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【リーンハルト:11歳】
第551話 警戒
クリス兄上の領地で温泉を無事に作り終えて王都に戻った。
アトレたちは温泉予定地には付いて来なくて、ビアンカと1泊2日でサンドリア領都からは遠い森でオークやベアなどを倒して持ち帰って来た。
サンドリア公爵領は騎士が領内全域を管理するまでの人数はいなくて、しかも冒険者も実入りが少ないため、領内にあまりいないのだとか。
だからビアンカが近くの森周辺を受け持ち、定期的に間引きをしているらしい。
今回アトレたちがいるためビアンカが遠出したいと、アトレたちを誘い仲良くみんなでお出かけしていったのだ。
セシリアもアトレたちの方が楽しそうと言い、アトレたちについて行き私とは別行動だった。
帰って来た彼らの戦利品の数が多くて、いったいどこまで行ったんだと思わず尋ねてしまうほどだった。
アトレの話だと、近くに大きな町はないところ、とかなりアバウトな返事だった。
初めての場所だし、人と会うような場所は避けて移動したらしいから仕方ない。
でもアトレたちにとっては、小物だけれど楽しめたと言っていたのでよしとした。
王都に着いたが3日後にはウエストランドに戻る。
その際にクリス兄上も合流して一緒に帰ることになった。
クリス兄上は世界樹と神様たちに温泉のお礼を言いたいらしい。
そしてついでに新街にも立ち寄たい希望だった。
新街にはサンドリア公爵家の政務官たちも同伴させたいと言われ許可した。
どうやら領民たち用の温泉施設の視察や、新街の政務官に話を聞きたいと政務官たちからの要望らしい。
観光に特化した街なんて、サンドリア公爵家の政務官たちも初めてだから戸惑っているのだろうな。
イメージがつかめればウエストランドとは違った街づくりを期待しよう。
王都では宰相閣下を訪問して黒ソースの打ち合わせをする。
宰相閣下にクリス兄上の領地のお菓子類をお土産に渡すと、すごく喜ばれた。
宰相閣下はおはぎが好きで、よく王都のお店で購入しているそうだ。
「新作お菓子もありますよ」
私の言葉に宰相閣下は受け取った箱に目をやる。
「それは楽しみだ。遠慮なくいただこう」
黒ソースの工場、販売など基本すべてお任せだが、国からの要望として、ウエストランドの工場で作られた黒ソースをウエストランド周辺の地域にも卸してほしいとのことだった。
「どこまでを我が家が引きうけるのか決まったら教えてください」
私が承諾すると宰相閣下が少しホッとしたようだ。
「助かるよ。供給が追い付かない可能性もあるからね」
「黒ソースのレシピ無料公開は、トンカツ、魚介類のフライ、ハンバーグ、野菜炒めくらいですよ」
他にもソース料理はあるのだろうが、いまいち知らないんだよね。
私が内心思っていると宰相閣下が話し出す。
「実は王城の総料理長が、他の肉料理に加えると隠し味でコクが出て美味しいと言い出したんだよ」
宰相閣下の話を聞き、王都や他地域の料理人たちが、黒ソースを使った新しい料理を開発する可能性もある。
そうなるとソースの需要は増えるか・・・・この国には野菜ダンジョンがないから安定供給を目指すなら材料の量の確保もしっかりとしなくてはいけない。
そうなると我が家で建てる工場もまずいな。
お好み焼きソースもいずれは作りたいし・・・・。
帰ったら必要な野菜・果物の栽培拡大をどうするか父上と相談しよう。
国内販売の方のすり合わせが終わると、エイデン殿下との契約内容を教えてくれた。
「黒ソースに合う料理レシピの無料公開を含め、リーンハルト君にすごく感謝していたよ」
最初はエイダン殿下と個人交渉していたが、最終的に国同士の案件としてウエストランドは関与しないように変更したのだ。
エイダン殿下を助けたことで形勢逆転したので、私がエイダン殿下の国のいざこざに巻き込まないために言い方は悪いが宰相閣下たちに押し付けたのだ。
黒ソース事業と交換だから、国にとっても悪い話ではないはず?
話が終わったため、宰相室を退出しようと宰相閣下に挨拶をして、私はソファーから腰をあげかけた。
「ウフォン」
宰相閣下にはまだ話があったようで、私は座り直す。
「実はリーンハルト君に王太子殿下が個人的に相談したいことがあるらしく、これから行って貰えないだろうか?」
「王太子殿下ですか?」
私はあまり接点のない王太子殿下からの突然の呼び出しに、ちょっと警戒心が湧く。
今まで王家は私への接触は最低限にしてくれていて、配慮してくれているのは感じていたからだ。
私も何度か王城に来ているから警戒心が緩んだと思われたのか?
宰相閣下から王太子殿下個人的なことで相談があると言っているらしい。
なんで私?無言の訴えを宰相閣下にするが、宰相閣下も相談内容については教えて貰えなかったそうだ。
「無理難題を言うようなら断ってくれて構わない」
宰相閣下、あっさりと言いますが、私は臣下ですよ、断れるわけがないです。
無理ですと訴えると、返事を保留にして相談に来ればいいと言ってくれた。
王太子殿下の執務室へ入り挨拶をする。
「王太子殿下におかれましては・・・」
「堅苦しい挨拶はいい。呼び出してすまなかった」
王太子殿下が示したソファーに座ると、部屋にいた側近の方たちが全員部屋を退出して殿下と2人きりになった。
王太子殿下も私の真向かいのソファーに座り、お茶を飲みだした。
私も真似てお茶を一口飲んで、王太子殿下が話し出すのを待つが無言が続く。
根気強く待つと王太子殿下が口を開く。
「リーンハルト、君は縁結びの達人だ。だから私と王太子妃の関係改善に協力してほしい」
全然思わなかった内容だった。
アトレたちは温泉予定地には付いて来なくて、ビアンカと1泊2日でサンドリア領都からは遠い森でオークやベアなどを倒して持ち帰って来た。
サンドリア公爵領は騎士が領内全域を管理するまでの人数はいなくて、しかも冒険者も実入りが少ないため、領内にあまりいないのだとか。
だからビアンカが近くの森周辺を受け持ち、定期的に間引きをしているらしい。
今回アトレたちがいるためビアンカが遠出したいと、アトレたちを誘い仲良くみんなでお出かけしていったのだ。
セシリアもアトレたちの方が楽しそうと言い、アトレたちについて行き私とは別行動だった。
帰って来た彼らの戦利品の数が多くて、いったいどこまで行ったんだと思わず尋ねてしまうほどだった。
アトレの話だと、近くに大きな町はないところ、とかなりアバウトな返事だった。
初めての場所だし、人と会うような場所は避けて移動したらしいから仕方ない。
でもアトレたちにとっては、小物だけれど楽しめたと言っていたのでよしとした。
王都に着いたが3日後にはウエストランドに戻る。
その際にクリス兄上も合流して一緒に帰ることになった。
クリス兄上は世界樹と神様たちに温泉のお礼を言いたいらしい。
そしてついでに新街にも立ち寄たい希望だった。
新街にはサンドリア公爵家の政務官たちも同伴させたいと言われ許可した。
どうやら領民たち用の温泉施設の視察や、新街の政務官に話を聞きたいと政務官たちからの要望らしい。
観光に特化した街なんて、サンドリア公爵家の政務官たちも初めてだから戸惑っているのだろうな。
イメージがつかめればウエストランドとは違った街づくりを期待しよう。
王都では宰相閣下を訪問して黒ソースの打ち合わせをする。
宰相閣下にクリス兄上の領地のお菓子類をお土産に渡すと、すごく喜ばれた。
宰相閣下はおはぎが好きで、よく王都のお店で購入しているそうだ。
「新作お菓子もありますよ」
私の言葉に宰相閣下は受け取った箱に目をやる。
「それは楽しみだ。遠慮なくいただこう」
黒ソースの工場、販売など基本すべてお任せだが、国からの要望として、ウエストランドの工場で作られた黒ソースをウエストランド周辺の地域にも卸してほしいとのことだった。
「どこまでを我が家が引きうけるのか決まったら教えてください」
私が承諾すると宰相閣下が少しホッとしたようだ。
「助かるよ。供給が追い付かない可能性もあるからね」
「黒ソースのレシピ無料公開は、トンカツ、魚介類のフライ、ハンバーグ、野菜炒めくらいですよ」
他にもソース料理はあるのだろうが、いまいち知らないんだよね。
私が内心思っていると宰相閣下が話し出す。
「実は王城の総料理長が、他の肉料理に加えると隠し味でコクが出て美味しいと言い出したんだよ」
宰相閣下の話を聞き、王都や他地域の料理人たちが、黒ソースを使った新しい料理を開発する可能性もある。
そうなるとソースの需要は増えるか・・・・この国には野菜ダンジョンがないから安定供給を目指すなら材料の量の確保もしっかりとしなくてはいけない。
そうなると我が家で建てる工場もまずいな。
お好み焼きソースもいずれは作りたいし・・・・。
帰ったら必要な野菜・果物の栽培拡大をどうするか父上と相談しよう。
国内販売の方のすり合わせが終わると、エイデン殿下との契約内容を教えてくれた。
「黒ソースに合う料理レシピの無料公開を含め、リーンハルト君にすごく感謝していたよ」
最初はエイダン殿下と個人交渉していたが、最終的に国同士の案件としてウエストランドは関与しないように変更したのだ。
エイダン殿下を助けたことで形勢逆転したので、私がエイダン殿下の国のいざこざに巻き込まないために言い方は悪いが宰相閣下たちに押し付けたのだ。
黒ソース事業と交換だから、国にとっても悪い話ではないはず?
話が終わったため、宰相室を退出しようと宰相閣下に挨拶をして、私はソファーから腰をあげかけた。
「ウフォン」
宰相閣下にはまだ話があったようで、私は座り直す。
「実はリーンハルト君に王太子殿下が個人的に相談したいことがあるらしく、これから行って貰えないだろうか?」
「王太子殿下ですか?」
私はあまり接点のない王太子殿下からの突然の呼び出しに、ちょっと警戒心が湧く。
今まで王家は私への接触は最低限にしてくれていて、配慮してくれているのは感じていたからだ。
私も何度か王城に来ているから警戒心が緩んだと思われたのか?
宰相閣下から王太子殿下個人的なことで相談があると言っているらしい。
なんで私?無言の訴えを宰相閣下にするが、宰相閣下も相談内容については教えて貰えなかったそうだ。
「無理難題を言うようなら断ってくれて構わない」
宰相閣下、あっさりと言いますが、私は臣下ですよ、断れるわけがないです。
無理ですと訴えると、返事を保留にして相談に来ればいいと言ってくれた。
王太子殿下の執務室へ入り挨拶をする。
「王太子殿下におかれましては・・・」
「堅苦しい挨拶はいい。呼び出してすまなかった」
王太子殿下が示したソファーに座ると、部屋にいた側近の方たちが全員部屋を退出して殿下と2人きりになった。
王太子殿下も私の真向かいのソファーに座り、お茶を飲みだした。
私も真似てお茶を一口飲んで、王太子殿下が話し出すのを待つが無言が続く。
根気強く待つと王太子殿下が口を開く。
「リーンハルト、君は縁結びの達人だ。だから私と王太子妃の関係改善に協力してほしい」
全然思わなかった内容だった。
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