455 / 491
【リーンハルト:11歳】
第518話 知らないね
立ち直りが早かった母上はブルードラゴンさんに向かって
「王都に行くならドレスを仕立てましょう」
自分の楽しめることに切り替え、リアもさらりと巻き込んでいた。
王家との交渉は、父上に任せるのだろう。
父上の顔がひどく引きつっている。
父上、私は交渉はできないので、よろしくお願いします。
「着飾るのもたまにはいいか」
ブルードラゴンさんは、乗り気ではなさそうな言い方をしているが声は弾んでいる。
私はお洒落するのが嬉しいようなのに、なぜ冒険者スタイルで我々と会っているのかブルードラゴンさんに尋ねる。
「することがないから、各地のダンジョン制覇をしている」
「各地のダンジョン制覇?」
ルーカスの噂を聞いたのも冒険者ギルドと聞いていていたから、冒険者をしているのだろうとは思ったが、まさか各地でダンジョン制覇巡りをしていたとは!!
しかも飽きたら自分の縄張りに戻って休み、また目覚めたら活動を再開するそうだ。
目覚めるのはまちまちで、30年後の時もあれば100年ほど経っている時もあるらしい。
ドラゴンの時間軸が違いすぎる。
「よろしければ、今のランクを教えていただいてもよろしいですか?」
「知らないね」
私の問いに、ブルードラゴンさんは本当に興味がないようで本当に知らないらしい。
冒険者ギルドで手続きするのは、冒険者申請の時くらいだそう。
そして冒険者ギルドに顔を出すのは、周辺地域の情報やダンジョン情報を仕入れるのが主だととか。
私はエミニーラダンジョンが、毎回冒険者ギルドでダンジョン申請しないと入れないので、他も同じだと思っていた。
ダンジョンによっては、ダンジョン入り口の水晶に触って、ランク対象外なら弾かれて、入り口が開かないシステムも多く、そういった申請不要のダンジョン巡りをしているそうだ。
あと身分証明代わりの冒険者用ペンダントを身に着けることや、ダンジョン内で討伐したものはペンダントに自動カウントされるところは、我が国と共通のようだった。
「ダンジョン内にドロップ品放置ですか?」
冒険者ギルドで手続きをしないと聞いたから、勿体ないなと思ったがどうやら違うらしい。
「ちゃんと回収しているぞ。空間収納に放り込んである」
ソファーで胸を張っているブルードラゴンさんは、口に出してはいないが、どうだ偉いだろうと言う言葉が態度に出ている。
しかし空間収納って、空間魔法だよね。
私たち人間が使えると聞いたことないから羨ましい限りだ。
「ブルーよ。いらんものをため込んでいるのなら、この地で換金して滞在費用を捻出しろ!」
ルーカスが余計なことを言うから、私は慌てて否定する。
「滞在費用は結構です。私たちはお金に困ってはいませんし、ルーカスを心配してきてくださったのですから・・・・」
「我もきちんと渡しておる。我は自分の鱗を渡したぞ」
ルーカスがブルードラゴンさんを煽っていた。ルーカス、やめようよ。
「そうか、なら私も自分の鱗を・・・・」
「いりません!!」
「結構です」
「お気持ちだけで十分です」
ブルードラゴンさんが言い終わる前に、私、父上、母上が同時に声をあげた。
ルーカスの鱗の処分は他国も巻き込んで大変だったんだから、もう2度とあの状況になりたくない、私たち家族の思いは一緒だったようだ。
「そうはいっても、美味しい物を食べさせてくれるようだし、ドレスも作ってくれるのだからな」
ブルードラゴンさんは、いいことを思いついたと笑顔になり提案してきたのは、空間収納してある不用品を受け取ってくれということだ。
「高価な宝石類などは、お断りしていいですか?」
受け取らないと言えば、ブルードラゴンさんが気分を害するかもしれない。
だから私から高価なものは出さないでくださいと、前もって条件を言っておけば大丈夫だろうと、先回りしたのだ。
「そうか?ならこの際、いらない物を処分したい」
「ブルードラゴン殿、しばらく滞在されるのは構わないが、出来れば仮の名前を決めてくれないだろうか?」
父上はとんでもない物が出てくるのを恐れてか、話を変えてきた。
「名乗っている名は、セシリアだ」
「ではセシリア殿とお呼びしたらいいですか?」
父上が再確認をする。
「ホワイトを呼び捨てにしているんだから、私も呼び捨てで言い。しばらく世話になるからね」
ブルードラゴンさん、いやセシリアは上機嫌だった。
夕食時のブルードラゴンさん、いやセシリアはシンプルな濃緑のドレス姿で、髪も侍女に結ってもらっていて機嫌がずいぶんよさそうだった。
美女ぶりがさらにパワーアップしている。
王都で正体を知らない男性から、口説かれたりするのではないだろうか?
