4 / 8
第1章
人違い
しおりを挟む「どうして休日ってこんなにも早く終わりを迎えるんですか…どうして…」
「知らないわよさっさと支度して仕事行ってきなさい!」
そんな他愛もない会話で月曜日がスタートした。
流石に仕事を始めて初めての休日、どこにも出かける気にならず部屋のベッドでひたすら伸びていた。
母がすぐ食べられるようにと用意したサンドイッチを頬張るとなんとなく金曜のあの出来事を思い出す。
「ねー、人違いってされたことある?」
「何よ急に」
「いや、この前人違いされたみたいで…しかも持っていた酒瓶を落として割っちゃうぐらいの衝撃だったみたいで」
「男?」
「うん、男」
「目が悪いのにコンタクトしてなかったんじゃないの?その男」
「なるほど…いやそんなことある?」
「にしても酒瓶落としちゃうなんて、相当想い入れのある人だったのねきっと」
母はそういった話が好きなので冗談を入れつつ考察を始めた。
「でもあんた男っ気ないから絶対人違いね」
「ええ、男っ気ないから“絶対”人違いでしょーね」
はいはいといった感じで返事をしてコーヒーを飲み、その後家を出た。
確かに母の言っていることは間違いではない。
ここ数年彼氏はいない。
いたとしても男勝りな私を見て幻滅していなくなる事がいつもの流れだった。
そんなことはさておき、先週のおさらいを脳内でしつつ通勤を開始した。
「この後社長来るんだって!」
「え!?じゃああの人もいっしょかな!?」
「やだメイク直ししなきゃ…!!」
お昼休憩中の休憩室ではそんな話で事務の人達が大盛り上がり。
「へー、社長ってそんなにかっこいいんですか?」
と何となく質問すると。
「んなわけないでしょ!!社長は初老よ!!!」
「私達が言ってるのは社長の秘書!!超イケメンなの…」
「優しくって、気さくで…スタイルも抜群で…」
先輩達の黄色い声が共鳴し始める。
「へー、へー」
聞いてみたものの実際には興味がないのでテキトーに返事を返し、気づかれないようにその場から立ち去った。
「社長が来るのか…緊張するなぁ…対応の仕方、後で先輩に聞かなきゃ…」
そんなことをぼんやりと考えながら一足先に受付へと向かう。
「先輩、休憩ありがとうございました。それとなんですけどこの後社長が来るとか…まだまだ分からないことだらけなので対応の仕方を…」
そう言い切らない内に先輩がサッと立って「お帰りなさいませ、社長」お辞儀を始めたので条件反射で真似をして舌っ足らずで挨拶をしてお辞儀をした。
「ご苦労さまだね」
そんな言葉を受けてゆっくりお辞儀を戻す。
「(これが初老の社長!!…ん???)」
「お疲れ様です………。!?!?君はっ…!!!!!」
「あっ…………」
社長の後ろには見覚えのある男が驚いた拍子に思わず声を漏らした。
そして同時に私も声を漏らす。
「人違いの人!!!」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる