異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第518話 知らないね

立ち直りが早かった母上はブルードラゴンさんに向かって

「王都に行くならドレスを仕立てましょう」

自分の楽しめることに切り替え、リアもさらりと巻き込んでいた。


王家との交渉は、父上に任せるのだろう。

父上の顔がひどく引きつっている。

父上、私は交渉はできないので、よろしくお願いします。


「着飾るのもたまにはいいか」

ブルードラゴンさんは、乗り気ではなさそうな言い方をしているが声は弾んでいる。

私はお洒落するのが嬉しいようなのに、なぜ冒険者スタイルで我々と会っているのかブルードラゴンさんに尋ねる。


「することがないから、各地のダンジョン制覇をしている」

「各地のダンジョン制覇?」

ルーカスの噂を聞いたのも冒険者ギルドと聞いていていたから、冒険者をしているのだろうとは思ったが、まさか各地でダンジョン制覇巡りをしていたとは!!

しかも飽きたら自分の縄張りに戻って休み、また目覚めたら活動を再開するそうだ。

目覚めるのはまちまちで、30年後の時もあれば100年ほど経っている時もあるらしい。

ドラゴンの時間軸が違いすぎる。


「よろしければ、今のランクを教えていただいてもよろしいですか?」

「知らないね」

私の問いに、ブルードラゴンさんは本当に興味がないようで本当に知らないらしい。

冒険者ギルドで手続きするのは、冒険者申請の時くらいだそう。

そして冒険者ギルドに顔を出すのは、周辺地域の情報やダンジョン情報を仕入れるのが主だととか。


私はエミニーラダンジョンが、毎回冒険者ギルドでダンジョン申請しないと入れないので、他も同じだと思っていた。

ダンジョンによっては、ダンジョン入り口の水晶に触って、ランク対象外なら弾かれて、入り口が開かないシステムも多く、そういった申請不要のダンジョン巡りをしているそうだ。

あと身分証明代わりの冒険者用ペンダントを身に着けることや、ダンジョン内で討伐したものはペンダントに自動カウントされるところは、我が国と共通のようだった。


「ダンジョン内にドロップ品放置ですか?」

冒険者ギルドで手続きをしないと聞いたから、勿体ないなと思ったがどうやら違うらしい。

「ちゃんと回収しているぞ。空間収納に放り込んである」

ソファーで胸を張っているブルードラゴンさんは、口に出してはいないが、どうだ偉いだろうと言う言葉が態度に出ている。

しかし空間収納って、空間魔法だよね。

私たち人間が使えると聞いたことないから羨ましい限りだ。



「ブルーよ。いらんものをため込んでいるのなら、この地で換金して滞在費用を捻出しろ!」

ルーカスが余計なことを言うから、私は慌てて否定する。

「滞在費用は結構です。私たちはお金に困ってはいませんし、ルーカスを心配してきてくださったのですから・・・・」

「我もきちんと渡しておる。我は自分の鱗を渡したぞ」

ルーカスがブルードラゴンさんを煽っていた。ルーカス、やめようよ。


「そうか、なら私も自分の鱗を・・・・」

「いりません!!」

「結構です」

「お気持ちだけで十分です」

ブルードラゴンさんが言い終わる前に、私、父上、母上が同時に声をあげた。

ルーカスの鱗の処分は他国も巻き込んで大変だったんだから、もう2度とあの状況になりたくない、私たち家族の思いは一緒だったようだ。


「そうはいっても、美味しい物を食べさせてくれるようだし、ドレスも作ってくれるのだからな」

ブルードラゴンさんは、いいことを思いついたと笑顔になり提案してきたのは、空間収納してある不用品を受け取ってくれということだ。

「高価な宝石類などは、お断りしていいですか?」

受け取らないと言えば、ブルードラゴンさんが気分を害するかもしれない。

だから私から高価なものは出さないでくださいと、前もって条件を言っておけば大丈夫だろうと、先回りしたのだ。

「そうか?ならこの際、いらない物を処分したい」



「ブルードラゴン殿、しばらく滞在されるのは構わないが、出来れば仮の名前を決めてくれないだろうか?」

父上はとんでもない物が出てくるのを恐れてか、話を変えてきた。

「名乗っている名は、セシリアだ」

「ではセシリア殿とお呼びしたらいいですか?」

父上が再確認をする。

「ホワイトを呼び捨てにしているんだから、私も呼び捨てで言い。しばらく世話になるからね」

ブルードラゴンさん、いやセシリアは上機嫌だった。



夕食時のブルードラゴンさん、いやセシリアはシンプルな濃緑のドレス姿で、髪も侍女に結ってもらっていて機嫌がずいぶんよさそうだった。

美女ぶりがさらにパワーアップしている。

王都で正体を知らない男性から、口説かれたりするのではないだろうか?

面倒ごとが起こらないでほしい。


セシリアのドレスは、アイラさんたちが急いでやって来て、出来上がっている服の中から数点選んだそうだ。

微調整はその場で終わせたのだとか。

「デザインがどんどん浮かびます」

アイラさんがセシリアを見て、どんな型のドレスも似合いそうだと、ノリノリでデザイン画を何点も書き上げたそうだ。

セシリアは母上たちの意見を参考にして、気にいった数点をさらに発注したと、食事をしながら教えてくれた。


「この料理も美味しいな」

セシリアは新しい料理が出てくるたびに、目を輝かせて、一口食べるとさっきのセリフが繰り返される。

しかしセシリアは奇麗なテーブルマナーだった。


私がセシリアの手先を見ていたことに気づいたらしく、昔仲良くなった人間の友人に教えてもらったと言う。

「あの当時は、ここまで美味しい料理はなかったが、ワインは美味しかったから、必死で覚えた」

美味しいワインが飲みたければ、テーブルマナーを覚えなさいと人間の友人に説得されたというか、交換条件だったみたい。


あと冒険者として活動している際は、各地のお酒を飲むのが趣味で、お金は宿とお酒代くらいしか使わないのだとか。

手持ちのお金が無くなると、金や銀のインゴットをお金に換えるらしく、冒険者ギルドを利用しなくてすむらしい。

「冒険者ギルドで換金すると、依頼を受けてくれとかうるさいから、出来るだけ関わらないようにしている」

だからダンジョン内で獲得したドロップ品の換金をしていないのか、納得したよ。
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