面倒ごとが起こらないでほしい。
セシリアのドレスは、アイラさんたちが急いでやって来て、出来上がっている服の中から数点選んだそうだ。
微調整はその場で終わせたのだとか。
「デザインがどんどん浮かびます」
アイラさんがセシリアを見て、どんな型のドレスも似合いそうだと、ノリノリでデザイン画を何点も書き上げたそうだ。
セシリアは母上たちの意見を参考にして、気にいった数点をさらに発注したと、食事をしながら教えてくれた。
「この料理も美味しいな」
セシリアは新しい料理が出てくるたびに、目を輝かせて、一口食べるとさっきのセリフが繰り返される。
しかしセシリアは奇麗なテーブルマナーだった。
私がセシリアの手先を見ていたことに気づいたらしく、昔仲良くなった人間の友人に教えてもらったと言う。
「あの当時は、ここまで美味しい料理はなかったが、ワインは美味しかったから、必死で覚えた」
美味しいワインが飲みたければ、テーブルマナーを覚えなさいと人間の友人に説得されたというか、交換条件だったみたい。
あと冒険者として活動している際は、各地のお酒を飲むのが趣味で、お金は宿とお酒代くらいしか使わないのだとか。
手持ちのお金が無くなると、金や銀のインゴットをお金に換えるらしく、冒険者ギルドを利用しなくてすむらしい。
「冒険者ギルドで換金すると、依頼を受けてくれとかうるさいから、出来るだけ関わらないようにしている」
だからダンジョン内で獲得したドロップ品の換金をしていないのか、納得したよ。
「王都に行くならドレスを仕立てましょう」
自分の楽しめることに切り替え、リアもさらりと巻き込んでいた。
王家との交渉は、父上に任せるのだろう。
父上の顔がひどく引きつっている。
父上、私は交渉はできないので、よろしくお願いします。
「着飾るのもたまにはいいか」
ブルードラゴンさんは、乗り気ではなさそうな言い方をしているが声は弾んでいる。
私はお洒落するのが嬉しいようなのに、なぜ冒険者スタイルで我々と会っているのかブルードラゴンさんに尋ねる。
「することがないから、各地のダンジョン制覇をしている」
「各地のダンジョン制覇?」
ルーカスの噂を聞いたのも冒険者ギルドと聞いていていたから、冒険者をしているのだろうとは思ったが、まさか各地でダンジョン制覇巡りをしていたとは!!
しかも飽きたら自分の縄張りに戻って休み、また目覚めたら活動を再開するそうだ。
目覚めるのはまちまちで、30年後の時もあれば100年ほど経っている時もあるらしい。
ドラゴンの時間軸が違いすぎる。
「よろしければ、今のランクを教えていただいてもよろしいですか?」
「知らないね」
私の問いに、ブルードラゴンさんは本当に興味がないようで本当に知らないらしい。
冒険者ギルドで手続きするのは、冒険者申請の時くらいだそう。
そして冒険者ギルドに顔を出すのは、周辺地域の情報やダンジョン情報を仕入れるのが主だととか。
私はエミニーラダンジョンが、毎回冒険者ギルドでダンジョン申請しないと入れないので、他も同じだと思っていた。
ダンジョンによっては、ダンジョン入り口の水晶に触って、ランク対象外なら弾かれて、入り口が開かないシステムも多く、そういった申請不要のダンジョン巡りをしているそうだ。
あと身分証明代わりの冒険者用ペンダントを身に着けることや、ダンジョン内で討伐したものはペンダントに自動カウントされるところは、我が国と共通のようだった。
「ダンジョン内にドロップ品放置ですか?」
冒険者ギルドで手続きをしないと聞いたから、勿体ないなと思ったがどうやら違うらしい。
「ちゃんと回収しているぞ。空間収納に放り込んである」
ソファーで胸を張っているブルードラゴンさんは、口に出してはいないが、どうだ偉いだろうと言う言葉が態度に出ている。
しかし空間収納って、空間魔法だよね。
私たち人間が使えると聞いたことないから羨ましい限りだ。
「ブルーよ。いらんものをため込んでいるのなら、この地で換金して滞在費用を捻出しろ!」
ルーカスが余計なことを言うから、私は慌てて否定する。
「滞在費用は結構です。私たちはお金に困ってはいませんし、ルーカスを心配してきてくださったのですから・・・・」
「我もきちんと渡しておる。我は自分の鱗を渡したぞ」
ルーカスがブルードラゴンさんを煽っていた。ルーカス、やめようよ。
「そうか、なら私も自分の鱗を・・・・」
「いりません!!」
「結構です」
「お気持ちだけで十分です」
ブルードラゴンさんが言い終わる前に、私、父上、母上が同時に声をあげた。
ルーカスの鱗の処分は他国も巻き込んで大変だったんだから、もう2度とあの状況になりたくない、私たち家族の思いは一緒だったようだ。
