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しおりを挟むあれには使い方があったんだな。
しかも、たったそれだけで使いこなせるなんて。
では、早速取り掛かってみようか。
江戸時代の徳川光圀──【女神エンジン】。
ピピッ!
検索完了。
「お、目の前に薄っすらしたテレビみたいなのが映し出された。なになに……情報はこれだけ」
水戸光圀のいた時代は1628年7月~1701年1月。
江戸時代前期の大名。
常陸水戸藩の第2代藩主。
1690年10月14日に幕府より隠居の許可がおり、翌15日、権中納言に任じられた。
「え、前期だったのか。つまり黄門様としての物語は1690年以降か……」
それはフィクションだったけど。いるんだよね。そこに行くと。
などと考えていると、女神が目の前でまた右手をかざしていた。
この道具を俺が使うと、具現化してゴーグルとして目の前に飛び出でくるんだな。
そのゴーグルに女神の手が最初のときのように向けられていた。
それ、何しているんだろう。
『私もいま、大体のことが分かった。そうして【女神エンジン】に入ってしまえば、私も閲覧できるのだ。お前に預けたのはコピーで、本家の本体は私自身だからな。江戸に関する資料にしても膨大だった。きっと一度には読み込めないから、お前の目の前には、知りたいことの部分しか表示されてないはず──どうだ、簡単で楽しいだろ』
簡単で楽しいだろ、と女神の手が出会って初めて俺の身体に触れた。
なんだか気軽で彼女のほうが楽しそうだ。
美少女の澄んだ微笑みを浮かべている。透き通るような白い肌だ。
髪も腰までありそうな長さで、風になびいていた。
亜麻色の髪がきらきらと光って見えた。毛先から細かい太陽の光を発するかのように。
光の泡がまとわりついて、胸に太陽が昇るようだった。
女神はこの【女神エンジン】の使い方を教えてくれるために、質問をしてくれたんだと思い、それを訪ねたい。そして、ありがとうと言いたい。
こんなものが生まれつきあったら、勉強も苦にならなかった。
とても感動している。
【女神エンジン】のことだけじゃない。
お、俺なんかの身体に可愛い娘が気軽に触れていて、そして温かいってことに。
『使い方のことも勿論あるが、お前は息絶えた時代……つまり生まれてからの14年間のこの時代の者たちとはもう交流ができない身だ。だから、それ以外の時間軸に飛ばなければ修行のゲームができないのだ』
え、それじゃ。
本当にこことは、サヨナラなのか。
『さあ、もうこれ以上もたもたしていられない。飛ぶぞ。その水戸の殿様の時代へ』
「は、はい。お願いします」
『向こうへ着いたら、神社の祠から出ることになる。いくつか注意点があるので行ってから説明をしてやるから、そう案ずることはない』
俺が頷くと、光の泡がさらに増えていく。
女神と俺を包んでいく。光の柱が上は、大気圏まで届いている。
下は、地上に穴を空けたように地下へと伸びていた。
あっという間に見慣れた街並みの方へと2人の身体ごと沈んでいく。
紙芝居のおじさん、子供たち、俺の生まれ育った都。
さようなら!
どうやら過去へのトンネルは地下に向かって落ちていくようだ。
けっこうなスピードで降下していくが、恐怖心はまったくなかった。
女神にしっかりと抱きしめられていたからだ。
実体があるんだな。
柔らかくて、温かい。
園児の頃を思い出した。
その頃、母親に抱かれて以来だった。
俺のことなど愛してくれる者などもういない。
俺は死んでしまったのだから。
母は悲しんでくれているかも知れないが、会うことは叶わない。
だから、さよならといわせて貰った。
そして、ありがとう。お世話になりました。
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