465 / 491
【リーンハルト:11歳】
第528話 思惑
私はアランフィスの王城で与えられた部屋に入り、ソファに腰を下ろした。
部屋で待機していた侍従が、お茶を出してくる。
「エイダン様、お疲れ様でした。噂の彼はどうでしたか?」
「相当な手練れの美女を連れて、王城を闊歩していたよ」
「ではエイダン様お得意の、女性口説きから入ったのなら、警戒心は弱まったのではありませんか?」
侍従は容赦ない言い方をするが、私は彼に何度も助けられているので、気にせずに話を続ける。
「私の処世術を今更批判されてもね」
私はエイダン。
スーベリア王の第2王子で、側室の子供である。
私は自分でいうのもなんだが優秀すぎるため、私を警戒するハロルド-第3王子の取り巻きや、兄上の側近の一部から、あと野心家の貴族たちからも自身を守るために考えた対策だ。
私の方からも優秀だが女にだらしがない、王族の品位を落としているという評判を流してもいる。
私は王位など興味もないし、第1王子である兄上が王にふさわしいと思っている。
ハロルドが王位につくと、現王妃の実家の公爵家の傀儡になり、国が混乱してしまうと思うからだ。
だから何としても兄上に王位を継いでいただき、割れた国を早急に立て直さなければならない。
そのためにドラゴン、フェンリルの主である、ウエストランドの嫡男と親しくなりたくて、今回この国に来ることにした。
まぁ、私を警戒している兄上の側近の一部は反対したが・・・・。
この国で情報収集をしている者たちからの報告書を見ると、ウエストランドの嫡男であるリーンハルト君は、気に入った人物には、利益になる事業などの知恵を与えるらしい。
実際、彼と親しい貴族は、新しい事業を興し、相当な利益を享受していた。
そして今回のアランフェス王家肝煎りの展覧会。
これはウエストランドが領内で行った真似だという。
しかも民間人だけでなく、下位のやる気のある貴族にも恩恵がある。
基本的には王城の政務官たちが動いているようだが、リーンハルト君がアドバイスをしていると、この国で情報収集を行っている者からの報告だった。
ただあまりに頼り過ぎて、アランフェス王家は彼から一度報復されたという内容の報告もあり、扱いが難しい人物でもあることはわかっている。
この展覧会の視察・・・我が国で出来ないか検討したいと、アランフェス王国には申し出をしているが、現状の我が国ではできないだろう。
兄上とハロルドのお互いの陣営が足を引っ張り合いして、失敗することが目に見えている。
だから侍従が本来の目的である、リーンハルト君との接触について聞いてきたのだ。
私は侍従にリーンハルト君と手練れな美女とのやりとりを話した。
「全然仲良くなれていない上に、女性に投げ飛ばされたのですか?」
侍従が笑いをこらえている。
私が女性から反撃されるのはめずらしいからだろう。
「正直に5番目の妃と言わなくてもよかったのでは?実際、誰も宮殿にはいないのですから・・・・」
しばらくしてこらえている笑いが収まった侍従が言った。
私の妃たちは、野心家の貴族が遠縁の娘を養女にして送り込んだ者たちばかりだ。
4人とも仲が良い婚約者がいたのに解消させられて・・・という者たちばかりだった。
娘がいる有力な貴族は、兄上や弟の第3王子狙いだし、あと私の噂を信じてというのもある。
ただ兄上が王位につけば、第1王子派である私もそれなりに力を持つため、縁をつなぐために体裁を整えてというものだ。
だけど妃たちは、私が任されている領地で元婚約者と一緒になって暮らしているから、私の宮殿には誰も住んでいない。
貴族たちは女性を口説くために、押し付けられた妃たちを領地の屋敷に閉じ込めていると思われているがね。
いずれは彼女たちを解放してあげたいと思っている。
「私もこの設定を続けるのがしんどいし、縁談話をいい加減なくしたい。彼女なら、野心家貴族どもをぶった切ってくれそうで、面白い存在になると思ったが、残念だ」
私は侍従がテーブルに置いたお茶を飲んだ。
「エイダン様、目的はウエストランドの嫡男と接点を持つことですよ。目的がずれていませんか?」
侍従が言っていることは、第3王子であるハロルドが失敗した、ウエストランドとの縁を私が持つことだ。
「ずれていないさ。ウエストランドの嫡男が、王城に連れて来ているということは、親戚だろう。しかも国王とも会っていたようだから、この国の有力貴族の令嬢ではないか?」
貴族の令嬢にしては破天荒だが、面白い逸材だった。
「どこの令嬢が探ってくれ」
「もしかして本気の嫁取りですか?」
私のいつもとは違う対応に、侍従が目を輝かせていた。
ウエストランドの親戚なら、兄上陣営が勢いに乗る可能性は高い。
結婚式にウエストランドの嫡男がくれば、さらにいい。
……真剣に考えてもよいかもしれない。