「そうはいっても、美味しい物を食べさせてくれるようだし、ドレスも作ってくれるのだからな」
ブルードラゴンさんは、いいことを思いついたと笑顔になり提案してきたのは、空間収納してある不用品を受け取ってくれということだ。
「高価な宝石類などは、お断りしていいですか?」
受け取らないと言えば、ブルードラゴンさんが気分を害するかもしれない。
だから私から高価なものは出さないでくださいと、前もって条件を言っておけば大丈夫だろうと、先回りしたのだ。
「そうか?ならこの際、いらない物を処分したい」
「ブルードラゴン殿、しばらく滞在されるのは構わないが、出来れば仮の名前を決めてくれないだろうか?」
父上はとんでもない物が出てくるのを恐れてか、話を変えてきた。
「名乗っている名は、セシリアだ」
「ではセシリア殿とお呼びしたらいいですか?」
父上が再確認をする。
「ホワイトを呼び捨てにしているんだから、私も呼び捨てで言い。しばらく世話になるからね」
ブルードラゴンさん、いやセシリアは上機嫌だった。
夕食時のブルードラゴンさん、いやセシリアはシンプルな濃緑のドレス姿で、髪も侍女に結ってもらっていて機嫌がずいぶんよさそうだった。
美女ぶりがさらにパワーアップしている。
王都で正体を知らない男性から、口説かれたりするのではないだろうか?
面倒ごとが起こらないでほしい。
セシリアのドレスは、アイラさんたちが急いでやって来て、出来上がっている服の中から数点選んだそうだ。
微調整はその場で終わせたのだとか。
「デザインがどんどん浮かびます」
アイラさんがセシリアを見て、どんな型のドレスも似合いそうだと、ノリノリでデザイン画を何点も書き上げたそうだ。
セシリアは母上たちの意見を参考にして、気にいった数点をさらに発注したと、食事をしながら教えてくれた。
「この料理も美味しいな」
セシリアは新しい料理が出てくるたびに、目を輝かせて、一口食べるとさっきのセリフが繰り返される。
しかしセシリアは奇麗なテーブルマナーだった。
私がセシリアの手先を見ていたことに気づいたらしく、昔仲良くなった人間の友人に教えてもらったと言う。
「あの当時は、ここまで美味しい料理はなかったが、ワインは美味しかったから、必死で覚えた」
美味しいワインが飲みたければ、テーブルマナーを覚えなさいと人間の友人に説得されたというか、交換条件だったみたい。
あと冒険者として活動している際は、各地のお酒を飲むのが趣味で、お金は宿とお酒代くらいしか使わないのだとか。
手持ちのお金が無くなると、金や銀のインゴットをお金に換えるらしく、冒険者ギルドを利用しなくてすむらしい。
「冒険者ギルドで換金すると、依頼を受けてくれとかうるさいから、出来るだけ関わらないようにしている」
だからダンジョン内で獲得したドロップ品の換金をしていないのか、納得したよ。
あなたにおすすめの小説
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな
みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」
タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。
断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました
ララ
恋愛
3話完結です。
大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。
それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。
そこで見たのはまさにゲームの世界。
主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。
そしてゲームは終盤へ。
最後のイベントといえば断罪。
悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。
でもおかしいじゃない?
このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。
ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。
納得いかない。
それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。