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【リーンハルト:10歳】
第374話 開店1週間前(後編)
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いつもお読みいただきありがとうございます。
次の投稿は今日の午後の予定です。
よろしくお願いいたします。
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2階に上がる。
この店は甘味屋で唯一、焼き立てを食べられる完全予約制のティールームを完備している。
だからお茶が一階の壁に描かれていたのだ。
2階も1階と同じように木目基調だが、白壁にはポスターサイズぐらいの風景画と動植物画が数か所かけられていた。
「これはショーンとレオンの作品?」
「そうよ、3ヶ月に1回、季節に合わせてウエストランド領の風景と動植物画を描いてもらうようにお願いしたの」
3ヶ月に1回なら絵画が溜まっていかないかと聞いたら、欲しいという人がいたら展示後買ってもらうそうだ。
「画廊喫茶ね」
「小さい絵画の方が売れない?」
「画廊ではないし、絵を近くで見たいと壁に人だかりができると、ゆっくりお茶できないから駄目よ」
テーブルは2人用、4人用が主で、2つ程6人用があるが、すべて間仕切りされている。
席の出入り口も半分、間仕切りしているので通る人たちに座っている人の顔はわかりにくいのだろう。
間仕切りは天井まで無くて、座っていたら顔が見えない程度の高さだ。
だから大きな声だと筒抜けだ。
「完全個室ではないが、半個室風というのはいいね。通路の間仕切りに番号が振ってあるのはどうして?」
「一度席を立った人が戻るときに場所がわからない場合もあるでしょ。あと注文の伝票に番号を書くから配膳の間違いを防げるわ」
6人掛けに座りメニュー表を開く。
ルーカスは席がないのでテーブルに座っている。
テーブルがお茶やお菓子でいっぱいになるようなら、私の膝に移動予定だ。
メニュー表にもお菓子と飲み物の絵が描いてあった。
「どら焼きの赤あん、白あん、ミックス?栗入りあん? 新作?」
絵を見るとミックスは赤あん、白あんを半分ずつ食べられる。
栗入りあんは、どら焼きの皮1枚で赤あんを挟んだ上に栗の甘露煮がのせてあるもののようだ。
「ミックスは両方食べたいけれど2つは多いという人用ね。栗入りあんは、この喫茶でしか食べられないものにしたの」
ここはフローリアのプロデュース店ではないか?
「リーンハルトはグイドにすべて丸投げで、とても困っているからって、おば様から私に話があって対応したの」
「それは申し訳ありませんでした」
フローリアに頭を下げる。
「メニューを絵で描いてあるから、お客もイメージしやすいね」
メニュー表を見ていたクリス兄様がいう。
「ショーンに実物を見ながら描いて、そこからメニュー表に描く絵の図案を数点ずつ描いて貰って決めたのよ」
「ショーンは働いているから大変だったのでは?」
「レオンに教えている時間も一緒に描くことを授業にカウントしたわ」
一時的な依頼だし、3ヶ月に1回の風景画は3枚だ。
卓上カレンダーの絵の仕事もあるとはいえ、仕事を辞めても生活できる依頼料にはならないだろう。
「それでも水彩画で仕事ができることに感謝していたわよ」
フローリアが教えてくれた。
注文した品が届いた。
私とフローリアは栗入りあんと緑茶、クリス兄様は栗入りあんと抹茶ラテ、アトレ、ルーカス、ビアンカはミックスと栗入りあんと抹茶ラテだ。
アトレたちは屋敷で使用している専用食器持参で来ている。
「どら焼きは我が家でよく食べているのにここでも食べるの?」
「雰囲気がかわると味も変わる?」
「せっかく店に来たのだから全種類制覇しなくては」
「いつものおやつぐらいの量だから平気」
余裕そうだからいいか。
運んでくれた従業員の制服って、白いシャツに黒のベストと腰に巻くロングエプロンかと思ったら、ベストとエプロン一体型だった。
「ベストだと思ったらエプロンだったのか」
「夏は暑いからベストと見せかけてエプロンなのよ。冬はベストに腰に巻くエプロンよ」
どら焼きは5月までの販売で、6月から10月はアイスクリーム、喫茶はフルーツパフェとプチ麦入りホットケーキアイス乗せの販売に変わる。
「何とかなりそうだね」
「最初は混雑するでしょうけれど、時間がたてば緩和されると思うわ」
どら焼き1個4鉄貨(400円)。
露店の串肉2本分の値段だ。
領民なら、お菓子にお金はかけられないだろうから、最初食べたあとは、特別な日ぐらいで落ち着かないかなと思っている。
混雑が和らぐまでは販売個数制限をする予定。
