願いを叶える魔法の傷薬~俺の異世界転生に必要なスキルを72時間しか遊べない体験版ゲームで取に行くところです~

ゼルダのりょーご

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 俺の耳に届いた声は、今話したばかりの盤次郎の声だ。
 これは独り言だろうか。

 いや、それはないと思う。

 声は人目を伏せるように、こもった声だった。
 それに内容がやばい。

 鈴虫の鳴き声のような、音が聞こえてから宿の主人に呼ばれたと離席した。
 足音からすると30歩くらい小走りで駆けた。
 その間、勝手口を抜けて、正面玄関に行った感じだった。
 主人が入り口付近にいつも居るんだろうか。
 どこに居るかは働き手として知っていても不思議じゃないけど。

 どこへ行くんだろうと、俺の目は自然と盤次郎の後ろ姿を追っていた。
 一応、外に出て行ったわけだから。

 そう思ったときに駒次郎が慌てた口振りで問いかけて来たんだ。
 駒次郎の疑問に、多少、話を盛って答えた。
 その後、耳に声が聴こえてきた。
 
 空耳じゃないなら、とんでもない内容になる。

「まじか……」

 この宿の蔵を破るという計画を漏らしていた。
 そのつもりで居るなら、独り言は断じて避けねばならないはずだ。
 
 分かっている。

 彼は、確かにこう言った。
 お里……周囲に気を付けろ、と。

 お里は、宿の周囲にいるのだろう。
 俺の悪い予感が当たったのか。
 駒次郎がヤクザ者たちにやらかしてしまったことを心配していた。

 きっと、お里をも逃がしたんだな。
 駒次郎のほうはおとりの逃走劇だった可能性が出てきた。
 この兄弟は随分と思い切った行動を起こすんだな。

「え、ちょっと待って…」

 もしかして。
 俺、こいつらの逃亡の片棒担いじゃったのか?

 まあ、それは今さらだよな。

 それよりも、なぜ逃げてしまわないんだ?
 お里を一人どこか遠くへやることができない……だろうし。
 そこまで仕出かしたんなら。
 三人で遠くへ逃げればいいだけだ。

 もしかしたら、路銀がないのかもしれないな。
 それしか考えられないかな。
 しかし近くに潜んでいるのは、まずいな。

 だからといって、蔵を破って金を盗むとか。
 見つかったら、遠島だぞ。さすがに──流刑はないか。
 
 路銀を確保してから夜逃げをするつもりなのか。
 だとすれば、近いうちに決行する可能性大だな。
 
 宿の蔵を狙って兄が下働きで、潜り込んでいたのか。
 そう考えると、二人で……いや待て。

 盤次郎の話からすると、もう一言忘れている。
 身請け金を用意する、と言っていたような。

 となると、お里はどこにいる。
 やっぱり女郎屋じゃないか。
 逃げてきた線が消えると、独り言の線が浮かぶ。
 だが、盤次郎は宿周辺でお里と会話をしていたはずなんだ。

 お里の分の足音はあったか。
 いや微塵も感じなかった。

 いったいどういうことなのだ。
 これは探らないわけにはいかないぞ。

 駒次郎はこの状況を把握しているよな。
 なのにどうして俺をこの宿に連れてきたんだろ。
 この先も俺が協力するかは分からないのに。

 勘ぐられてバレたなら、仲間に引き込もうというものではないと思う。
 強さを知って居るからな。

 駒次郎が見張りで、俺に宿屋の者たちを引きつけてその隙に乗じるのか。
 めんどくせえな。
 役人に追われるのは避けなければいけないのに。

 第一、蔵の鍵の開け方を知って居るのか、こいつら。
 いや問題はそこだ。
 なにかを調べると言っていたな。

 駒次郎をなんとか遠ざけて、盤次郎の動向を探るのが難しいなら。
 蔵の状況でも見に行くか。


「コマさん、宿屋は退屈だな。腹ごしらえもしたし、芝居小屋でも見物に行こうよ。案内のほど、お願いできますか?」

 唐突な問いかけに駒次郎は、すこし不思議そうな表情をみせるが。
 そんなことならお安い御用だと微笑みを返した。

 芝居小屋まで案内されたら、駒次郎にこう伝えた。

「バンさんを手伝わなくていいの? 心配でしょ? 道は覚えたから先に帰ってもいいよ」
「え……」

 意表を突くとはこのことか。
 一緒に見るわけではないんだな、といった顔つきだった。
「それもそうか」と彼は兄の待つ宿へと帰って行った。

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