異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

文字の大きさ
478 / 491
【リーンハルト:11歳】

第541話 何もしていません

「いえ、そうではなくて・・・・」

「私は何もしていないよ。それは同行していたあなたの部下が証明してくれる」

私が何かしたと疑っているのかと思い、無実を訴えた。


足音が聞こえる方に顔を向けると、宰相閣下が急いでこちらに来ていて私の側まで来る。

「リーンハルト君、私は君に頼むとは言ったが、やり過ぎだろう」

宰相閣下まで私が派手に動いていると思っているのか!


「私は何もしていません。なぜか危ないことに遭遇しているだけです!」

「ではなぜミニョン殿が暗躍しているのだ」

「ミニョンが王城にいたことに、私も驚いているのです」

私がアトレがいないためミニョンを問い詰めることが出来ないことと、ミニョンが現在行方不明だとも伝えると、宰相閣下がこめかみを押さえる仕草をした。


「宰相閣下、私は襲われた場合を考え防御の準備はしていましたが、こちらからの攻撃や誘い出しはまったくやっていません」

私は無実だと強く訴えた。

私の目を見ていた宰相閣下が小さくため息をつく。

「わかった。ここで倒れている者たちを運ぶから防御壁を解除してくれないか?」


私は言われた通り解除をすると、なぜか倒れていた人たちがみんな意識を取り戻す。

宰相閣下と護衛騎士たちが一斉に私を見る。

「何もしていません。ただ解除しただけです!」

なんで私が疑いを持たれないといけないのさ。


「ここはどこだ」

「いったい何が起こったのだ」

倒れていた人たちが立ち上がりながら私たちを見る。

護衛騎士の一人が彼らに状況を説明する。


「そうだ、私たちはこの者たちに襲われたのだ!」

リアの因縁相手その1の眼鏡君ことハモンド様が、急にパーティー会場の制服を着ている者たちを指差した。

「いいえ、私たちが逆に脅されていたのです」

制服を着ている一人が声をあげた。


「ソレイユ帝国の貴族である我々に罪を擦り付けるとは、どういうことかわかっているだろうな」

リアの因縁相手その2が虚勢を張って言い返していた。

お互いが違うと主張していたら、急に両方がくしゃみをし出し、目が痛いと訴えだした。


「えっ?!」私は思わず声が出た。

そして私は一瞬目をつぶって見開き、両方を防御壁に閉じ込める。

「リーンハルト君!」

「リーンハルト様!!」

宰相様と護衛リーダーが詰め寄ってきた。


「この人たち、おそらく仲間割れの可能性が高いです。あと1時間程度はこの状態が続くはずです。内密にグランデ公爵をお呼びになってはいかがでしょうか?」

私の提案に宰相閣下は詳しい話を聞きたい素振りを見せるが、廊下で話すのはよくないと考えたのか、場所移動することと、グランデ公爵を内密に呼ぶように指示を出す。


私は防御魔法をドーム型から楕円型に変え、彼らの体を全部防御壁内に閉じ込め移動できる状態にする。

するとくしゃみと目の痛みが消えたのか防御壁の中にいる人たちが、防御壁を叩きまくっているし、喚いているようだが無視をする。

いったいどういうことだ?


シエルが距離のあるところから投げると、効果の時間は短くなると言っていたが、ここは王城の内部で天井もあり、距離はかなり近いところから投げられたはずだ。

なら1時間くらいはあの状態が続くはず?

それとも私の魔法、防御壁が特殊になってしまったのだろうか?

あとミニョンがこの近くで飴玉もどきを投げたのだろうが、なんで飴玉もどきを持っているのかとか考えることが増えていく。

とにかく現状のことが片付いてから考えよう。


「誰か風魔法で、この楕円型の防御壁の移動を頼めませんか?」

宰相閣下と騎士たちは、楕円型の防御壁を見つめていて反応がない。

「運べないなら、これを球状に変えて転がしていくしかないのだけれど・・・・」

私が防御壁を球状に変形しようと片手を防御壁に向ける。


「私が出来ます!!」

「私も手伝います!!」

2人の騎士が名乗りを上げ、移動できた。



移動した部屋で試しに防御魔法を解除すると、彼らは先ほどの症状に逆戻りする。

「リーンハルト君、どういうことだね」

宰相閣下が私に詰め寄ってきたところに、グランデ公爵が部屋に入ってきて、状況を見て厳しい顔つきになった。

私はグランデ公爵に、我が国の令嬢が度数の高いお酒が入ったジュースを飲まされて、軽度のアルコール中毒になったこと。

その犯人と思われる人物がこの中にいて、どうやら一緒にいる子息たちの仲間と思われることを説明した。


「証拠があってのことだろうね」

グランデ公爵は表情を変えずに尋ねてくるが、口調はきつめだ。

だから私はフローリアが飲むはずだったジュースを、我が国の令嬢が飲んだ可能性があること。

そしてフローリアはこの件だけでなく、別の場所でも襲われそうになったことも話す。


「フローリアが今日王城で2回も狙われただと!」

グランデ公爵が怒りを必死に抑えながらも抑えきれないでいた。


「襲った者たちはすでに捕まえています」

私は王城の護衛リーダーに視線を向ける。

「発言をお許し下さい。私は王城の警備を任されております。正確にはフローリア嬢と一緒にいた2名の令嬢の計3名が襲われそうになったのですが、まだ特定できておりません」

「リーンハルト君、なぜフローリア嬢が狙われたと断言できるのだね」

宰相閣下も話に加わってきた。


「私はフローリアに2つの物を持たせていました」

一つ目は襲ってくる者がいたら、防御壁を発動する魔道具。

2つ目は危害を加えようとしている、または悪だくみを考え近づく者に反応する薬のような物。

本当は3つだが、説明が面倒だから省略した。

「今の彼らの症状はその反応そのものなのです」

私の発言に公爵をはじめ、この部屋にいた者たちが驚愕の表情を見せた。
感想 34

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。