鹿にしているのか!』

 また豹変した。
 その姿の輪郭から妖気のようなものが揺らめいて立ち昇った。
 レディースの番長みたいでいちいち怖い。食べられないか心配になってきた。

「だって、だってそれしか知らないんだもん。怒らないでよー」

『そうだったな。……すまぬ』

 急に素直になって保健室の美人さんの顔に戻った。
 ツンツンしたり、急に優しくなったりする女の子のどこが良いのだろう。
 転生作者たちの趣味は、紙芝居とおやつに夢中の俺なんかには到底理解が及ばなかった。

 

 ──中二の女神は、かいつまんで話を続けた。
 
 スライムは超の付くほど人気があって女神がスライムに転生してという設定で、それを書いた作者が主人公の冒険者。

 その主人公とともにダンジョンの探索をし、成り上る物語。
 非力なスライムだからといっても中身は神なのだから、腕を上げるたびに破壊的な強さを取り戻して行き女神に戻るまで主人公の助けとなる。

 その作品はそこそこの人気を博し、売れた。作者も次に繋げるため去っていく。
 中二の女神は次々と作者たちに起用されていった。
 そこまでは良かった。

 中二の女神はすっかりスライム役を引き受けることに慣れてしまっていた。



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