異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第466話 話し合わないといけないので

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「リーンハルト様、新街で使うペレの生地や、アイススパイダーの糸を混ぜた生地を作っている工房に訪問していただけませんか?」

トランプもどきの作業の手は止めずに、マリアが突然話し出す。

「急にどうしたの?」

「じつは関連工房として新街の催しに参加するのですが、リーンハルト様の訪問1度もないので肩身が狭いと言っているのです」


「いや、十分貢献してくれているよね。ペレの生地で作る服は、一日中遊べる温泉施設で必要なものだよ」

「そうなのですが、他の工房にはリーンハルト様が直接ご招待の案内で訪問されていますから・・・・」

マリアを通してのやり取りだけだからか。

これは一度訪問した方がよさそうだ。


「ウォータースパイダーの糸は、生地になりそうなの?」

「ウォータースパイダー糸だけと布を織るのは難しいらしく、アイススパイダーのように他の糸に混ぜて生地を色々作ってほしいと頼んでいます」

「試しをマリアでしなかったの?」

「私も色々な案件抱えていますし、今回は工房に丸投げです」

「忙しくさせてごめん。誰か助手とか入れなくていい?」

「考えたのですが、1人のほうが好きしたいことができるので今のところは不要です」


「ところでラウールとナタリアはどうしている?」

「今も私の護衛をしてくれています。新街にもよく行きますし、ナナリーやオルガのところにも行きますから。私が外出しないときは騎士団で訓練しています」

「ヘリオス村には戻っているのかな」

「えぇ、私が工房に籠るときは1週間以上の休みを取って貰っています」

「週1日の休みは取らないの?」

「ヘリオス村に戻る連続休暇だけでよいそうです」

最低でも2か月に1回は戻れているそうだ。

「誰かと交代するって話をしたのですが、今の生活が楽しいので続けたいといわれています」

ラウールやナタリアが楽しんでくれているのはよかった。


「そうだ、マリア。年明けに王城の魔導具師長が、マリアとナナリーに会いにウエストランドにやってくるからよろしくね」

「リーンハルト様、さらっと大事な話をされましたよね」

マリアが作業を止めて詰め寄ってきた。

「いや、王家にワッフルコーンの設計図とレシピを売ったんだよ。売った代金の一部は料理長も含めて渡す。ただ魔導具は魔導具師長との共同開発になるけれど、特許料も入ってくるから」

「お金はいいんです。増える一方で使い道がないので。ナナリーには話しているのですか?」


「・・・これからかな?」

「覚悟しておいてくださいね」

マリアの捨て台詞が怖い。

マリアは深呼吸をしてからまた作業を始めた。


「マリア、ごめんよ。だけれどそうしないと、さらに工房や村に迷惑がかかりそうだったから」

「詳しいことはわかりませんが、今の領都の状況をみればなんとなくわかります。ですが大事なことをなんでもない風におっしゃる癖は、直された方がよろしいです」

私の横でジョルジュが頷いている。


「ごめん。できるだけ魔導具師長がいるときは、そばにいるようにするから」

「・・・・リーンハルト様、私たちに丸投げしようとしていましたね」

うっ、バレている、誤魔化すために慌てずに普通を装って話す。

「さすがに今回はするつもりはなかったよ」

「安心しました」

マリアは疑っている口調だけれど、私から言質をとって安心したようだ。


最近、みんなに私の性格がバレて、先回りされることが多くなったような気がする。

私はあれば便利だと思うことは提案するけれど、それを実現化してしまうみんながすごいだけなのになぁー。

話を変えよう。


「マリアの家族は今回の催しに来るの?」

「ちょっと話し合いもあるので、王都から両親と弟、家族全員来ます」

「マリアの彼氏を紹介とか?」

「いませんよ。嫁が高給取りなんて、まともな男性は寄ってきません」

まずいことを聞いてしまったか?


「じつは私に縁談話が両親のところへ殺到していて、対処に困っているようなんです」

ラジエル経由で私の両親にも相談したようで、マリアの相手はウエストランドの領主が決めるから無理だと、両親には言うように指示をしたらしい。

大変な時に魔導具師長の訪問か、マリアが怒るわけだ。

あとご両親には会って謝まった方がいいだろう。


「マリア、ご家族がきたら会いたい。迷惑かけているようだし話を詳しく聞きたい」

「そこまでされると両親が恐縮してしまいます。ただでさえご領主様に迷惑をおかけしていますから」

「マリアにはウエストランドにすごく貢献してもらっている。ご家族が安心できるようにしないといけない」

「ありがとうございます」


しかしマリアへ縁談か。

ほとんどがマリアの特許料目当てだろうな。

国内で名が売れているマリアを嫁にというと、嫌味や嫉妬がすごいかもしれない。

笑い飛ばせるような、器がある男性となるとなかなか難しいが、良縁に恵まれてほしいと思う。
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