部屋で待機していた侍従が、お茶を出してくる。
「エイダン様、お疲れ様でした。噂の彼はどうでしたか?」
「相当な手練れの美女を連れて、王城を闊歩していたよ」
「ではエイダン様お得意の、女性口説きから入ったのなら、警戒心は弱まったのではありませんか?」
侍従は容赦ない言い方をするが、私は彼に何度も助けられているので、気にせずに話を続ける。
「私の処世術を今更批判されてもね」
私はエイダン。
スーベリア王の第2王子で、側室の子供である。
私は自分でいうのもなんだが優秀すぎるため、私を警戒するハロルド-第3王子の取り巻きや、兄上の側近の一部から、あと野心家の貴族たちからも自身を守るために考えた対策だ。
私の方からも優秀だが女にだらしがない、王族の品位を落としているという評判を流してもいる。
私は王位など興味もないし、第1王子である兄上が王にふさわしいと思っている。
ハロルドが王位につくと、現王妃の実家の公爵家の傀儡になり、国が混乱してしまうと思うからだ。
だから何としても兄上に王位を継いでいただき、割れた国を早急に立て直さなければならない。
そのためにドラゴン、フェンリルの主である、ウエストランドの嫡男と親しくなりたくて、今回この国に来ることにした。
まぁ、私を警戒している兄上の側近の一部は反対したが・・・・。
この国で情報収集をしている者たちからの報告書を見ると、ウエストランドの嫡男であるリーンハルト君は、気に入った人物には、利益になる事業などの知恵を与えるらしい。
実際、彼と親しい貴族は、新しい事業を興し、相当な利益を享受していた。
そして今回のアランフェス王家肝煎りの展覧会。
これはウエストランドが領内で行った真似だという。
しかも民間人だけでなく、下位のやる気のある貴族にも恩恵がある。
基本的には王城の政務官たちが動いているようだが、リーンハルト君がアドバイスをしていると、この国で情報収集を行っている者からの報告だった。
ただあまりに頼り過ぎて、アランフェス王家は彼から一度報復されたという内容の報告もあり、扱いが難しい人物でもあることはわかっている。
この展覧会の視察・・・我が国で出来ないか検討したいと、アランフェス王国には申し出をしているが、現状の我が国ではできないだろう。
兄上とハロルドのお互いの陣営が足を引っ張り合いして、失敗することが目に見えている。
だから侍従が本来の目的である、リーンハルト君との接触について聞いてきたのだ。
私は侍従にリーンハルト君と手練れな美女とのやりとりを話した。
「全然仲良くなれていない上に、女性に投げ飛ばされたのですか?」
侍従が笑いをこらえている。
私が女性から反撃されるのはめずらしいからだろう。
「正直に5番目の妃と言わなくてもよかったのでは?実際、誰も宮殿にはいないのですから・・・・」
しばらくしてこらえている笑いが収まった侍従が言った。
私の妃たちは、野心家の貴族が遠縁の娘を養女にして送り込んだ者たちばかりだ。
4人とも仲が良い婚約者がいたのに解消させられて・・・という者たちばかりだった。
娘がいる有力な貴族は、兄上や弟の第3王子狙いだし、あと私の噂を信じてというのもある。
ただ兄上が王位につけば、第1王子派である私もそれなりに力を持つため、縁をつなぐために体裁を整えてというものだ。
だけど妃たちは、私が任されている領地で元婚約者と一緒になって暮らしているから、私の宮殿には誰も住んでいない。
貴族たちは女性を口説くために、押し付けられた妃たちを領地の屋敷に閉じ込めていると思われているがね。
いずれは彼女たちを解放してあげたいと思っている。
「私もこの設定を続けるのがしんどいし、縁談話をいい加減なくしたい。彼女なら、野心家貴族どもをぶった切ってくれそうで、面白い存在になると思ったが、残念だ」
私は侍従がテーブルに置いたお茶を飲んだ。
「エイダン様、目的はウエストランドの嫡男と接点を持つことですよ。目的がずれていませんか?」
侍従が言っていることは、第3王子であるハロルドが失敗した、ウエストランドとの縁を私が持つことだ。
「ずれていないさ。ウエストランドの嫡男が、王城に連れて来ているということは、親戚だろう。しかも国王とも会っていたようだから、この国の有力貴族の令嬢ではないか?」
貴族の令嬢にしては破天荒だが、面白い逸材だった。
「どこの令嬢が探ってくれ」
「もしかして本気の嫁取りですか?」
私のいつもとは違う対応に、侍従が目を輝かせていた。
ウエストランドの親戚なら、兄上陣営が勢いに乗る可能性は高い。
結婚式にウエストランドの嫡男がくれば、さらにいい。
……真剣に考えてもよいかもしれない。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。