販売だけの2店舗は喫茶がないけれど内装のコンセプトは同じだった。
あと本店との違いはアトレたちの絵が、どら焼きかアイスクリームのどちらかを食べている絵ぐらいだろうか。
次の投稿は今日の午後の予定です。
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2階に上がる。
この店は甘味屋で唯一、焼き立てを食べられる完全予約制のティールームを完備している。
だからお茶が一階の壁に描かれていたのだ。
2階も1階と同じように木目基調だが、白壁にはポスターサイズぐらいの風景画と動植物画が数か所かけられていた。
「これはショーンとレオンの作品?」
「そうよ、3ヶ月に1回、季節に合わせてウエストランド領の風景と動植物画を描いてもらうようにお願いしたの」
3ヶ月に1回なら絵画が溜まっていかないかと聞いたら、欲しいという人がいたら展示後買ってもらうそうだ。
「画廊喫茶ね」
「小さい絵画の方が売れない?」
「画廊ではないし、絵を近くで見たいと壁に人だかりができると、ゆっくりお茶できないから駄目よ」
テーブルは2人用、4人用が主で、2つ程6人用があるが、すべて間仕切りされている。
席の出入り口も半分、間仕切りしているので通る人たちに座っている人の顔はわかりにくいのだろう。
間仕切りは天井まで無くて、座っていたら顔が見えない程度の高さだ。
だから大きな声だと筒抜けだ。
「完全個室ではないが、半個室風というのはいいね。通路の間仕切りに番号が振ってあるのはどうして?」
「一度席を立った人が戻るときに場所がわからない場合もあるでしょ。あと注文の伝票に番号を書くから配膳の間違いを防げるわ」
6人掛けに座りメニュー表を開く。
ルーカスは席がないのでテーブルに座っている。
テーブルがお茶やお菓子でいっぱいになるようなら、私の膝に移動予定だ。
メニュー表にもお菓子と飲み物の絵が描いてあった。
「どら焼きの赤あん、白あん、ミックス?栗入りあん? 新作?」
絵を見るとミックスは赤あん、白あんを半分ずつ食べられる。
栗入りあんは、どら焼きの皮1枚で赤あんを挟んだ上に栗の甘露煮がのせてあるもののようだ。
「ミックスは両方食べたいけれど2つは多いという人用ね。栗入りあんは、この喫茶でしか食べられないものにしたの」
ここはフローリアのプロデュース店ではないか?
「リーンハルトはグイドにすべて丸投げで、とても困っているからって、おば様から私に話があって対応したの」
「それは申し訳ありませんでした」
フローリアに頭を下げる。
「メニューを絵で描いてあるから、お客もイメージしやすいね」
メニュー表を見ていたクリス兄様がいう。
「ショーンに実物を見ながら描いて、そこからメニュー表に描く絵の図案を数点ずつ描いて貰って決めたのよ」
「ショーンは働いているから大変だったのでは?」
「レオンに教えている時間も一緒に描くことを授業にカウントしたわ」
一時的な依頼だし、3ヶ月に1回の風景画は3枚だ。
卓上カレンダーの絵の仕事もあるとはいえ、仕事を辞めても生活できる依頼料にはならないだろう。
「それでも水彩画で仕事ができることに感謝していたわよ」
フローリアが教えてくれた。
注文した品が届いた。
私とフローリアは栗入りあんと緑茶、クリス兄様は栗入りあんと抹茶ラテ、アトレ、ルーカス、ビアンカはミックスと栗入りあんと抹茶ラテだ。
アトレたちは屋敷で使用している専用食器持参で来ている。
「どら焼きは我が家でよく食べているのにここでも食べるの?」
「雰囲気がかわると味も変わる?」
「せっかく店に来たのだから全種類制覇しなくては」
「いつものおやつぐらいの量だから平気」
余裕そうだからいいか。
運んでくれた従業員の制服って、白いシャツに黒のベストと腰に巻くロングエプロンかと思ったら、ベストとエプロン一体型だった。
「ベストだと思ったらエプロンだったのか」
「夏は暑いからベストと見せかけてエプロンなのよ。冬はベストに腰に巻くエプロンよ」
どら焼きは5月までの販売で、6月から10月はアイスクリーム、喫茶はフルーツパフェとプチ麦入りホットケーキアイス乗せの販売に変わる。
「何とかなりそうだね」
「最初は混雑するでしょうけれど、時間がたてば緩和されると思うわ」
どら焼き1個4鉄貨(400円)。
露店の串肉2本分の値段だ。
領民なら、お菓子にお金はかけられないだろうから、最初食べたあとは、特別な日ぐらいで落ち着かないかなと思っている。
混雑が和らぐまでは販売個数制限をする予定。
販売だけの2店舗は喫茶がないけれど内装のコンセプトは同じだった。
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