異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第467話 普通じゃないの

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数日後、私はマリアに頼まれた生地工房を訪ねている。

店主さんは40代後半の男性で細身の人だった。

工房の壁一面の棚にはいろんな色の糸が置いあるし、部屋の中にはたくさんの糸を、物干し竿のようなものにかけているのもあった。


どうやらここは染色工房らしいが、ラジエルとマリアと知り合った関係で、生地を作る機械を工房に持ち込まれて、我が家に頼まれた生地だけを作っているそうだ。

要はペレ糸とアイススパイダーの糸を使った生地らしい。

ペレの糸は新街の温泉で必要だし、アイススパイダーの糸は従業員の夏の制服で使用するから、ずっと織機は稼働しているみたいだ。


「おかげで庭とゆっくりする時間がなくなりました」

店主さんは冗談ぽっく言っているが、休みは大事だ。

「休みは必要だ。ちゃんと休んでほしい」

「家族で休む日を別けているだけですから、ちゃんと休んでいますよ」

言い方が悪くてすみません。むしろ仕事が増えて、収入も安定したのでありがたいですとお礼を言われた。


あと店主さんが奥から持ってきたものは、ウォータースパイダーの糸を木綿や絹に混ぜて作り、さらに割合を変えて作った各縦1メートル、長さ2メートルで生地を折りたたんで持ってきてくれた。

各生地の端には、割合を書いた紙を糸で括りつけていた。

「マリアさんから、大事なものなのでリーンハルト様が来られた時に渡してほしいと伝言がありました」

「ありがとう。いつもマリアの無茶を聞いてくれて申し訳ないね。新街の催しはぜひ家族で楽しんでほしい」

「ありがとうございます。家族みんなとても楽しみにしているんです」

私は生地を受け取り、工房を後にした。



そしてナナリーのところへ寄る。

「ナナリー、話す前に謝っておくよ。断れない状況だったんだ」

私は王城の魔導具師長が、年が明けたらウエストランドにマリアとナナリーに会いに来ること、魔導具の特許申請共同名義になる件を伝える。

話を聞いていたナナリーの顔が、だんだんと険しくなっていくのがわかったけれど、話さないといけないので一気に話した。


「リーンハルト様の無茶ぶりはいつもだけれど、今回はやり過ぎだろう」

ナナリーは怒鳴るのを耐えているような口調だ。

これはそうとう怒っているように感じる。

「本当にごめん。王家と仲違いするわけにはいかないんだよ。この通り!」

私はナナリーに両手を合わせて頼む。


この謝り方、この世界でも通じるだろうか?

やった後で思ったけれど、ついでにマジックバッグから大鍋を取り出す。

「これお餅入りのお汁粉。たくさん作って貰ったからみんなで食べてよ」

はぁーとナナリーはため息をつく。


「お汁粉は遠慮なく貰う。お金はたくさん貰っているからさ、正直嬉しいとかなくて、お偉いさんに会うのは面倒でしかない。今後もこんなことが続くようなら仕事を受けないぞ」

「それはないと思う。魔導具師長がナナリーのところにくる際は、私も同行するから」

「そんなの当たり前だろっ!」

ナナリーに怒られた。余計な一言だったようだ。

マリアもナナリーも怒らせると仕事を放棄されそうだから、今後は受けないようにしなくてはいけない。





年が明けて両親が戻ってきたが、ヘットハンティングした4人も一緒だった。

両親を出迎えたときに一緒だと父上に言われた時は驚いた。


翌日政務官室に4人が挨拶に来たので、みんなに紹介した後、そのまま4人と話をする。

「こんなに早くウエストランドに来てくれたのは嬉しいが、引継ぎは大丈夫なの?」

「引継ぎは2週間ぐらいで終わっています。あとは引っ越しの手続きや挨拶回りでしたので、これでもゆっくりなのですよ」


あといつウエストランドへ行けばいいか私に相談の連絡をしたら、私がウエストランドに帰ってしまっていたので、母上が一緒に行こうと提案したそうだ。

レイラさんの話を聞いて迷惑をかけたようなので4人に謝る。

「ゆっくり仕事を覚えてくれればいいといいたいけれど、2月、3月に新街で催しがあってね。通常業務を覚えながら手伝いもお願いしたい」

「もちろんです」

レイラさんの言葉に他の3人も頷いた。


「今日、明日は休みにするから、街に出てもいいし、ゆっくりしてよ」

「私たちは今日から働くつもりだったのですが・・・・」

「一日かけて王都から来たんだよ。体を休めた方がいい」

「でもウエストランドの社員寮は、いたせりつくせりですることも何もないですから、手持無沙汰なのです」

レイラさんの言葉に、温泉のことか?と思っていたら、ダミアンが口をはさんでくる。


「リーンハルト様、私もここでしか働いていませんが、ここの社員寮を知ったら他へはいけませんよ」

「どうして?温泉があるから?」

社員寮は個室で鍵付き、家族寮は夫婦ともにウエストランドで働いていれば入居できる。

しかも料理は他所よりもはるかに美味しく、3食食べられる。

基本定時で終了、残業しても残業代が貰え、週1日必ず休みがあり、1年に1回連続5日間休暇があるところはないだろうとダミアンに言われた。


「連続休暇以外は、普通じゃないの?」

「「普通ではありません」」ローザとロゼッタの声を揃った。

「私の実家でも週1日の休みが、お店が忙しいと半日になったりしました。割り増しの出勤手当はありましたが・・・・」

ローザの実家って大商会だよな、週1日の休みが半日だって。

しかも中小の商会だともっとひどく、残業代が無いところが多いらしい。


これから新街に遊びに来て貰わないといけないのに、連続休暇をとるのが難しいと、新街が観光都市にならないではないか!!

今回の催しが連続休暇の始まるきっかけになって、領内に広まっていってほしい。

今後は領内の収入の底上げや連続休暇の普及いついても考えないといけない。

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